オートバイをもう一度(88) | cb650r-eのブログ

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異動。海外追放?

 

さて、3月14日金曜日である。今日は、4月1日付の異動が発表される。通常、異動はファックスで伝達されるが、今回は上釜副部長が直接上京してきた。支店長と応接室でしばらく話していたが、俺と小川次長にも4月1日付の異動が確実のはずである。

支店内で待機していると、しばらくして松岡支店長が応接室のドアを開け、俺と小川次長を呼び込んだ。
上釜副部長が真面目な顔で言った。「もちろん2人とも分かっていると思うが、4月1日付で異動だ。」

「小川次長は、大阪本店営業部の部長に栄転だ。そして、山本、お前は国外追放だ。」
「国外追放って何ですか?」
「冗談だ。上海支店だよ。実態は駐在員事務所だが、副支店長として赴任させる。」
「もう、びっくりしました。上海ですか。視察も楽しかったので、行ってみようかなぁ。」
「当たり前だ。辞令だぞ辞令。」

そう言いながら、カバンの中から、B5サイズの辞令を小川次長と俺に渡した。
「言うまでもないが、仮面ライダーのお前には気の毒だが、ご自慢のバイクは持っていけんぞ。」
「分かっています。あんなところで運転する気は毛頭ございません。バイクは和歌山の実家に預けることにします。」

「よし。上海でのミッションは2年間だ。特に、アジアの中心になりつつある勢いのある上海を、自分のものにしてこい。」
「先に期限を言っちゃいますかね。」
「いいんだぞ。10年でも、100年でもお前がいたいだけ居て。」
「いえいえ、2年で結構です。それ以上長いとバイクがダメになっちゃいますので。」
「だろう。」上釜副部長は笑みを浮かべた。

「松岡支店長、四年間ありがとうございました。」小川次長が頭を下げた。俺も慌てて同じように頭を下げた。
「本当にお疲れさまだったな。俺も楽しかったぞ。」

 

「さて、小川次長は大阪にどうやって帰るんですか?」
「そうだな。嫁と子どもたちはエスティマで大阪まで帰ってもらおうかな。俺はBMWで帰ろうかと思う。お前も当然バイクで帰るんだろう? 1泊2日、最後のツーリングをやるか?」
「いいですね。最後のツーリング、やりましょう!」

 
小川次長(左)松岡支店長(中)

 

 

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