地域戦略部には戦略が無い(60) | cb650r-eのブログ

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残り5日

 

6月13日(金)夕方——本番まで営業日ベースで残り5日

OIST講演に向けた中間ミーティングが開かれた。

会議室には、天野次長、大杉主任、そして俺と成瀬代理。
大型液晶モニターを見ながら、各自の準備状況を確認する。

冒頭、俺が事前に調べたOISTの概要について説明を始めた。

 



「まず、OIST——正式名称は Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University。
通称『オイスト』です。2011年、沖縄県恩納村に設立された。博士課程のみの大学で、公用語は英語。
国内というより、“国際研究機関”に近い存在だね」

皆が静かにうなずく。

「学生も教員も、半数以上が外国籍。講義も研究も、そして日常のコミュニケーションまで、すべて英語で行われている。
少人数制で、1人あたりの研究支援が非常に手厚いようだ。
Nature誌なんかでも何度も取り上げられていて、研究の質の高さは世界的に評価されているね」

「なるほど……」と、天野次長が小さくつぶやく。

「加えて、OISTは環境保護、海洋研究、地域との連携にも力を入れていて、
“ダイバーシティ&インクルージョン”のモデル校としても知られている。
たとえば教員採用でもジェンダーバランスを重視していて、意思決定層には女性や外国人が多く登用されている」

「……やはり、相当、意識が高いわけですね」
成瀬代理がそう言って、腕を組んだ。

「そうだね。だから、我々が持ち込む講演も、“日本の常識”じゃ通用しないと思ったほうがいい。
“女性活躍”や“多様性”といっても、きれいごとじゃなくて、本気で考えてる人たちの前に立つわけだから」
と、俺が知った風な口ぶりで言うと、会議室の空気が少し淀んだような気がした。


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