【映画】KCIA 南山の部長たち #ネタばれ感想 | いろいろといろ

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午前中、持病で病院にいって定期検診後、午後、この映画を鑑賞。ウィークデーなのに、けっこう席が埋まっていました。なんでも、第93回米アカデミー賞(2021年4月25日 ノミネート作品発表は3月15日深夜に発表予定)の韓国代表作になっているのだそうです。

 

「KCIA南山の部長たち」

 

 

 

サーチストーリー(オフィシャルサイトより引用)

 

 1979年10月26日、大韓民国大統領直属の諜報機関である中央情報部(通称:KCIA)部長キム・ギュピョンが大統領を射殺した。大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとも言われるKCIAのトップがなぜ?さかのぼること40日前、KCIA元部長パク・ヨンガクが亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で韓国大統領の腐敗を告発する証言を行った。更には回顧録を執筆中だともいう。激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は、アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触する。それが、やがて自らの運命をも狂わせる哀しき暗闘の幕開けとも知らず・・・。

 

■海外のポスター

 

 

サーチKCIA、南山とは

 

ソウルタワーがある南山、そこに中央情報部があり、その中央情報部を通称KCIAと呼ぶのだそうです。1970年代、大統領のNo.2の権力を持つとされたポジションだそうです。

 

サーチ南山の部長たちとは

 

歴代の情報部長

出典:映画「KCIA 南山の部長たち」

左から4番目の人が映画の冒頭にでてくる、KCIA元部長パク・ヨンガクです。日本の格調高さの象徴、盆栽もあります。

 

サーチ配役

 

イ・ビョンホン:キム・ギュピョン(中央情報部部長)

  ※実在のモデル:第8代  金載圭
イ・ソンミン:パク・チョンヒ大統領
クァク・ドウォン:パク・ヨンガク(元中央情報部部長)    

  ※実在のモデル:第4代 金炯旭(パリで失踪叫び
イ・ヒジュン:クァク・サンチョン(警護室長)

  ※実在のモデル:車智澈警護室長

 

サーチ感想

 

 物語に登場する大統領、KCIA現役部長、元部長の三人は陸軍士官学校の同期でした。日本語で「あの頃はよかった」と「マッサ(マッコリのサイダー割)」の盃をかわしながら話す部長と大統領。1961年に3人が中心となって軍事クーデターを起こします。そして、公私を共に深く知る三人が、時の政権の中でタテの関係となります。韓国をしきっていきます。

 

そのときの情勢は2005年公開の「大統領の理髪師」の中でもこんなエピソードがあります。1960年代、共産党員狩りがあったのですが、「下痢をしたらマルクス(資本論を書いた人)病」とされて、子供(10歳くらい)でさえも、電気拷問をかけられるという…。

※「大統領の理髪師」のオマージュなのでしょうか。この映画でも理髪師さんが出てきます。ソン・ガンポさんじゃないですが。

 

サーチ暗殺された大統領、要人

 

映画全編に「暗殺」をほのめかすセリフやモチーフがあります。

 

■リンカーン像

 

■伊藤博文を暗殺した安 重根(안 중근)

 

それにしても、安重根像の除幕式に誘われているのに、出席しないんですよねNo.2。また、フランスで元部長を暗殺するときに、日本のお札のトランクから銃を出すんですが、そのお札が伊藤博文の千円札のたば。

 

 

#聖徳太子さんの万札のほうがコンパクトでいいなぁと思ったんですが、暗殺された要人のイメージがほしかったのかなと鑑賞後思いました。

 

サーチ大統領の取る方法

■大統領が情報部長に何かやらせたいときの言葉

 

君のそばには私がいる。

君の好きなようにやりたまえ

 

 「君の好きなように」というところが罠ですよね。「君のそばには私がいる」といっておきながら、責任をとらないんですよね。この言葉で元部長も部長も振り回されます。現在、現大統領が徴用工問題や慰安婦問題でも似たようなことをよく言ってますよね。このように首長が責任をとらないのは、首長のならいなんでしょうか。

 

■デモを鎮圧する方法

 

適当に黒幕を用意しろ

 

 適当な黒幕が見当たらないときは、無害な隣国日本になるのでしょうね。

 

 

 

サーチ大統領がほしかったもの

 

 英語の中で語られる限り、当初、掲げたのは「民主主義」。でも、権力が一極集中すると、利権が絡むのは習わし。最初、キム部長に要望するのは、元部長の回顧録「革命の反逆児」の刊行を止めること。キム部長は無事にその回顧録のコピーをもらうわけですが、盗聴されて(クァク警護室長が雇った教授に)その資料の場所をリークされてしまい、日本の「サンデー毎日」にすっぱ抜かれてしまいます。理念を汚されたことを怒っていると思ったキム部長は、クァク室長の裏をかいて、元部長を抹殺(ほんとうに抹殺…)します。

 

 ところが、大統領が欲しかったのは、元部長が不正で懐に入れた莫大な財産。キム部長は大統領の要望に応えられず、側近から失脚。ところで、朴大統領の金庫はスイス銀行の口座やら、金塊やら、ものすごいことになっています。もしかして、日本からの戦後の賠償金なんかもそこに!?と勘ぐってしまいました('◇')ゞ。

 

 

サーチクァク・サンチョン警護室長と蜜月

 

 お金の汚さでは大統領と同じだった警護室長。どんどん二人は密になっていきます。そして、アメリカが背後で推すキム部長が面白くなかった大統領は、とうとう、退任させようとします。

 

サーチ10月26日

 

 当時の日本、1979年10月27日は機動戦士ガンダム30話「小さな防衛線」が初放映された日です。でも、お隣では、ドロドロの暗殺事件が起こっているというこのギャップ…。

 

 暗殺の後、情報本部に行っていればよかったのに、びびった参謀総長にそそのかされて軍部に行き、陸軍に逮捕されます。そして、翌年5月に処刑されたそうです。(はやすぎ!!)

 

 

 

朴大統領の射殺事件については、以下のサイトがとても詳しかったので、リンクを紹介させていただきます。

 

 

前大統領の朴槿恵氏は大統領の娘

 

 朴槿恵大統領は、崔順実(朴槿恵さんの友人)ゲート事件で懲役20年とか…。誰かが仕掛けた罠に落ちたように思われてなりません。この国は、言葉を盛っているときほど、別のところで何かをすすめているような気がします。30年たったら、何かが明るみになるのかもしれません。

 

 

 癒されに行ったというよりは、おべんきょさせてもらった映画でした。

 

 

2月19日追記

聯合ニュースによると、この映画は2020年度興行収入1位だったそうです。

(以下引用)

 観客動員数は04年から12年まで1億人台、13年から19年までは2億人台を維持してきたが、昨年は急減した。

 人口1人当たりの映画館での年間鑑賞回数も10年代に入ってから4回以上を維持してきたが、昨年は1.15回に減少した。

 興行収入は05年以降で最も少ない5104億ウォン(約487億円)で、前年比73.3%減少した。

 昨年の興行収入1位は韓国映画「KCIA 南山の部長たち」で、412億ウォン(観客動員数475万人)だった。

(引用ここまで)

出典:聯合ニュース