昨年、日経おとなのOFFで紹介されていたのを見て、ぜひ

行きたいと思っていた展覧会

 

 


ただ、日経OFFで紹介されていた目玉の5点のうち4点がなかったタイミングでした。残念無念。撮影禁止マーク以外の作品は撮影OK、また、SNSには、「作家名、作品名、所蔵先記載」という条件で投稿可能ということでした。備忘録を兼ねて、アップします。

 

 

 

時期は江戸から昭和の初めにかけて。見どころは大きく見て2つの部分に分かれると思いました。

 

1西洋からの影響の系譜

2日本文学や古典からの着想

 

最初に目を引くのは江戸末期に作られた生人形

■安本亀八 「白瀧姫」

 

(桐生歴史文化資料館蔵)

 

図録のリンクがオフィシャルサイトにあり、よくよく見ると、京都国立近代美術館ばかり。それだったら、2度は見ているはずの絵ばかりで…。当時は消化不良だったのか、印象に残ったのは数点だったような。

 

オフィシャルサイト

作品リスト

 

■甲斐庄楠木「横櫛」

 

(京都国立近代美術館蔵)

 

これは角川ホラー文庫 岩井志麻子著「ぼっけぇ きょうてえ」の表紙だったので、ご存じの方は多いと思います。

 

 

 

1西洋からの影響の系譜

 

夏目漱石もロンドンでナショナルギャラリーやテートギャラリーで見た絵画はラファエル前派が多かったようですが、藤島武二氏、青木繁氏はじめ、他の画家さんたちも影響を受けたようです。

 

■藤島武二「夢想」 

(横須賀美術館蔵)

 

この絵はロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」に影響を受けたとされます。

 

(テート美術館蔵) ※これは展示されていません。

 

 ロセッティの妻、エリザベス・シダルが亡くなった8年後に完成させたこの絵。深い悔いと贖い祈りを感じるんですよね。亡くなったとき、ずっと手を握り締めて、妻の死に顔をみていたんじゃないかと思ってしまいました。(当時のブログ)

 

■ロセッティ「マドンナ・ピエトラ」

郡山市立美術館蔵

 

↑この絵は初めて見ました。男の心を玉にする妖女だそうです。

 

2日本文学や古典からの着想

 

■青木繁「わだつみのいろこの宮」下絵

(栃木県立美術館蔵)

 

実際の作品はこちら

この作品は、「古事記」の逸話をもとに制作されたそうです。兄の海幸彦、ホデリに釣り針を探して来るように命じられて途方に暮れた山幸彦、ホホデミは、海神の宮へ行き、そこで、海神の娘のトヨタマビメに出会います。その出会いの場面を描いたのが、この作品です。

 

■月岡 芳年 和漢百物語「清姫」

(町田市立国際版画美術館蔵)

 

月岡 芳年「清姫 日高川に蛇体となる図」

(町田市立国際版画美術館蔵)

 

大蛇となった清姫が鐘の下に隠れた安珍をその情念の炎で焼き殺すシーンを描いたそうです。

 

■北野恒富 「淀君」

(耕三寺博物館蔵)

 

 

大阪城 夏の陣で焼け落ちる大阪城にとどまる淀君を描いたそうです。蒼白の肌、壮絶さをものがたっています。

 

着物は豊臣家の家紋「桐紋」(詳細)で、豊臣家であることを示し、

 

絞りの紅は大阪城を燃やす炎を表すそうですが、淀君の情念の熱さも感じられそうです。

 

■怖かったのは「畜生塚」

豊臣秀吉は、関白職を甥の秀次に譲った後、実子秀頼に関白職を譲るのを見届けるために、謀反の疑いをかけて、秀次と実子、妻、妾39名を殺戮してしまいます。その様を描いた絵だそうで未完です。

 

こちらが詳しいです。

それにしても、体格は西洋の絵画に影響されていそうな。

 

■橘小夢 「嫉妬」

(個人蔵)

この髪の感じは情念の怪奇さを物語っているような。私は、松本零士氏の漫画のイメージに重なっていきます。

 

■少女倶楽部

蕗谷虹児 口絵「夜会の仮装」

(弥生美術館蔵)

 

デザインは西洋のものですが、色合いは印刷技術の都合もあるのでしょうが、十二単を思い出します。

 

音声ガイドは「鬼滅の刃」で下弦の壱を演じた平川大輔さん。女かと思うかのような艶めかしい話っぷりで、音声だけでも、よかったなと思います。特に88番は今回のお題のひとつになっている

「おせん」 邦枝完二著の朗読がすばらしかったです。

 

恐らく、この画像の部分だと思います。

出典:あおぞら文庫

 

要約すると、小町娘のおせんちゃん、庭先で行水しようもんなら、男たちが彼女の肌をひとめみようと躍起。そんな彼女は俳優の瀬川菊之丞に恋焦がれます。そして、当時はやっていた八百屋お七の舞台姿の生き人形を自宅にもってかえってきてしまうのです。

 

#88番を聞いて、安本亀八の「白瀧姫」の生き人形が展示してあった理由がうっすらわかったような…。

 

 

(抜粋)

きちちゃん。――いいえ、太夫たゆう、あたしゃいとうござんした」
きた相手あいてにいうごとく、如何いかにもなつかしそうに、人形にんぎょうあおいだおせんのには、なさけつゆさえあだ宿やどって、おもいなしか、こえは一にふるえていた。

(抜粋ここまで)

出典:あおぞら文庫

 

人形に向かって、愛を囁く美女…。

男性はそそられるのかなぁ…。

 

 

 

今回は古今東西の演目の題材が多かったので、演劇に詳しい方と一緒に行きました。お付き合いいただき、ありがとうございました<(_ _)>。

 

 

 今回、見ることができなかった絵画と大正ロマンな梅の花が入ったスプーンとフォークを買ってみました。お茶の時間が御洒落になりませんかね…。

 

 

 

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