2016年 初旬

何度この映画の予告を見ただろうか。。。

 

そして、見るたびに

 

「また動物お涙頂戴ものか・・・」

 

「予告で絶叫する映画にロクな作品ないよな・・・」

 

などと色々と先入観を持ってしまって

ずっと舐めていた作品。

 

一応原作の小説も軽く目を通していたんですが、

原作では猫が喋る設定だったんで話に乗れず。。。

 

 

そして12月

年末年始にでも見てやろうかなと

半笑いで借りてきたのが本作

 

 

 

世界から猫が消えたなら

原題:世界から猫が消えたなら (川村元気)

監督:永井聡

脚本:岡田惠和

撮影:阿藤正一

出演:佐藤健/宮崎あおい/濱田岳/奥野瑛太/石井杏奈/奥田瑛二/原田美枝子/パンプ

製作国:日本 2016年

上映時間:103分

 

あらすじ

脳腫瘍で余命わずかと宣告された30歳の郵便配達員の青年の前に、青年とそっくりな悪魔が姿を現わす。

悪魔は青年に、大切なものと引き換えに1日の命をくれるという。電話や映画、時計など大切にしてきたものが次々と失われていく中、青年は元恋人と再会を果たし、かつての思いや別れの時を思い出していく。

親友や疎遠になった父の思いに触れ、亡き母が残した手紙を手にした青年は、人生最後の日、ある決断を下す。

映画.comより

 

 

 

正直「どうせつまんないんだろうな。」っとなめてました( ;゚─゚)ゴクリ

 

いやはや、突っ込みどころは幾つかあるものの

作品のテーマが意外と嫌いじゃない作品でした。

そもそも、タイトルがちょっと…って気持ちがあります。

この映画に内容に沿ったタイトルをつけるなら

世界から僕が消えたなら」とかになるのかなと。

まぁ、それだとタイトルの引きが弱いんですけどね。

 

 

どうしてどんな風に思ってしまったかというと

全てはこの予告に詰まっています。

 

 

はい出ました

「今年一番泣けるアピール」

「感動的な音楽」

「自分語りをする主人公」

「感情を爆発させ叫ぶ主人公たち」

「難病設定の主人公たち」

 

代表的なのはこれ系ですね

 

 

 

 

 

 

見終わった後の印象としては

 

※陵南高校より

 

 

余命1日を告げられた主人公

自分と瓜二つの容姿をした死神に、身の回りにある大事な物を一つ消す代わりに1日生かしてやると言われ、様々な物と引き換えていく。

①電話 ②映画 ③時計

そして④猫。

 

本作の良いところは、自分にとってかけがえのない物が消えると

その物に関連した記憶や、人間関係も全て消えていくところ。

 

①電話がなくなる

→電話に関する様々な思い出が消えて無くなる

→間違い電話から始まった彼女との関係も全て消えていく

→次の日、彼女は自分のことを覚えていない

 

②映画がなくなる

→映画を通じて知り合った一番の親友との関係が消える

→映画館で働いていた彼女の姿も消える

 

といった風に、1日寿命をのばすと

人生の大切な思い出や大切な人との繋がりが消えていく。

そこに感情移入できるか出来ないかで、この映画を楽しめるかどうかが大きく変わっていくと思います。

 

作品内でのリアリティーがかなり低い作品なのは間違いないのと、アルゼンチンでのロケ自体がいるのか?といったノイズが多い作品ではある。

 

作家のメッセージ性が強い作品なので、見る人によってはノレない、不快と感じる方もいると思いますが、邦画だから見ないと言わずに見てみることをオススメします。

 

 

自分のかけがえのないものの存在に気付き

その存在とどう向き合うか

そして自分とどうやって向き合うか

 

 

人とどう向き合い、どう生きていくか

そんな事を考えさせてくれる映画でした。

 

あと主題歌もなかなか良い

HARUHIさんが歌う主題歌「ひずみ」も必聴

 

 

本作で猫(キャベツ)を演じている

プロの動物パンプ君の可愛さは必見ですよ

 

ここからはネタバレ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本作は非常に酷評も多い作品

「自分のまわりにあるものはかけがえのないものを一つ消す代わりに、1日だけ寿命が延びる」という設定にノレない人が多いもようですね。

あと、演出が凄くストレートなので「露骨に泣かせにきてるな」感はかなり強いです。

 

 

ストーリー簡易レビュー

郵便配達をしている主人公30歳

 

ある日、急な頭痛でダイナミックに転倒

※あまりに派手に飛ぶんで少し笑っちゃいました

 

病院へ行くと悪性の脳腫瘍と診断され

命の危険性があるため、早期入院を勧められる

※ここでの絶叫はかなり笑っちゃいました

 

その日の夜、自分と同じ姿をした悪魔に

「お前は明日死ぬ」「お前の身の回りのモノを一つこの世から消す代わりに1日寿命を延ばしてやる」と告げられ、了承する。

 

 

そして、一つずつこの世界から消えていく

①電話

母の死後、4年間疎遠になている父親に電話できず、大学時代に付き合ったいた彼女へ電話

まちがい電話を通じて知り合い、直接会って話すのは苦手でも、電話を通じてたくさんの話をした彼女との思い出を思い出す。

久しぶりに再会し、思い出話

未だに映画館で働いている彼女

別れてからも自分の母親と連絡を取り合っていたという

 

なくなった結果 → 彼女との繋がりが消えて他人へ

 

 

②映画

大学で一人、「キネマ旬報」を読んでいたツタヤ(あだ名)に声をかけ意気投合

その後、会うたびにいろんな映画DVDを主人公に貸してくれる。

そんな出会いから二人は親友に。

そんなツタヤのセリフ「映画は無限にある、だから俺たちの縁も無限に続く

 

なくなった結果 → 彼は読書が趣味になっており、主人公とは他人に

          彼女が働いていた映画館も無くなる

 

 

③時計

時計屋をしている父親

 

なくなった結果 → 時計にまつわる思い出と父がやっていた時計屋が消える

              ※ここは映画ではかなり省略されていて分かりにくい

 

そして悪魔は

何かを得るためには、何かを失わなければならないと言い含め、次に消すのは猫だと告げます。

 

 

④猫

 

小学生時代に拾ってきた猫(レタス)

ご飯を食べられなくなり、弱っていくレタスを静かに抱きかかえる母

レタスが亡くなってから、自身も病気に倒れてレタスの写真を見つめる

そんな時、家に「拾ってください」とメモが入った段ボールには子猫が。

段ボールにはキャベツと書かれていたから、父親がキャベツの命名

 

うたた寝から目がさめると

猫(キャベツ)の姿がどこにも見当たらず、大声をあげて探す主人公

※このシーンは色々と自分の過去と重なってグサグサきました。

 

私は幼少期から猫を飼っていて

現在に至るまで、4匹の猫を看取ってきました。

作品後半の猫が見当たらなくて必死に探す主人公のシーン、過去に猫が死んで見当たらなくなってしまった事を思い出して、なかなか胸が苦しくなりました(TωT)

 

 

家の外に探しに行くと、そこにはキャベツの姿が

 

そして郵便ポストには母からの遺言が書いた手紙が届いていた。

※彼女が母から預かっており、電話がなくなる前に投函していた

 

 

母からの手紙を読み、亡き母や父との思い出がある猫たちを消すことはできないと決めた主人公が悪魔に「猫は消さない」と告げる

 

そして「あなたのおかげで、この世界がかけがえのないものでできてるって知った、死ぬのは怖いけど、僕は自分の寿命を知らされて、それを受け入れて死ねる。これって幸せなことなんだ」と言い、自分の死を受け入れる。

 

 

そしてラストへというのが本作の流れになります。

ツッコミポイントが多数ある本作ですけど、主題の「自分のまわりのかけがえのないもの」やラストシーンが示すモノに素直に感動できたので、私はこの映画の擁護派です。(^_^;)

 

 

悪魔の解釈としては「死を受け止められない自分」のメタファーなんだと思います。

 

 

宮崎あおいの「この女、面倒くさそう感」

母親からの手紙について「お前が4年も持ちっぱなしにしてるのはどうかと思う」など、おいおいっと思うところもありますが、私にとっては嫌いじゃない作品の一つとなりました。

 

映画版オリジナルの展開

キャベツがなぜ我が家にやってきたのかの下りは、ついニヤニヤしてしまう展開でツボでした。