【ひとりごと】組織や個人が破綻のスパイラルから抜け出す方法 | いろいろといろ

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 2007年、渡辺淳一原作の『愛の流刑地』が映画化されたとき、ヒロインである入江冬香を演じた寺島しのぶが、冬香の人物像について、こんなことを言っていました。

 「冬香は、関係が深くなるにつれ、どんどん視野が狭くなって、『死』という選択肢しか見えなくなっていくんです」

 優れた女優さんって、単に役柄を演じるだけではなくて、その人物像についても的確な表現をするものですよね。

『どんどん視野が狭くなって選択肢がなくなる』

 いろいろと不幸な事故や自分の命を絶った人を思出だすにつけ、あの人々に共通していたのは『どんどん視野が狭くなって選択肢がなくなる』ことじゃないかと思っています。

『どんどん視野が狭くなって選択肢がなくなる』

 自分が追い詰められたときにも、しょっちゅう起こります。そういうときには、晴れた休日は決まって外に出て、森の空気を吸って、遠い景色を見て、なんとかリカバリをするのですが、なかなかうまくいかないもので。

 個人だとなんとかリフレッシュという形で、本来あるべき視野をとり戻すことができますが、最近、自社や友人の会社にも、『どんどん視野が狭くなって』事業が行き詰る現象が起こっているような気がしています。

『どんどん視野が狭くなって選択肢がなくなる』

 こういう状態に追い込まれると、個人にしろ、組織にしろ、破綻に向かうマイナスのスパイラルに陥るのではないかと・・・・そんなことを思っています。




 そんなマイナスのスパイラルを抜け出すには、いろいろな視野を取り入れてみる…というのが一番ではないかと。そんなことを思っているところに、本日、チャンネルを回していたら、スタンフォード大学白熱教室をやっていて、それに見入ってしまいました。

 講師はスタンフォード大学工学部「テクノロジーベンチャープログラム」のエグゼクティブ・ディレクターである、ティナ・シーリング氏。このプログラムは、学生に“起業家”としてのスキルを提供することで、地球規模で突きつけられている深刻な課題の革新的な解決策を生み出すことを目指しています。生徒は48人の大阪大学の大学生です。

■関連リンク■
スタンフォード大学白熱教室

 1日はどんな内容だったか、覚書を元に書き出してみます。

【ステージ1】良いブレーンストーミング(以降ブレスト)を行うために大事なことを洗い出す(約10個)

 ■あがってきた意見
  ・Topic 適切な問題を提起する。
  ・Key word 1つ1つを短くまとめる。アイディアをシンプルに表現する。
  ・他の人の意見を排除しない。
  ・Say anything どんな意見も言ってみる。
  ・Lots of ideas たくさんのアイディアを出す。
  ・人のアイディアに自分のアイディアをプラスする。
  ・マインドマップを使う楽しむ。

 ※英語の部分は自分の英語の勉強のためのもの。

【ステージ2】最悪のブレストを体験する。
 ■方法
  講師からの課題について、悪いブレストをグループごとに行う(5分)。

 ■生徒達への効果
  悪いブレーンストーミングを行うことによって、悪いブレーンストーミングとは何かを体験するというものですが、これは規約を作ることよりも効果がありそう。

 #うちの会社のブレーンストーミングは、時間の制約があって、まさにこの悪いブレーンストーミングそのもの…。アハハ。

【ステージ3】講師からの課題について、グループ(3人~4人)でディスカッションする。

 ■講師からの課題
 「スーツケースが重くて邪魔。未来のスーツケースを考えてください」

 ■生徒達への効果
  スーツケースについて、4次元ポケットを利用したり、スーツケースの形状を四角からドラムに変えて収納スペース自体を帰る、ご主人様を追跡する装置をつけるなど、斬新なアイディアが出る。ティナさんの誘導で、ディスカッションをとても楽しんでいるよう

【ステージ4】良いブレストを行うためにしたほうがよいことについて、講師から問い、再考させる。

 ■講師からの指摘
  ここでティナさんが強調したのは、「設問の立て方」が問題だということ。ティナさんが与えた課題が「スーツケースに限定したもの」だったために、スーツケースの形状を考えるだけのディスカッションになった。

 つまり、設問の立て方によって、問題解決の範囲が狭められることを強調。

■ポイント

 良いブレストを行うために必要なこと

 (1)前提を疑う。
 (2)いろいろな方向から考える。
 (3)Ideaを付け足していく。
 (4)ティナさんが考える適切な人数は5人~7人
   (いろいろな視点が必要かつ、会話が成り立つ人数であることが必要)
 ↓

 ブレストの参加者は「良いアイディアですね」「では他の視点から考えてみましょう」といったように進める流儀を覚えることが必要で、これらのことを行うためには、言語習得と同じで、何度もトレーニングが必要・・・とのことでした。


 #最初に出した意見を放り出さないで、いったん生徒達に体験させてから、語るところが説得力があります。

【ステージ5】無作為に選んだ3~4人のグループで、課題について考える。

  ■講師からの課題

   「ゴミを価値のあるものに変える」

  ■方法
   ・グループで作戦会議をする。
   ・ゴミをとりあげる。
   ・2時間で価値のあるものにする。
   ・ビフォー1枚、アフター1枚の写真を撮る。
 
 2日22時から放映されます。私は残念ながら、見ることができませんが、生徒達がどんなものを作ってくるのか、興味津々ですにひひ




 「意見を短くきちんと伝える」また、「自分と異なる意見をきちんと受け止める」流儀を持った人が、ブレストをやると、その組織はきっととても強くなる気がします。

 ただ、よくある組織の例では、会議の場でも、自分の意見をまとめることはできない人はだらだら長く話すために、リーダーが自分の視野でとりまとめをしないといけないのが現状。

 まずは、破綻のスパイラルから抜け出すために、組織のグループ員や個人が、「意見をきちんと(どんな立場の人がどんな意見をもっているか、その背景は何かということもふまえて)短く伝えるスキルを磨く」ことから始める必要があるような気がしています。