オートバイをもう一度(139) | cb650r-eのブログ

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田下部長。

 

4月になり、俺は旧関西貿易本社ビルの5階にある、大阪ビジネスコンサルタンツに出社した。「医療介護経営コンサルタント部 次長」それが俺の新たな肩書だ。

まず、部長の田下さんに挨拶した。「平成二年入社の山本です。よろしくお願いします。」


田下部長は書類を見ながら顔を上げようともしない。噂通りの強面だ。昔は剣道をやっていて、礼節には一切妥協しないらしい。関西貿易時代には、鬼軍曹と呼ばれていたという話だ。
 

顔を上げずに、ただ一言、「山本次長か。ちょっと別室にいいか。」と、小会議室を指さした。
俺が先に入って待っていると、しばらくしてから、田下部長が入ってきた。


「すまん、すまん。急ぎの案件があってな、失礼した。」
「いえ、よろしくお願いします。」
「こちらこそ。俺は平成元年入社で君の一つ上だ。山本次長の活躍は耳にしているが、にしては出世していないなぁ。出世や金には興味がないのか。それとも何か、やらかしたのか?」
「まぁ、そんなところです。」
「奥さんが医者なのがよくないのかなぁ?」
「関係ないですよ。」


「俺は部下にとことん厳しい。ただ、今日初めて集まったメンバーは、旧関西貿易、旧大阪貿易、ほぼ半々だ。俺は組織で仕事をするタイプだ。まずは社員同士の融和を優先する。次長の仕事はまずは融和の旗振り役だ。」
「承知しました。」

確かに、田下部長は社員の前では俺に容赦なかったが、別室では「先ほどはすまなかった」とフォローをしてくれた。この人は信頼できると俺は確信した。

 

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