アルザス地方。黒い森。耳にしたことはあったものの、今回訪れるまでは、どこにあるのか、どんなところなのか考えた事もありませんでした。
数日前にアルザス地方のストラスブールへ行ってきました。
夫が職場の仲間から、素敵なところだから是非訪れるべきだと勧められたからです。
ストラスブールは車でシュトゥットガルトから2時間ほど。
ブラックフォレスト(黒い森)を通っていきます。
何日か前までは気温はマイナス7℃の寒さで積雪もあったものの、ここ数日はそれほど寒くもなく、雪もだいたい溶けていました。
でも、ブラックフォレストにさしかかると雪はまだ残っていて、さらに霧が立ち込めてきました。
曲がりくねった道。急斜面に深く続く黒い森。たまに現れる山小屋のような建物。
視界も悪くなり、少し不安で、緊張するようなドライブになりました。
その雪山と森の景色は少し怖くて不思議で、グリム童話のヘンゼルとグレーテルを思い出しました。
たまに現れる家はまるでお菓子の家のような可愛らしさです。
ドイツに来てから、グリム童話のことをよく考えています。
エスリンゲンの中世のクリスマスマーケット。森の中の散歩。雪の降る夜に歩いているとき。
古くからいる土地の精霊がなんだかすぐ近くにいるような気がします。
ストラスブールは、ドイツとスイスと国境を接しているフランスの街です。
私たちはドイツ側に車を駐車して、トラムに乗ってライン川を越えてフランスに入りました。
ほんの2、3駅でそこはもうフランスです。
クリスマスマーケットの行われている大聖堂の近くの駅で降車。
スーパーが、フランスのチェーン店になり、看板がフランス語に変わっただけじゃなくて、急に雰囲気がしっとりとしてフレンチな感じになった気がします。
遠くに大聖堂の尖塔が見えて歩き出すと、運河にさしかかりました。
水上バスが運行しています。
なんとなく、この運河はこの街の中心地をぐるりと回っているのではないかと思ったのですが、後で地図をみたら
やはり堀のように大聖堂を中心としたエリアを囲んでいました。
時間はまだ午後3時。
でも、もうすっかり夕方の空気。
街の中心であろう大聖堂は巨大で、フィレンツェのドゥオモを思い出させるサイズ感でした。
大聖堂の周りから、街をぐるりと囲む堀のような運河の内側はまるで
迷路のように屋台の並ぶクリスマスマーケットになっていました。
上の写真に見えるVin Chaud というのは、ホットワイン。
ドイツのクリスマスマーケットと食べ物も飲み物もほとんど同じですが、名称だけが変わっています。
店員さんとのやりとりもボンジュールで始まります。
お土産屋さんでは、アルザスと書かれたお土産物が多くて、コウノトリのグッズが多かったです。
春にはコウノトリがやってきて、巣を作り子育てする土地なのでしょう。
街は古くて趣がありました。
古い歴史があるだけでなく、EUの重要なオフィスがあるという未来を担う街でもあるようです。
美しくて繊細なケーキが売られているお菓子屋さんがあったりして、それはフランス菓子のようでした。
日が暮れてくると。空気の色や冷たさや澄んだ感じがオーストリアやベルギーの街に似ている気がしました。
それは、なんだか寂しくなるような妙に澄み渡った青い空気です。
この北ヨーロッパの冬の寂しさや暗さ、黒く長い夜を乗り越えるためにクリスマスの明るさや楽しさは生まれたのかもしれないなあと思いました。
日が暮れると、街はライトアップされ、人もどんどん増えてきます。
橙色の灯りに照らされて、皆楽しそうにそぞろ歩き、ワインを飲み、屋台の食事を楽しみ
クリスマスマーケットの、まるでディズニーランドのような非現実の楽しさに酔いしれているようです。
連日のクリスマスマーケットで、人混みに私は少しだけ疲れてしまいました。
クリスマスマーケットは楽しかったけれど、今度はお祭りじゃない時に、ゆっくりとこの街を訪れたいと思いました。