カミーノ8日目〜悲しみのマリア像〜 | ケンブリッジ生活・サンディエゴ生活

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2019年からのイギリス・ケンブリッジ生活を機にブログを始めました。2023年春からは、アメリカのサンディエゴに暮らしています。

カミーノ8日目。Viana~Logroño

 

前日ふいていた、獰猛ともいえるような強風もやみ、いつもよりも気温の高い朝だった。

それまで、歩き始める時の気温は0℃、1℃という気温だったのにこの日は朝11℃もあった。

 

 

夜明け前のコバルトブルーの空。

街の外れの門をくぐって、街を出てゆく。

 

前日に知り合いのほとんどが向かった街、ログローニョは大きな街だった。

ヴィアナからは9キロほどだったので、朝の9時過ぎについた。

 

ログローニョに近づくと、遠足だとか修学旅行といった感じの小学生から高校生くらいまでの学生がたくさんいた。

小学生は中世から続く巡礼の旅路のことを学んでいるらしく、白い帆立貝をバックパックにつけて歩く私をみて興奮して、『ピルグリム!ピルグリム!」と手を振ってきた。

引率の先生らしき人が、どこから来たのですか?

と聞くので、『ヨ ソイデ ハポン!(日本から来ました)」と言うと、とても盛り上がった。

実際はイギリスに住んでいるので、ちょっと違うのだけれど、旅の間、どこから?と聞かれると

日本と答えていた。すごく遠くから来た感じだし、日本人は珍しがられた。

 

ログローニョは大きな街と聞いていたので、1日を過ごしてもいいかなと思っていた。

ただ、まだ宿にチェックインするには時間が早過ぎたので、少し観光をすることにした。

エブロ川を渡る手前にインフォメーションセンターがあったので、立ち寄ってみた。

すると、ここの人たちがとても親切だった。

ここでは、大きなバックパックをコインロッカーで預かってくれるらしく、お金は戻ってくるからね。と1€のコインまでくれた!(後で返したけれど)

 

身軽になって、ピエドラ橋という美しい橋を渡っていたら、大きな鳥が飛んでいるのが見えて写真を撮った。コウノトリだった。

道ゆく人が、あっちの方に行くと建物の上に巣を作っているよ。と教えてくれた。

スペイン語だったけれど、言っていることがわかった。ログローニョでは、道で人が話しかけてきたりして、人々が人懐こい感じだった。

 

 

この後も、コウノトリはよく見かけた。

教会の塔や、高いところに巣を作っているのだった。

 

私は大きな鳥が飛んでいるのを見るのが好きで、サンディエゴではペリカン。ケンブリッジでは白鳥が飛んでいるのを見るのが好きだったので、ここでも、大きなコウノトリを見かけると訳もなく嬉しくなった。

 

ログローニョでは、前日に到着していた知り合いに、いろんな街角で出会った。

彼らは前日、楽しい夜を過ごして、その日もログローニョでもう1日を過ごすか決めかねているようだった。

 

 

ログローニョは、ラ・リオハ州の州都で、巡礼路上の街として長い歴史があり、洗練された街だ。

遅い朝食を、アールヌーボーのデザインのカフェで食べた。

 

 

カフェオレと甘いクロワッサン。これで3€くらいだった。

このクロワッサン、外はパリッとしていて中はフワッとしていてとっても美味しかった。

しかも、大きい。

私の手の大きさと比べてみてほしい。

 

 

このあとは有名な教会などに立ち寄ってみることにした。

 

 

 

サン・バルトルメ教会という12世紀に建てられた教会は、今まで見てきた金色の物凄い装飾の教会とは違っていて、シンプルで静かな雰囲気で印象に残った。

 

 

また、訪れた教会の一つで、私は初めて悲しむマリア像に出会った。

イースターの前の聖週間を控えて、その聖週間〜セマナ・サンタ〜の準備が始まっているようだった。山車に載せるマリア像などの飾り付けがされていた。

 

マリア像というと、超然とした、穏やかな微笑みの幼な子と共にいるマリア像や、スーパースターのように後光の指す、マリア像しかイメージになかったので、この悲しむマリアを目にして、私はとても動揺した。

眉をよせ、手には白いハンカチを握りしめ、涙を流すマリア。

愛する息子が目の前で苦しみ、死んでいくのを見る母親の苦しみと悲しみがその表情にはあった。

 

 

イースターは、復活祭であり、繁殖の象徴でもあり、イースターエッグやイースターバニーという私には、それまでカラフルで楽しいイメージばかりだった。

キリスト教的にも、復活!奇跡!というポジティブなイメージがあったので、このキリストが磔にされる前後の苦しみや悲しみをリアルに想像する聖週間というカソリックのイベントは、私には新しい経験だった。

この旅で、学ぶことは想像していた以上に大きそうだった。

 

教会は開いていたけれど、街はまだ半分眠っているような感じで静かだった。

特にすることもなくなったので、インフォメーションセンターに戻ってバックパックを背負い、次の目的地ナバレッテまで歩くことにした。

ある教会の前で、知り合いのリカルドが大勢の小学生に囲まれて、巡礼者として先生からインタビューを受けていた。ちょっとおかしかった。

ドレッドヘアで、長身の彼は、色々インタビューされて、ちょっと困った表情を浮かべていた。