半年前に、CB650R e-clutch を注文したよ。俺、生きてる?
榊原部長
金曜日の午後3時頃、小川次長に初芝電産の佐仲課長からの電話が回された。
ちょうど自分も四菱銀行の久保田さんと仕事の電話をしていたので、その電話口でのやり取りは聞こえなかった。
俺が電話を切ると、小川次長が後ろから俺の肩を軽く叩いた。
「うちに決まったぞ。」
「え、マジですか!」
俺はすぐさま、初芝電産の北山に電話した。
「お、サムちゃん。今日の夜、京橋に来れるか。7時に、いつものひまわり銀行のATMコーナーだ。」
小川次長のところにさらに1本の外線が入った。
「四菱銀行国際部の榊原です。小川か。今回の初芝電産の案件、完全に大阪貿易にやられたな。まぁ、お見事だ。どんなウルトラCを使ったのか聞きたいところだが、そこは紳士協定。ところで、お前、最近の東京三田会でずいぶんとロビー活動をしてるそうじゃないか。有永が俺に告げ口してるぞ。なんて、冗談だが、初芝さんの被仕向け送金の円転為替は、当行でやれよ。先輩からのお願いだ。」
「はい、お約束します。安永副部長、久保田部長代理にはこれまで大変お世話になりましたし、今後もご指導賜りたいと思います。」

「お~い。安永部長。大阪貿易の小川さんだが、電話変わるか?」(先方の音が漏れ聞こえてくる)
「安永副部長は両手で×を作っているので、電話切るわ、小川。」
電話はそこで切れたようだ。
7時ちょうどに、ATMコーナーに行くと。北山は既に来ていた。「北山さん。私もご一緒させていただいてよろしいかな。」と小川次長がかしこまって北山にたずねた。
このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。