地域戦略部には戦略が無い(144)かつての“食”の中心地 | cb650r-eのブログ

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かつての“食”の中心地

 

「もともと築町(つきまち)は、長崎の“食”の中心地でした。
鯨肉の専門店、蒲鉾(かまぼこ)店、からすみ屋、乾物店……老舗が軒を連ねていて、まさに“食文化の交差点”だったんです」

「それを1998年、古い市場を建て替えて、新しい“食の発信基地”として再生したのが――『マルシェつきまち』でした」



「現在は、民間企業が運営するビルの賃貸業務が主ですが……残念ながら、多くの空き店舗を抱え、苦労しています。
賃料が周辺より高いという声もあり、経営体質を見直しながら、競争力ある賃料設定を模索中です」

「なるほど……」
天野次長が、真剣な顔で考え込む。

「思ったより、簡単な話ではなさそうですね。ただ……」

「ただ?」と伊達木社長。

「このインディゴホテルも、最初は“到底無理だろう”と言われていたんですよね?」

「そう。でも、今はこうして実現してる」
伊達木社長が、柔らかく微笑みながら頷いた。

「だから言うの。天野さんなら、できるわ」

そして、力強く言い切った。

「3年――いえ、2年で。『おさかなマルシェ』、一緒に必ず実現させましょう」



その言葉に、天野次長は静かに頷いた。

「分かりました。まずは、大杉と二人で案を練って、部内で相談してみます」

「千﨑部長がどう判断するか、楽しみにしてるわ」
伊達木社長がにっこりと笑う。

「はい、全力を尽くします」

――一夜限りで復活した、ロシア料理の名店「ペチカ」の夜。
会話と料理、笑いと余韻が、まだ静かに続いていた。

 

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