京都では四条堀川のホテルに泊まっていて、観光するには本当に便利な場所だった。
阪急と嵐電の大宮駅というのが、歩いてすぐのところにあって、駅のすぐそばには進々堂というパン屋さん、それに昔ながらのフルーツパーラーという趣のヤオイソというお店があった。
観光客で混雑する時間を避けて、朝早い時間に出かけたりすると、午後早い時間に軽く疲れるので
この便利な場所のホテルに一度戻ってひと休みをすることがあった。
そんな時のために、大宮駅前でホテルでのおやつに買ったのがフルーツパーラー、ヤオイソのフルーツサンドイッチ。
そこは昭和の雰囲気のある、それほど大きくはないお店。果物屋さん。
フルーツパーラーもあるので、そこでもいつか食べてみたい。パフェとか、あるんだろうか?
果物屋さんにはフルーツサンドイッチの並ぶショーケースと、果物の冷蔵庫、そしてお店の真ん中に贈り物用の果物が明るい照明の下に並んでいた。
ご夫婦だけでやっている雰囲気で、ご主人が注文を受けてくれた。
海外に暮らしていると、こういう包装紙が懐かしくて、同時に新鮮に感じられる。
しばらくホテルの冷蔵庫に入れておいて食べたサンドイッチは、しっとりとして、ホイップクリームの新鮮さや果物の酸味や甘味が楽しかった。いろんな種類の果物が違う大きさでパンに挟まっているのが面白い。
最近、流行っている感のあるフルーツサンドだけれど、ここのフルーツサンドはきっとずっと昔から地元の人々に愛されてきたのだろうなと思った。
進々堂というパン屋さんも、駅の目の前に小さな店舗があって、ショーケースの内側に売り子さんが1人立ってパンを売っている。ある夕方、クロワッサン、ベーコンエピ、チーズパンなどを翌日の朝食用に買った。
無料の短編小説が店先においてあって、自由にもらえるという。
作家は、いしいしんじ。とても不思議な話を書く人で私は好きだったので、喜んでもらってきた。
題名は「クロワさん」
クロワさん。という女性宇宙飛行士とクロワッサンの話。
確かに、進々堂のクロワッサンはパリッとしていて、相当に美味しかった。近くに住んでいたら頻繁に買いに行くだろう。でも、京都でしか買えないというので、さらに美味しく感じたのかもしれない。
こういうふうに、旅先で小さなお気に入りの食べ物を見つけるのって、小さな宝探しみたいで楽しいし、人にも教えたくなる。フルーツパーラー、ヤオイソのフルーツサンドイッチと、進々堂のクロワッサン。