高砂製作所へ
体制はすでに決まっている。実務担当はカーボンニュートラルに詳しい成瀬代理、責任者は山本副部長。私を含め、他のスタッフも全面的にサポートに入る。
会議は終了した。
だが俺の胸の内には、静かに炎が灯っていた。
――ここからが正念場だ。
席に戻ると、成瀬代理が話しかけてきた。
「まずは、カーボンニュートラルについての知見を深めるために、四菱重工業の高砂(たかさご)製作所に行ってみませんか。神戸ですし、距離も近い」
その場で話は決まり、成瀬代理のネットワークを頼りに、翌日俺たちは神戸に向かうことになった。
神戸からさらに西へ50kmほどのところにある四菱重工業の高砂製作所に到着した。
車窓の向こうに、巨大な煙突と無機質な白い建屋が姿を現す。鉄とコンクリートの塊が並び立つ光景は、どこか要塞を思わせた。
ゲートで手続きを済ませ、来客駐車場に車を停め、本部がある建物に向かった。建物の入口では制服を着た若い男性が、俺たちを待っていた。
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