真夏の方程式Ⅱ
「また“難問”に悩んでるんだ?」
振り返ると、次女の史(ふみ)が立っていた。
理工学部数学科に通う大学3年生で、家族の中ではいちばん理屈っぽい。
「夏用ライディングウェアのことだよ」
「なるほどねぇ。“涼しさ”と“安全性”と“価格”の三変数問題か」
「なんだ、その数学っぽい言い方は」
史は得意げに腕を組んだ。
「でも、その方程式。たぶん解けるよ」
「お前、バイク詳しかったか?」
すると史は、待ってましたと言わんばかりに胸を張った。
「見くびってもらっちゃ困るわね。こう見えても私、“ワークマン女子”ですから」
「ワークマン? あの作業着の?」
「今どき、作業着だけだと思ってるの、お父さん世代くらいよ」
ぐさりと刺さる。
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