ジェンダーギャップとダイバーシティ
6月16日 月曜日、夕方――本番まで営業日ベースで残り4日
会議室内での4人の雑談が一段落したところで、俺が「そろそろ始めようか」と声をかけた。
天野次長が前に出て、大杉さんがPCを操作し、資料のスライドをモニターに映し出す。
「では、講演の内容について、私たちのアイデアを簡単に共有させてください。
今回の講演では、以下の4つのキーワードを軸に構成したいと考えています」
1枚目のスライドが切り替わる。
1. ジェンダーギャップ(Gender Gap)
「性別による格差を指します。たとえば“女性管理職が少ない”、“同じ業務なのに賃金が異なる”といった問題ですね。
現在では、単なる“是正の話”というよりも、労働力不足の解消策として“多様な人材の活用”が重視される傾向にあります」
2. ダイバーシティ(Diversity)
「多様性の尊重です。性別、年齢、国籍、障がいの有無、LGBTQなど――多様な背景を持つ人々が共に働く社会をどう作るか。
ここでもやはり、“多様な人材の活用”が中心的な視点となります」
「……なるほど。日本では、“人手不足の補完”という、やや後ろ向きな理由から注目されているわけか」
俺がとつぶやく。
天野次長は、大杉主任に次のスライドの投影を指示した。
3. 公平性(Equity)
「これは、“全員が同じスタートラインに立っているわけではない”という前提に立った考え方です。
たとえば、子育て中の社員に柔軟な勤務制度を用意するといった例が、わかりやすいですね」
4. 公正性(Fairness)
「こちらは、“ルールや評価の一貫性”を重視する概念です。
つまり、“誰にとっても納得感があるかどうか”。成果や待遇に偏りが出ないようにする、ということです」
続けて、大杉さんが次のスライドへと切り替えた。
「この“公平性”と“公正性”の違いを、より直感的に理解していただくために、次の図をご覧ください——」
スライドには、等高の台に立つ3人の子どもと、それぞれ異なるサイズの踏み台を用いた、あの有名な図解が映し出されていた。

なるほど、これはわかりやすい概念図だな――と、俺は心の中でつぶやいた。
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