家猫・琥珀 旅立ちの日の奇跡(追記:2024年4月11日一周忌を迎えて) | ねこ遊び備忘録

ねこ遊び備忘録

猫遊び・備忘録
A reminder to play with cats

琥珀・旅立ちの日の奇跡



2015年12月10日 脳腫瘍が原因で最初の発作が起こり、以降何度も発作を起こしながらもステロイド剤の長期連用で発作を抑える処置を行ってきました。

2022年10月04日 身体がついに耐えきれなくなったようで腎臓の機能が急速に低下してきました。このときの体重が4kgでしたが、以降体重測定の度に急速に減少して行きました。測定の度に確実に数字で命がすり減って行くのを思い知らされました。獣医さんには「体重が3kgになってから1週間ほどで。」と余命宣告を受けていましたが、琥珀は難なくクリアして行きました。

2023年4月02日 完全拒食が始まりました。すでに体重は2kgまで減少していました。最後の時を覚悟し、妻と協力して24時間体制で添い寝をすることにしました。どうしても最後の時を一人で旅立たせるのは避けたかったのです。今までありがとうと感謝の気持ちを伝えたかったのです。ただただ大好きなこの子の顔を見つめて、水を飲みたい、おしっこをしたいという無言のアクションを見逃さずに対応していたこの時間は、本当に宝物のような時間でした。



2023年4月11日 いよいよ最後の日を迎えました。前夜には泣きながらこの子ための棺を自作しました。悲しいことにずっと一緒にいるとなんとなく最後が近いことがわかってしまうのです。呼吸数は1分間に10回程度まで低下していました。琥珀は元気な時は妻のお腹に乗るのが好きでした。また毎日私の仕事部屋にきて、私のあぐらの中で甘えるのが日課でした。妻が急にお腹の上に乗せたいと言い出しました。そうしてあげようねと同意し5分ぐらい乗せていました。しばらくして妻があぐらに乗せてあげたらと促してきました。私は病気が酷くなって痩せてしまい、骨と皮になってしまったこの子を、骨っぽい私のあぐらに乗せるのは痛そうで可哀想に思い避けていました。あぐらに乗せて30秒ぐらい過ぎたときに琥珀が笑ったように見え「クー」と小さな声で鳴きました。妻に「琥珀が笑ったよ」と伝えようと頭の中で思いましたが、実際に私の口から出てきた言葉は「琥珀が旅立ったよ」でした。琥珀が呼吸をやめたことがすぐにわかってしまったから。あまりにも急な出来事に妻は琥珀の名前を連呼し泣き叫んでいました。私も後悔の涙が止まりませんでした。この子が最後に毎日乗るのが日課だった私のあぐらに乗せてもらうことだけを願って頑張って生きてきたことが伝わってきたから。もっと早く気づいてあげたら、もっと早く楽にさせてあげることが出来たのではと思うと悔しさで涙が止まりませんでした。

琥珀永眠(2008-08-20~2023-04-11)。

 姉の紅と妹の香にお別れをさせて、お棺に納めました。足下には大好きだったご飯やおやつをたくさん詰めて、顔の周りには明るくて周りをいつも笑顔にさせてくれた琥珀に似合ったひまわりの花を添えました。




 火葬の時には腕に六文銭を抱いていたので無事に川を渡って行くべき場所に行けたのではと思います。



 琥珀の最後は発作による突然死になるのではと予想していました。でも琥珀はとても優しい子なので、発作の度にオロオロする私や妻の姿を見て発作では死ねないなと思っていたようです。琥珀は一番つらくて苦しい餓死という方法を選択しました。死んだときの体重は1.7kgでした。もう骨と皮だけで薄く平たくなっていました。しかし、琥珀が最後に私に見せた表情は悲壮感は全くなくて「僕は全力でやりきって、願いも叶ったから旅立つよ」というような満足げなものでした。

 骨になって家に帰ってきた琥珀の骨壺の裏側に「長い間病気と闘ったね。自由になれて良かったね。」と言葉を添えました。もしあの世というのがあるのなら、病気のせいでご飯も食べられず目も見えず動くことも出来ない不自由な身体から解き放たれて、大好きなご飯をお腹いっぱい食べて、大好きな朝日をたくさん浴びて、大好きなセミを追いかけ回して遊んでいて欲しいと願わずにはいられません。

 琥珀のことを想うと今は涙しか流れてきません。
琥珀と暮らした日々が、楽しくてうれしくて輝いたものであればあるほど、失った悲しさや寂しさもつらく深いものになっています。「こんな思いをするぐらいならもう二度と猫は飼わない」何度この思いをかみしめてきたことか。しかし私はわかっています。いずれ楽しかった思い出の方が必ず寂しさを上回ることを。
でも今はまだとても...
 長い道のりになるとは思いますが、琥珀のことを想うと顔がにっこり心もほっこりする日が来ることを楽しみに待ちつつ、今をやり過ごしています。

 

追記:琥珀の旅立ちから1年経って(2024年4月11日)
半年ぐらいは毎日、思い出しては涙を流す日々を過ごしてきました。
10月に入り琥珀の大好きだったイワサキゼミが大合唱する頃には、思い出したことを嬉しく思えるようになってきました。
今年2月にノノを家に迎えました。
ノノは琥珀のことを忘れさせる存在ではなくて毎日思い出させてくれる素晴らし子です。
琥珀のような立派なウンチをし、琥珀のように足の周りをスリスリし、琥珀のようにトイレに入っているときにドアの下側の隙間から前足をチョイチョイ出していたずらをし、琥珀のようにお風呂に入っているとドアの前で待っている子です。
今では琥珀のことを思い出すことが嬉しくて楽しくて心がほっこりする時間になっています。