カミーノ6日目〜蛇口からワイン〜 | ケンブリッジ生活・サンディエゴ生活

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2019年からのイギリス・ケンブリッジ生活を機にブログを始めました。2023年春からは、アメリカのサンディエゴに暮らしています。

この日は宿の目の前にある Casa CarmenというBarで朝ご飯を食べることにした。

ここ、とても美味しかったので前日の夜もここで食べるべきだった!と思ったくらい。

 

 

頼んだのは、カフェ・コン・レチェとツナの入ったエンパナーダ。

ここのエンパナーダはサクサクでツナがフワッとしていて美味しかった。

バスクチーズケーキも美味しそう、、、。

 

 

友達になったリーが入ってきて、一緒に朝ご飯を食べた。

リーは毎朝、カメラで動画を撮っていて、旅が終わったら編集するのだと言っていた。

彼は以前テレビ局で働いていたことがあるらしい。この時も朝のBarの様子や朝ご飯を撮りながら韓国語で説明をしているようだった。

 

リーは、その街の歴史、教会のことなどをよく調べていて、詳しかった。

目をぱっちりさせて、慣れない英語に奮闘しながら今日歩くところにある名所などを教えてくれた。

それまで、私は毎日歩くだけで精一杯だったのだけれど、もっとこの土地の歴史を知りたいと彼の話に耳を傾けながら思うようになった。

 

リーはフランス語は堪能なのだけれど、英語の単語が出てこないことがあって、「なぜ君はフランス語を話さないんだ!」と言ったりした。たまに「ウーララ〜」とよく言うのが私には何だかおかしかった。

 

今日は前から楽しみにしていた名所を通ることになっていた。

それはワインファウンテン!

ワイン会社の横に水飲み場のようなところがあり、そこでワインが飲めるのだ!

リーは小さな空き瓶を用意してきたと言ってウキウキしていた。

 

そのワインファウンテンでは巡礼者たちが列を作っていて次々にワインを汲んでは写真を撮っていた。

 

私も水筒の蓋にワインを注いで、その場でグイッと飲んだ。

ナバラの赤ワインは、タンニンが少ない感じ。

葡萄酒という言葉の響きがぴったりくるような、昔から人々の日常の中にある飲み物という感じがする。私はスペインの赤ワインがすっかり大好きになってしまった。

 

このワインファウンテンの後、道は二つに分かれ、後で合流することになる。

私はそれを知らず、気が付かぬまま山道を歩くルートをとっていた。

多くの人は、もう一つの道をとるので、急に人が少なくなった。

 

 

 

こちらの方が景色がいいルートだそうで、なるほど遠くに見える山並みにはまだ雪が残っていてとても美しく、私は何度も足を止めて景色に見とれた。

 

 

広がる青空の下、風に揺れる緑がキラキラと輝いた。

私は、今日は自分のペースでゆっくりと歩こう。そして、沢山休憩もしようと決めていた。

 

 

足が疲れてきたなあ、お腹も空いたなあと思っていたら歩道の上の方に廃墟のような建物があったので、そこで休憩をすることに決めた。

建物の中ではなく、建物の脇で。

風が遮られて、日陰もあり、静かで居心地の良いところだった。

 

 

日差しがポカポカしている。

草の上に腰を下ろし、重いバックパックを下ろし、靴を脱いだ。

りんごとパンとチーズを出して、ナイフで切りながら食べた。

 

バックパックを枕にして、体を伸ばして休んだ。

自然の中で、こうして休みをとるのは、なんて気持ちがいいのだろう。

 

 

すぎてゆく時間の1秒1秒が充足感に満ちていた。

肌で感じる太陽の暖かさや、麦畑をふき渡ってゆく風や、道端の花や、通り過ぎる人たちとの短い会話など、全てが心地よかった。

 

 

ところで、カミーノを旅する方法は徒歩だけではない。

バスを使ったり、自転車に乗ったり、こうして馬でカミーノを旅するグループもたまに見かけた。

 

途中、道端に座って青リンゴを食べていた女性が追いついて話しかけてきた。

彼女はスウェーデン人でスーザンという名だった。彼女も山の道を歩いたらしく「景色があまりに綺麗で、ここを歩いていることが幸せで、泣いちゃった」と言った。

「あなたも私と同じ、1人で歩くタイプね」と親近感を持ってくれたようだった。

彼女はホテルや、ホステルの個人部屋にいつも泊まっていると言っていた。

アルベルゲの二段ベッドの部屋は、ちょっと無理。と言っていた。

お化粧もしていて、何となく服もお洒落で、他の巡礼者たちとは少し違う雰囲気だった。

夕方、街のレストランでスーザンを見かけた。

綺麗な服に着替えて寛いでいた。手を振る私に彼女はワイングラスをかかげてみせた。

 

歩いている間に他のグループとも再会した。

コニーというオーストラリアから来た韓国人女性、綺麗なメキシコ人の女の子、テレサ。そしてセバスチャンを含む3人のドイツ人青年達。音楽をかけながら賑やかに歩いていた。

彼らとも、もうすっかり顔見知りになっていた。

 

1人で歩く人。友達や夫婦で歩く人。こうして旅先で仲良くなったグループで歩く人。パートナーとなって同じ人といつも歩く人もいれば、毎日違う人と歩く人もいた。

 

この日もゆっくり歩いて休憩もしていたので、目的地のロスアルコスに辿り着いたのは3時過ぎだった。

街の入り口に、山羊の赤ちゃんがいて、すごく可愛かった。

鶏とそんなに変わらない大きさだった。

 

この日も、アリスが「ここの宿にいるよ」と写真付きのメッセージを送ってくれたので、その宿を探していった。

この日の歩数は37,225だった。