オートバイをもう一度(140) | cb650r-eのブログ

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どうする、俺。

 

早いもので、2016年の3月上旬のある日の午後、気づけばもう1年が過ぎようとしていた。田下部長が会議室のドアを開けて顔を出し、難しそうな顔をして俺を呼んだ。

「山本次長、ちょっといいか?」

「はい」と、俺は返事をし、会議室に入った。そこには、医療・介護グループのチーフ、真崎と井村さんが困り果てた顔で並んで座っている。田下部長と俺は、その正面に座ることになった。

「井村、要点だけもう一度山本次長に説明してくれ。」と、田下部長が言った。

「はい、大阪北病院の件です。」

「あぁ、あれか。事業承継と病院本体の建て替えが同時進行しているやつだな。医療法人頴悟会(えいごかい)だな。」と俺は答えた。


「はい、うちが3年ほど前から仕込んで、ようやく本格的にスタートする手はずが整ったんですが…。」

「何かトラブルか?」

「はい、これまで院長先生を窓口に話を進めてきたのですが、ここにきて、理事長の清悟先生が猛反対されています。『自分は「大阪経営」に任せたい』と譲らないらしいんです。」

「大阪経営、あぁ、藤沢社長のところか。」

大阪経営は西日本では、圧倒的な数の医療機関や介護施設のクライアントを持っている。特に藤沢社長は、カリスマ経営者として名高い。

「確か、大阪北病院の事務長は元住銀行のOBで、宇都宮先生はコンサルタントが嫌いで、医療コンサルは契約してないんだよな?」

「事務長の話だと、1年ほど前の医師会主催のセミナーで藤沢社長が講演したのをきっかけに、半年ほど前から、藤沢社長が直接宇都宮理事長にアプローチしていたそうです。」

「で、息子の院長は何と言っているんだ?」

「自分は娘婿だし、理事長の意見は絶対だと言っています。」

「なるほど、事業承継も『出資持分あり』から『なし』へのプランだったな。」

「で、手数料はどんな感じなんだ?」

「はい、ざっくりですが、事業承継で約300万円、建設会社からの建替えにかかるキックバックが建設費の1%で約2,400万円、新病院の電子カルテや機材の納入利益で300万円は固いと思いますので、少なくとも3,000万円ですね。」

「3,000万円か…。でかいな。」俺はつぶやいた。

 


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