主体性と本気
先に、CSRには、「表面的、形式的な取り組みに終始していないか」「企業風土として根付いていないのではないか」「経営と一体化していないのではないか」という課題があることを書いた。
実際、まったく同じことを行なっても、経営と一体化させ、企業風土として根付かせ、本気でやるか否かで結果はまったく異なることがユニセフの"Change for good"というプログラムで証明されている。
ユニセフの"Change for good"とは、海外旅行などで使い残した外貨を寄付して、途上国のこどもの教育にあてようというプログラムである。海外の帰りに残った外貨の小銭などは持ち帰ってもじゃまになるだけだから、寄付しやすく、多くの人が参加しやすい、よいプログラムである。
多くの航空会社がこのプログラムに参加しているが、国内の某航空会社では搭乗や到着のゲートに募金箱を置いてあるだけで、案内も呼びかけもしていない。たぶん多くの航空会社が同様のことだろうと思う。
CSR報告書で確認しても、募金箱を設置してプログラムに協力している旨を書いているだけで、募金金額は記載されていない。おそらく大して集まっていないはずである。
本気で取り組んでいなくて、押し付けられた義務を果たすという意識なのだろう。
しかし、ブリティッシュ航空は例外で、機内の座席のポケットに専用の回収用封筒を入れ、機内アナウンスを行い、キャビン・アテンダントたちが協力を呼びかけながら回収に回る。
従業員全員がこのプログラムに積極的に参加しようと本気で取り組んでいる。
この結果、ブリティッシュ航空は2002年度だけで3100万$の基金を集めた。
これはユニセフがこのプログラムで集めた募金総額の半分を占めた。
(参考文献:フィリップ・コトラー『社会的責任のマーケティング』)
このように、まったく同じ活動でも、主体的に本気で取り組むか否かで、結果がまったく異なる。
結果が出なければ、ますます意味が見出せずに受け身でいやいや取り組む風土が根付いてしまう悪循環になるし、結果が出ればそれぞれが主体的に取り組む風土が根付く善循環になる。
これはCSRだけのことではなく、一事が万事、事業活動すべてにおける従業員の主体性にもつながってくるはずである。
「ウチはCSRやっているよ」という企業の人は、会社としてどうかではなく、自身が主体的に関わっているかを問いかけてみてほしい。
自分が変われば社会は変わるのだ。