ロサンゼルスのユニオンステーション。
私の周りの人たちはロスへ行くとなると、車で行く人がほとんど。
電車やバスを利用する人はほとんどいません。
日本やヨーロッパでは、市民が市電や電車、バスを大いに利用しているのになぜアメリカでは
公共交通機関を利用する人が少ないのでしょうか?
飛行機がそれほど普及していなかった頃、人々は鉄道で旅をしていたはず。
そして、古い駅にはその頃の名残があって、そのエレガントな佇まいを見るのが私は好きです。
ユニオンステーションは、まさにそんな、アールデコの様式の、椰子の木が目の前に並ぶロサンゼルスらしい佇まいの駅でした。
昨年、トレインフェスティバルというイベントがあったよう。このポスターもとてもいい。
駅のエントランスは金色のフレームの大きなアーチ型のガラス張り。
大きなTICKETSの文字。
中に入るとタイルの飾り、天井、照明器具がユニークで歴史を感じさせます。
この右側の木のカウンターは昔のチケットカウンターだったところだそうです。
このエリアは立ち入り禁止で、イベントへの貸し出しがされています。
きっと映画の撮影などでも使われていることでしょう。
駅の中にはバーがあって、賑わっていました。
酒瓶がずらりとバーテンダーの後ろに並んでいて、そのクラシックな感じはイギリスのパブを思い出させました。
さて、帰りの列車に乗るためにプラットフォームに向かいます。
列車は途中で何かがあって停止していたらしく遅れるという連絡が携帯電話に入っていました。
駅のホームでも、駅員さんが親切に遅れる理由を向こうから説明しにきてくれました。
隣のホームに寝台車や食堂車のついた列車が入ってきました。
年配の人たちがカートに大勢乗せられて電車の前までやってきて、ゾロゾロと電車に乗ってゆきました。
食堂車の窓際のテーブルの花瓶が見えます。
私も一度寝台車での旅をしてみたいなと思いました。
遅れてきた列車に乗って、2階の海側の席に座りました。
前半は内陸部を走るので、海が見えるのは後の半分になります。
列車から海のサンセットを見るのが楽しみだったのだけれど、遅延があったので見られるかな?とそわそわします。
周りでは1階の車両から買ってきたらしいビールを飲んでいる人たちもいます。
私は本を読んだり、音楽を聴いたり、うとうとしながら前半を過ごしました。
本は紀ノ国屋書店で買ったものです。
読んでみたかった武田百合子さんの本。最近知った作家なのですが、もう没後30年にもなる人なのですね。
そして、サンセットはしっかり見られました。
渚を走る列車の車窓からはオレンジ色から藤色に変わってゆく空と同時に色を変えてゆく海が眺められました。
ビーチでキャンプをする人、散歩をする人、サーフボードで海に浮かんでいるサーファー達、海辺で焚き火をする人たちが
見えました。
サンディエゴのオールドタウンに着いたのは予定を40分過ぎた8時半でした。
もうとっぷりと夜になっていましたが、暖かかった昼の熱が空気の中に残っていて、駅に降り立った時にふわりとした夜を感じました。
今回は、車の代わりにアムトラックを使ったことで思いがけない楽しみが沢山あって面白かったです。
旅に出たくなりました。