ひなは猫用ミルクを喜んで飲んでくれます。

 

しかし、心配もあるのです。

 

 

人間の飲む牛乳はダメだけど、猫用ミルクならOK。

 

昨日の記事はそういう話でした。

 

ただし、があるんです。

 

牛乳に含まれる、リンです。

 

牛乳はリンの含有量が多いのです。

 

 

さらに、ペット用牛乳の成分表を見ると。

 

ミネラル添加物として、リンと書いてあることもあるんですよね。

 

腎不全の猫にはリンはよくないのです。

 

血中のリン(P)濃度が上がると、腎臓病の進行を早めることがわかっています。高リン血症では食欲不振や吐き気の症状がみられることがあります。 高リン血症が増悪すると、血中で多くなったリンはカルシウムと結合して血管や腎臓で石灰化を起こします。

 

 

リンは元々、骨や歯、細胞を作るために必要な栄養素で体にとって重要な栄養素です。

しかし、慢性腎臓病により腎機能が低下すると、余分なリンを体内から排出できなくなり、腎臓へダメージを与えることで、腎臓病の症状が進行していくことが知られています。

リンの摂取を制限した療法食にすることで、生存期間が長くなるということは証明されていますので、まずは、この「リン」を制限した食生活にすることが重要です。

 

 

 

腎不全の動物はリンを尿として体外に出す力が弱くなり、体内にリンが蓄積されてしまいます。

腎臓病用の処方食はリンを制限されておりますが、腎不全が進行すると処方食だけ食べていてもリンが高くなってしまい、腎不全をさらに進行させます。
リンが 1 mg/dL 増えるごとに、死亡リスクが 11.8% 増加し、腎不全の進行のリスクが 41% 増加します。

 

 

リン・カルシウムの代謝異常は骨密度を下げ、腎臓を含んだ全身組織にカルシウムをペタペタと沈着させ、腎機能の更なる低下を引き起こします。実際に、猫の高リン血症の患者さんは有意に生存期間が短いことが示されています。

 

 

 

中毒みたいに、今日明日にも危険ってことではないにしても。

 

リンを摂りすぎは腎臓病の猫にはよくないって話。

 

 

こんなのも見つけました。

 

リンの過剰摂取が猫の健康に及ぼす実験を行った研究論文があるのです。

 

要旨をざっと訳してみましょうか。

 

私は獣医学に関しては素人ですので、翻訳に不正確な部分があるかもしれません。

 

目的

高いリンの摂取は慢性腎不全を患う猫にとって、腎臓の健康をさらに損なう可能性がある。リンを多く含む食事が健康な動物にとって腎毒性があるかもしれないという仮説を、もとより慢性腎不全の発症率が高い動物種である猫で検証した。

 

方法

13頭の健康な成猫にリンを過剰に含む食事(維持必要量の約5倍)を与え、この群(HP群)とバランスの取れた食事コントロール食(CON群)を与えた猫と比較した。試験期間は29日間、糞便および尿の採取は10日間である。試験終了時に内因性クレアチニンクリアランス*を測定した。新鮮尿にはブドウ糖とタンパク質の検査を行った。

 

(*この数値が小さいほど腎の排泄機能が低下している、訳註)

 

結果

HP群でのみ、ブドウ糖尿と微量アルブミン尿が13頭中9頭の猫に認められた。高リン食を給与後、クレアチニンクリアランスは有意に低下した。HP群ではリンが高く見受けられた(見かけの消化率約60%)。腎リン排泄量はHP群で有意に増加した(115mg/kg体重/日に対してCON群では16mg/kg体重/日)。

 

結論と関連性

高いリンを過剰に含む食事の摂取は、健康な猫の腎機能のパラメーターに悪影響を及ぼす可能性がある。

 

 

結論前後を読むと、こんなことも書いてあります。

 

食品の安全性に関する疑問に答えるには、食事中のリンの総量を測定するだけでは不十分であるだろう。なぜならばリンの有機供給源(主に蛋白質源)と無機供給源(添加物)では無機供給源の方が生体利用効率が高いため、その効果におそらく違いがある。

 

具体的なあれがいいよこれがいいよとアドバイスすることまでは、この論文ではできないってことでしょうかね。

 

こういう実験結果が出ているということを念頭に、個別状況で考えていくしかないわけです。

 

で、ひなの状況でいうと。

 

3歳から腎不全を患っていますからね。

 

牛乳を与えることに、心配はあります。

 

 

リンもさることながら、タンパク質も当然あります。

 

腎不全にはタンパク質の制限が必要です。

 

この点でも慢性腎不全の猫に牛乳を飲ませるのは、反しています。

 

しかし。

 

現実的な問題というのも、あります。

 

 

猫用ミルクがいまの彼女にとって、貴重なカロリー摂取源であることは間違いないのです。

 

メインクーンの巨体を支えるのに、3kgに満たない体重ではいけません。

 

飲むのと飲まないのと、どっちが寿命を縮めてしまうのか?

 

あとになってみないとこれは、なんとも言えないところです。

 

 

私はいまをとることにしました。

 

先々のことを考えていけるほど、先は長くありません。

 

ひなは今年で16歳になります。

 

理論的にはわかるんだけど、現実的にはっていう問題・

 

飼い主は直面するものなのです。

 

 

ここまでの写真は、2年前のものです。

 

 

2年前の今頃から、歯周病の悪化が顕著になりました。

 

2年前に6.5kgあった体重は、半分以下になりました。

 

毛並みも良くないし、治療に使ってるステロイドの副作用も出ています。

 

腎臓に良くないとわかっていても。

 

猫用ミルクに頼らざるを得ないことが、あります。