AVANTI-Shanghai
赴任して数日がたった金曜日の朝。俺は平賀支店長に思い切って相談してみた。
「実は行ってみたい場所があるんですが…バーなんですが。」
「ほう、仕事が終わったら行ってみるか。バーなら、先にハードロックカフェに寄って、夕飯を食べてから行ってみるか。」 「場所はどこだ、名前はわかるか?」
「平和飯店(Peace Hotel)の1階にある『AVANTI-Shanghai』と聞いたんですが、どこにあるのですか?」
「平和飯店なら2月にお前を連れてった『外灘』のど真ん中にある、超有名なホテルだ。田中角栄が宿泊したことでも有名だぞ。よし、分かった。連れていく」と平賀支店長。
タクシーの車窓から見る上海も4月はいい季節である。あちらこちらで工事していて埃っぽいが、悪くはない。
ハードロックカフェ上海で食事を済ませ、平賀支店長と平和飯店にタクシーをつけた。
東京のエバンティと同じような重厚な木のドアである。 俺は、そのドアを開けた。
AVANTI-Shanghaiの雰囲気BGS(※音量にご注意)
そのバーテンダーはスーツ姿の我々を見て言った。 「イラッシャイ、マセ」 「こんばんは。カウンター席いいですか?」 「ドウゾ、オカケクダサイ」 「ナニカ、オキマリデスカ?」 「ビールをください。」 「三徳利(サントリー)でいいですか?」 「はい。サントリーがあるんだ。」 俺と平賀支店長は乾杯した。「このタイプのバーは初めてだなぁ」と平賀さんは言った。
「私、東京から来た山本です。エバンティのジェイクさんにお世話になりました。」 「Oh,Yamamoto-san!。ジェイクから先日レターが届きました。大切なお客様だからよろしくと書いてありました。」 「よかった~。スタンさん、よろしく!」
「私、平賀です。山本の上司です。よろしく」 よかった~。上海の心の拠り所ができそうだ。 俺は、早くもこのAVANTI-Shanghaiを「お気に入り」上海第1号にしてしまった。
