順当に始まった大河ドラマですが、第4話、5話で、ちょっと首をかしげてしまうシーンがありました。島津斉彬の「やり過ぎ」なシーンです。4話では、父で藩主の斉興との対面で出てきたロシアンルーレットです。父に藩主の座を明け渡そうと迫る息詰まるシーンで、どのような言葉のやりとりをするか期待していたのですが、まさかの展開にあきれ返ってしまいました。視聴者のなかには、思わぬ展開だと驚嘆した人もいたようですが、いくら蘭癖と言われた斉彬でも、あのようなことはするはずありません。


5話では、斉彬が相撲大会で優勝した主人公と相撲をとるシーンがありましたが、いくらなんでも、そんなことはありえません。史実として何かに書いてあったのでしょうか。古文書などに書かれていないからといって「史実ではないこと」と断言することはできません。ただ、単に、このようにすれば話が面白くなるといった制作サイドの自己満足のためにやっているとしか思えません。せっかく渡辺謙を配し重厚ななかでスタートしたのに、あまりの展開に失望しそうです。あまり大袈裟なシーンを盛らないように軌道修正をお願いしたいです。

一時は人事不省となっていた藤吉が職場復帰し、風太とトキがめでたく夫婦となって終えた第16週でしたが、1週間を通して気になったのが、濱田岳が演じる風太の職場での態度です。専務の立場で、部下や芸人に対して怒鳴り散らすシーンが毎日のようにありましたね。あれは、今で言うならパワハラ以外の何物でもありません。「時代が時代、そもそもドラマなんだからええやん」といった声もあるでしょうが、働き方改革を進めるNHKにとって、あのようなシーンを続けざまに流すのは不謹慎極まりないことです。

 

結局のところ、女性職員の悲劇を受けて始まった働き方改革なんて、上層部で叫んでいるだけで、現場には何も伝わっていないということでしょう。だから、あのような言い回しに誰も異を唱えることがないのだと思います。とにかく、先週は、朝から不愉快な気持ちにされられ続けた1週間でした。

ボディーガードというと、すなわちSPを大抵の人が連想しがちなところに食い込み、警察組織とは違う民間の身辺警護に焦点を当てたドラマでは、昨年NHKが放映した「4号警備」が記憶に新しいと思います。今回は、警察のSPに江口洋介、主人公の民間BGを木村拓哉が演じることで、「官と民」の対立の構図に仕立てた点が一番の見どころといってもいいでしょう。

 

第1話では、民間警備会社で身辺警護課が作られる過程で、木村と元自衛官である斎藤工との対立、課長役の上川隆也が警察出身でと江口と接点がある点など、主要人物の人となりが説明台詞ではなく自然な形で明らかになったことは見事でした。そのほか脇を固める豪華な俳優陣が、それぞれ個性ある役柄で熱演していたと思います。

 

平均視聴率は15.7%のようです。バラエティー特番や朝の情報番組に立て続けに出演し番宣を重ねた木村としては、物足りない数字かもしれません。ただ、ここ数年の木村主演ドラマのなかでは、もっとも重厚な仕上がりになっている感じがします。なにより、主人公が背負った暗く苦い過去を映し出す木村の表情は圧巻でした。視聴率はさておき、過去が明らかになるなかで、主人公の人間性がしっかり視聴者に伝わってこそ、木村の面目躍如といえるのではないでしょうか。