カミーノ5日目〜オリーブの林と旅人〜 | ケンブリッジ生活・サンディエゴ生活

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2019年からのイギリス・ケンブリッジ生活を機にブログを始めました。2023年春からは、アメリカのサンディエゴに暮らしています。

カミーノ5日目。Puenta La Reina ~ Estella

 

朝の7時過ぎに宿を出て、王妃の橋を渡り、プエンタ・ラ・レイナを出立した。

 

 

この日も良い天気に恵まれ、青空の下の菜の花畑を眺めながら歩いた。

 

 

道のずっと先に人が見えたり、後ろの方をを歩いている人はいるけれど、ほとんど1人で呑気に景色を見ながら歩く。

 

 

 

途中、オリーブの畑というか、林があった。

オリーブの木の下に、休憩するところが作ってあって、本などが置いてあった。

オリーブの木陰で休むのは、きっと心地いいだろう。と思いながらも私は歩を止めず歩き続けた。

 

広々した風景の中を歩いていると、次の村が見えてきた。

この辺りでは、村は少し小高いところにあって、その一番高いところには教会が見える。

オレンジ色の屋根が並ぶ村が見えてきて、歩く速度で村が近づいてくる。

そんなふうに村に向かって歩くのは旅人にとっては喜びだった。

 

 

村に入れば、バルがあり、休息をとれる。

トイレを使わせてもらい、軽食や飲み物を注文して、リフレッシュする。

そして、リフレッシュしたら、また歩き始めるのだ。

 

ただ、私はまだ休憩のタイミングが上手く取れないでいた。

まだ、必要がない。とか、次の村で。とか思っているうちに、気がつくと食事の、休息の機会を逃しているのだった。

 

私の足は、ジンジンと脈打つように痛くなってきていた。

もう先延ばしにしていたトイレも、見つけないといけない状態にもなっていた。

 

その時、村のスポーツセンターのような施設を見つけ、そこにカフェがあったので飛び込んだ。

軽食とスパークリングウォーターを注文して、トイレの場所を教えてもらった。

他に客はいなくて静かなカフェは、なんだか寂しくて、なぜ私は休憩のタイミングを逃すのだろうと考えずにはいられなかった。

まずバルに入っていって、顔見知りがいたとして、人と関わるのが億劫だったのと、休んでいるうちに、後からきた人に追い越されていくことへの焦りが私の問題だった。

 

こんなふうに毎日1人で歩いていても、私は自意識や競争心を心に抱えた人間だなあとため息をつきたくなった。

 

カフェから出てきたら、公園のようなところがあって、小さなデイジーが緑の中にたくさん咲いていた。

 

 

とても気持ちのいいところだった。カフェで休憩した後だったけれど、靴を脱いで足を投げ出してバックパックを枕にのんびりした。

ゆっくりと、こんな暖かな日差しや柔なかな草の上で休み、足を休め、身体を休めることをなぜためらっていたのだろう。

もう、これからは無理せずに休めるところでは休みながら行こうと思った。

 

その後歩いていたら、巨人のような背の高さのセバスチャンが後ろの方に見えた。

そのうちに、追いつくだろうから、何を話そうかなと思っていたのに、なぜか全然やってこない。

すると遠くにカミーノの道を外れた車道を歩いているセバスチャンが見えた。

あれ、近道?それとも、道を間違えた?

と思って見ていたら、道なき道を、セバスチャンが車道からこちら側の谷に降りてくるのが見えた。

あの背の高さで、巨大な荷物を背負い、その谷を降りるのは、危険だし、かなりの体への負担になるだろうなあと思い、ハラハラと心配になってみていたけれど、ある程度まで降りてきたところを見て、安心して我が道を歩き始めることにした。

 

しばらくして、セバスチャンが追いついたので「アドベンチャーしてたね、見てたよ!」と心配して見ていたことは言わずに話しかけ、そのままエステーリャまでの道のりを2人で話をしながら歩いた。やはり、道を外れたことに気付き、軌道修正するために谷への斜面を降りてきたのだそうだ。あと、彼は私が通り過ぎたあのオリーブの林の中の休憩所で休んだらしい。とても気持ちののいいところだったと言っていた

 

友達になったアリスが、今日彼女が泊まる宿の写真を送ってくれていたので、エステーリャではそこに泊まることにした。街に入ってすぐのところにその宿はあった。

私がここに泊まるというと、セバスチャンは、後少しで彼の友達が到着するのでそれを待つとのこと。ここで別れを告げた。