そのころ俺は…。
そのころ俺は、自分の部屋のコタツの上に高野山の峠道、通称「K1」のコース図を置いて眺めていた。
つけっぱなしのテレビからはTBSの日曜劇場「御上先生」が始まったようだ。
「峠族の常識破壊を俺に命ずる。」__なんちゃって。馬鹿だな俺は。いい歳して。
「勝負するとすれば、コース中盤の連続タイトコーナーパートあたりか…。」
「なんだか、最近楽しそうですな。」妻の華が、歯ブラシを口に入れたまま扉を少しだけ開けて、覗き込んでいる。
「まあ、久々にツーリングに行くと、面白いヤツがいたりして。」
「へぇ。」と言って、華はスッと消えた。
「来週の日曜日もK1に行ってみるか…。」
俺はそう言いながら、録画中の「御上先生」を巻き戻して、最初から見始めた。
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