午前10時の映画祭でスクリーンでブレードランナーファイナルカット4K版を見てきました。
7月18日は映画の美術を手がけたシド・ミラーの誕生日、そして、
レプリカントのBattyを演じたルトガー・ハウアーの命日2019年7月19日に近い日になります。
出典:IMDB
いままで、2回ビデオとスクリーンで見たことがありましたが、今回ほど心を動かされませんでした。今回は、4K版になったことで、細かいところがよく見えたこと、音響がとてもよくなって、原作の音楽がとてもよく聞こえたことが要因かと思います。
今回の映画を見て、昔よりもよく聞こえたからか、セリフの細かいところが気になりました。以下、映画のネタバレになります。
ネタバレ
Amazonで「天才🐾文学探偵犬」さんがセリフについて、おもしろいいことを指摘されていたので、引用します。
出典:Amazon 天才🐾文学探偵犬
タイレルはタイレル社を創設した天才科学者なわけですが、実はJ・F・セバスチャンが彼のクローンだったとは!!また、Show me Somethingの「Some」が前のセリフを受けていたなんて!!
Battyの最後のセリフ
I've seen things you people wouldn't believe. Attack ships on fire off the shoulder of Orion. I watched C-beams glitter in the dark near the Tannhauser gate. All those moments will be lost in time... like tears in rain... Time to die.
出典:imdb
俺は人間が信じないものを見てきた。オリオン座の近くで攻撃されて火に包まれる宇宙船、タンホイザーゲイトで見たオーロラ…。
そういうできごとも、いままさに消える。雨の中の涙のように。死ぬときがきた。
出典:Amazon 天才🐾文学探偵犬
※もともとの脚本ではこの最後の独白は長かったので、ルドガー・ハウアーのアドリブだったそうですが。
この映画は人間が作った人造人間の反乱ともとれるのですが、これが1960年代から1970年代にアメリカで作られたということについても、大きな意味がありそうです。ネクサスは人間が行き得ない場所にいたわけですが、Battyの言葉の奥に、同時代に悲惨な労働環境にあったアフリカン・アメリカンの悲哀が重なって見えます。「生きたい」という渇望と弄ばれた魂の葛藤。SFの金字塔と言われるのは、どんな場合にあっても、人間のいやな本質を洗い出しているからかもしれません。
今、AIに任せておけばよいというような風潮がありますが、ある時間軸にしか存在しない不完全な人間が、過去現在未来に渡って完全なものを作ることができましょうか。
なお、想定される条件や課題を満足するものを創造することはできます。でも、その条件や課題は未来に必ずしも共通の課題とは限りません。いつの時代も原点や背景に従って考えることと、無意識に負荷をかけすぎているところはないか、常に検証することの大事さを感じました。
ネタバレここまで
それにしても1980年代以降のSF映画のイメージの礎になったことを映画のビジュアルからも感じます。
ゾーラ
この映画のゾーラはX-MEN(2000)のMystiqueを彷彿とさせます。
出典:IMDB
ショーン・ヤング演じるレイチェルはMUSE
出典:IMDB
シド・ミラーが描く近未来
このシーンを見て、押井守監督の「攻殻機動隊」や「イノセンス」を思い出しました。そんなことを考えると、この映画の後世への作品の影響はすごいと思います。
また、Battyの戦闘シーンでは、「平家物語」の「扇の的」が使われているようなことをネットで拝見しました。諸行無常の響き…。欧米の人はどうかわからないけど、最近、「平家物語」を再読しているのですが、限りある命の光を感じました。
ところで、今回、ブレード・ランナーの音楽を手がけたVangelis氏が2022年5月17日にフランスで逝去されたそうです。ご冥福をお祈り申し上げます。タワレコでサウンドトラック買っちゃいました。
この映画から30年後の世界を描たいのがブレードランナー2049
そして、2019年11月から2049年までの間を描いているのが以下の3作品
■ブラックアウト2022
2019年11月の後日を描いています。
■2036:ネクサス・ドーン
■2048:ノーウェア・トゥ・ラン