上海雑技団
さて、本日の2つめのメインイベントは、ポートマンシャングリラホテル上海で夕方開催されている「上海雑技団」である。これは、俺は既に数回見たが、毎回度肝を抜かれる面白さである。
予想通り、全員終始絶叫、爆笑していた。クライマックスは階段椅子積みである。これでもか、これでもか、というぐらい積み上がった椅子に逆立ちする演技は、最高潮に達した。
ヤス子さんと華さんは「おもしろかった~。また見たいわね」と言い合っていた。林社長も「これはすごいな。予想をはるかに超えてきたな。」俺は得意気に「そうでしょう。これは、最高のエンターテイメントだと思いますよ。」と言った。
最後のディナーは『陶陶』という上品な中国料理店を予約しておいた。ここのオーナーは日本人らしく、料理の味付けも日本人が食べても全く違和感のない中華料理である。そして、なんといってもこの店のおすすめは「フカヒレの姿煮スープ」である。日本で食べれば5,000円ぐらいするであろうが、こちらではおよそ1,000円程度だ。フカヒレスープをメインに蒸し料理、焼き料理をフルコースで堪能いただいた。
さて、料理もデザートの杏仁豆腐が出てきた。そこで、林社長が俺の肩をたたいて個室の片隅に呼んだ。「今回の上海アテンド相当お金がかかっただろう。費用はすべて俺が出す。もちろん華さんの分も含めてだ。ただ、あいにく日本円しか持っていないがそれでいいな。」 「いや、林社長、今回は一切いただかないことに決めています。実際、そこまでお金がかかっているわけではないんですよ。思い起こせばこの八年間充実した日々を過ごせたのも、全て、林社長が私を大阪貿易に入れるようにご配慮いただいたおかげです。いつか恩返しができれば、とずっと思っておりました。今回、上海をご案内させていただいて、少しは恩返しできたかなと思っています。ですから、上海のことは私に全て、おまかせください。」
林社長はしばらく考えていた。「わかった。ただし、大阪に帰って来たときは必ず連絡してくれ。ヤス子と2人でおもてなしする。もちろん、華さんも一緒だぞ。」 「分かりました。それで行きましょう。」振り返ると、ヤス子さんと華さんは、先ほど見た「上海雑技団」の話題で盛り上がっていた。
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