アスパラガスと苺。

この季節、毎年楽しみなのがこの二つ。

そうなったのはたぶん、大人になってからで、そしてアメリカで暮らし始めてからだと思う。

 

日本では苺はグリーンハウス栽培のものが冬には出荷されるので、苺が4月や5月の果物だというのは南カリフォルニアに暮らすようになってから知った。

引っ越してきた頃、海辺をドライブしていたら広いストロベリーフィールドがあって、労働者が苺を摘んでいるのを見かけた。いちご狩りの看板があった。

 

この時期スーパーに沢山並ぶようになる苺のパッケージからは強く甘い香りがする。

それまでに出ていたものとは、苺の色艶も香りの強さも全然違うし値段もグッと安くなる。

ポカポカの陽気と青空と赤い甘い香りの苺。カリフォルニアの4月半ば。

 

今年は家の庭でも苺の苗を育ててみた。

買ってきた土の袋の上部をカッターで切り取って植えただけの怠惰な畑のわりに、苺はすくすくと成長して花をつけて、ゴロゴロと実がなり始めた。

収穫できる苺の数はたかが知れているけれど、これが、びっくりする美味しさ!

ほんの少し酸味があって、とっても甘くてジューシー。カリフォルニアの気候は苺にとてもあっているのだと思う。

 

この季節、同じように店頭に並んで安くなるのが、アスパラガス。

緑色の細くて柔らかそうなアスパラガスが沢山、束になって売られている。

これはグリルしたり、バターソテーにして食べると香ばしくてとっても美味しい。

 

そういえば、ケンブリッジに暮らしていた時は、この季節ホワイトアスパラガスが出るのをとても楽しみにしていた。

白というか、水分をたっぷりと含んだ象牙色の太くて艶やかなアスパラガスは、とても柔らかくて、舌触りが滑らかで甘味があった。茹で汁でもリゾットを作ったりして毎年堪能していたなあと思い出す。

 

夫の実家のコロラドでは、用水路の周りに野生のアスパラガスが生えるのだった。

用水路の水は清らかなロッキー山脈の雪解け水。

摘んできたアスパラガスの両端を持ってポキリと折る。

しなやかで柔らかなところが残り、硬いところは捨てる。そのアスパラガスをバターでじっくりとソテーしたものはびっくりするほど味が濃くて、柔らかくて、美味しい。

 

今年もまた、アスパラガスと苺を楽しんでいる。スーパーで手に取って、匂いをかぐ瞬間も、元気な緑色と赤を目にするときも、ああ、またこの季節が巡ってきたのだなあと思う。

飽きるまで、しばらく毎日アスパラガスと苺の日々は続く。