白浜へいこう!
五月のゴールデンウィークのある朝、思い切って華さんのPHSに電話をかけた。
「華さん、天気もいいし、どこかバイクで出かけませんか?和歌山の白浜とかどうです?ついでに、うちの実家にも寄って、母に紹介したいんだけど。」
「あら、バイク?乗ったことないけど、楽しそうね。いいわよ。」と華さんは即答。
ちなみに、俺は車を持たないが、彼女の愛車はトヨタ・レビン(AE86)のパンダカラー。ただし、ド・ノーマル仕様。だが、マニュアル車に乗る女性なんて今どき希少だ。
白浜では波の音に耳を傾け、実家に寄って母に華さんを紹介した。
医者だということは事前に説明しておいたが、そこは華さん、ひとりの女性として母ともすぐに打ち解けていた。
その場でも話題となったが、華さんの実家は、福岡県太宰府市にある内科クリニック。二人の兄がいて、長男は熊本大学医学部卒、次男は九州大学医学部卒。それぞれ福岡市内の病院で勤務しているらしい。
秋には、俺は母親と新幹線に乗って、華さんが待つ福岡のご実家へご挨拶に伺った。
玄関で迎えてくれたお父様は、まるで大学教授のような威厳と知性をまとっていたが、意外にも物腰が柔らかい方だった。
「ほぉ、海外にいたこともあるんだ。」と、こちらの話にも興味津々だったのが印象的だ。
一方、お母様は茶道をたしなむ品のある方で、和やかな空気を作ってくださった。昔のアルバムなどを見せていただき穏やかな時間を過ごせた。
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