ずいぶん前になりますが、2月26日に「テート美術館の至宝 ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画展」に行ってきました。
ラファエロ前派とは、19世紀の中頃、ヴィクトリア朝のイギリスで活動した美術家・批評家の集まりで、ラファエル前派は、1848年、ロイヤル・アカデミー付属美術学校の学生であったダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・ホルマン・ハント、ジョン・エヴァレット・ミレイの3人の画家によって結成されたんだそうです。
 ラファエロを規範とする保守的なアカデミズムに対し、それ以前の初期ルネサンス美術に目を向け「ラファエル前派兄弟団」を提唱しました。
 
#全然関係ないけど、聖母子像で有名なラファエロ・サンティですが、こういう宗教画も書いています。16世紀初頭でこの怪物のフォルムってすごい創作力でよね…。
■エゼキエルの幻視(1518)


■チラシ




 その中でも好きなのはミレイとロセッティ。
 今回はミレイの「オフィーリア」、ロセッティの「ベアタ・ベアトリクス」、「プロセルピナ」、「受胎告知」そして、「ベアタベアトリクス」のモデルになったロセッティの妻だったエリザベス・シダルの描いた絵も展示されているということで、行ってきました。
 
 エリザベス・シダルは波乱万丈なロセッティの女性関係に振り回されつつも彼の子供を身ごもりますが、死産でした。その後、大量のアヘンをあおって32歳の若さで亡くなります。
 エリザベスが亡くなってから8年後に描き上げたのが、この「ベアタ・ベアトリクス」




 「神曲」の作者ダンテ(ロセッティと同じ名)の永遠の想い人ベアトリーチェが死を迎える場面を象徴的に描いた作品です。
 
 最初に見たときは「強烈な何かを持っている絵」としか思えなかったのですが、改めて見ると、描いた当時の画家の気持ちがわかるような気がして…。この向きだとなんだか不自然なので、首を傾げて横向きに…。



ふと、「最初はこの絵はこうやって横向きに描かれていたんじゃないか」って思いました。

彼女が亡くなった当時、きっと画家はずっと彼女に寄り添って話しかけていたんじゃないでしょうか…。冷たくなった手をしっかりにぎりながら、愛と葛藤の在りし日を思い、再び彼女が目を開けて何事もなかったかのように起き上がり、今度こそはいっしょに幸せになりたい…とそう願いながら…。


 そんな思いがあったんじゃないかと…、今は思います…。



 
■関連リンク
オフィシャルサイト