OISTへGO!
講演前日の6月21日(土)、天野次長と大杉主任は、一足先に沖縄入りしている。
俺と千﨑部長は当日の朝、伊丹空港から那覇へ向かった。
那覇空港に降り立つと、もう、蒸し暑さと南国特有の匂いが迎えてくれる。
レンタカーに乗り込み、そこから1時間ほど北上して、沖縄県恩納村にある沖縄科学技術大学院大学――通称OIST(オイスト)に到着した。

講演まで少し時間があったので、部長と二人で構内を見て回ることにした。
その近未来的な建築に、俺は思わず唸った。
「うむ。これは……自然と気合が入るな」

やがて開場時間となり、受付を済ませて大ホールに入る。
ざわつく会場を見回しながら、俺は状況を分析した。
「おっと、結構……いや、かなりの埋まり具合ですね」
客層は、ざっと見たところこうだ。外国人が2割、スーツ姿の日本人が5割、そしてかりゆしウェアを着た地元関係者らしき人々が2割。残り1割は関係者か運営スタッフか。男女比はざっくり8対2で、男性が多い。

「ふむ……聴衆の感じ、今回のうちのスピーチにはうってつけかもしれんな」
千﨑部長がぽつりと呟く。
「そうですかねぇ……」
俺は少し疑念を抱きつつも、部長の判断に頷くしかなかった。
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