長崎のお泊りは…。
その日の午後――。
「吉報です」
千﨑部長が、にこやかな顔で天野次長と大杉主任に声をかけた。
「宿泊は『ホテルインディゴ長崎グラバーストリート』が取れました。
まあ、今の長崎では、最高のホテルだと思いますよ」
「ホテル……インディゴ?」
天野次長が首をかしげながら、さっそくノートPCを開いて検索する。
「「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」は、国選定の重要伝統的建造物群保存地区に指定された建物を、リノベーションして誕生したホテルらしいわ」
「まるでタイムスリップしたような異国情緒あふれるユニークなホテルが、そこに――」


「うわ、スゴっ!」
画面を覗き込んだ大杉主任が、思わず声を上げる。
「ずいぶん……古そうなホテルですねぇ」
「古い洋館をリノベーションした感じね。こういうの、ワクワクするわ」
天野次長の胸の内には、懐かしさと高揚感がふつふつと湧き上がっていた。
「う~ん……」
席の向こうから、微かなうめき声が聞こえてくる。
「どうしたの、樫本さん?」
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