旅の間の食事というのは、みんなどうしているのだろう?
3食、宿の食事や外食なのだろうか?
それとも、コンビニやスーパーで買ってきたものを食べることもあるのだろうか?
私の場合は半々くらい。
どこに行っても、その土地のスーパーマーケットには絶対に買い物に行きたい。
地酒を買ったり、その土地の旬の野菜やお惣菜を買ってみたりしたい。
そしてもちろん、その土地のレストランやお料理屋さんでも食事を楽しみたい。
何年か前の京都ならば、錦市場で玉子焼きを買ったり、焼いた鱧を買ったりするのが楽しかったのだけれど、今回はまるでディズニーランドの人気のあるアトラクションの行列のような混み具合の錦市場には近寄りたくないのだった。
風情のある夜の先斗町界隈も、すごい人。なんでも、オーバーツーリズムとかいう観光客過多の状態なのだそうだ。
落ち着いた雰囲気の場所で、値段に釣り合った料理をちゃんと食べたい。
観光地では、ちゃんと下調べをしておかないと、なんとなく入った店で、イマイチの料理とイマイチのサービスにそれ以上の料金を払わないといけないことになることが多いので、なんとなく損をした気持ちになることが多い。
その日は息子が、夜、友達を落ち合って遊びに行くというので、私は夕食を京都駅の伊勢丹に買いに行くことにした。
伊勢丹の地下には魅力的なお惣菜やお弁当を売る店が多い。
ぐるぐると歩き回って、悩んだ結果、下鴨茶寮のお弁当を買うことにした。
十二絵巻。おうち料亭とある。
1人のホテルでの食事にぴったりではないか。
ホテルの近くのスーパーで京都の地酒を買ってきた。
ホテルの10階の窓からは、道路を隔てたマンションのいくつものベランダと窓が見える。その向こう。遠くに東山が見える。
お酒をちびちびと飲みながら、このお料理をいただいた。
筍の梅和え。筍が若々しくて柔らかくて、梅もほんのりとした酸味でちょうどいい味。
一つ一つが、当たり前なのだけれど、全部違う食感で、違う味で、じわじわと噛むごとにねっとりとした、滑らかで柔らかい、プリッとした、じゅんっとした、ほっくりとした、感覚とともにしみじみとした味わいがゆっくりと口の中に広がってゆく。12の小さな箱ごとの感動があって、心地の良い集中力で平らげていった。
私は音楽のことには詳しくないのだけれど、これはオーケストラみたいな感じなのかなと思った。
ハーモニーとか、シンフォニーとか、音楽の始まりとか終わりとか、そんな感じがした。
あんまり美味しかったので、この感動を分かち合いたくて、帰りの日には姉に同じお弁当を買って帰った。
帰りの新幹線の食事には、同じく伊勢丹地下街で、これよりももっと高額なある老舗料理屋のお弁当を買って食べたのだけれど、味が濃くて、私の好きな味の料理ではなかったのでがっかりした。
だから、また京都でお弁当を買う機会があったら、また下鴨茶寮のお弁当にしようと思っている。
今度は、いつ行けるかな。
また京都に行って、こんなお弁当を食べたいと思う。