化学物質過敏症㉛京都のわたつねさん | 神戸エサレン Healing space La Ola 靑い草原 

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化学物質過敏症 心の情景 

昔、俊昭さんが京都で開業していたマンションのすぐ横に

地元の方がご常連の昔ながらの食堂があります。

 

私も俊昭さんと一緒によくお世話になりました。

2008年、最初に頂いたのが、温かいきつねそばとだし巻き卵でした。

細めの手打ち蕎麦と薄味のお出汁と、

程よく甘辛く炊いたお揚げが絡まって本当に美味しい。

メニューもバラエティーに富んでどれも美味しい。

俊昭さんは刺身定食をよく食べています。

御飯は「小・中・大」から選べ「小」にしても大盛です。

いつ行ってもご常連さんたちで一杯で繁盛しています。

頭に三角ふきんを付けた、かっぽう着姿の女性たちが、

きびきびとお客様にお茶を出したり、注文を取ったりして対応されています。

 

調理場も見えるのですが、どんな方がおられるのかはよく見えません。

それは席から離れているのもあるのですが

手書きのおすすめメニューが所狭しと貼られているからです。

「ぶり大根」「季節の野菜天ぷら」「カキフライ定食」

「カレーそば」「かつ丼セット」。。。。

 

けれども私が2018年に神戸へ引っ越しをしてからは、足を運ばなくなりました。

 

そんな「わたつね」さんですが

私が化学物質過敏症と診断された2022年、

俊昭さんが京都新聞の切り抜きを渡してくれました。

 

なんとこちらの「わたつね」さんで、化学物質過敏症の方々が集まり

誰もわかってくれない症状など、胸の内を話すという集まりがあったというのです。

 

そうなんだ、近くだったら行きたかったなあ、と私は思いました。

 

電車に乗ると体調を崩すので、ほとんど外出が出来ないのですが 

先日、どうしても行かなくてはならない用事があり、京都へ出向かいました。

 

俊昭さんと久しぶりに「わたつね」さんへ出かけました。

以前と何も変わらない店内やかっぽう着姿の女性たち。

もちろんお味も大盛のご飯も変わりません。

ご常連さんたちはお昼どきにやってきて、通好みの注文をし

さっと食べてさっと暖簾をくぐってどこかへ消えていきます。

 

料理が来るのを待っている間、

座席のお座布団が藁で編んだ丸いものに変わっているのに、ふと気が付きました。

消毒液のついたおしぼりも無くなっています。

以前からですが、かっぽう着などからも柔軟剤の臭いは全くしません。

「わたつね」さんにいると、呼吸がしやすいのがわかります。

壁には手作りの「香害」のポスターが貼られていました。

きっと、化学物質過敏症の方々も来られるように、

配慮されているのだとその時は思いました。

 

調理場に目をやりましたが、やっぱり手書きのメニューで中が見えませんでした。

以前と変わらないお料理にも満足して、ああ美味しかったなあ~と

私たちも店を後にしました。

 

 

帰宅して、もしやと思い「わたつね」さんのことをネットで調べると

3代目のご店主さんが、化学物質過敏症だということがわかりました。

 

発症された当時、大変だったこともわかりました。

その記事はこちらをご覧ください↓。

 

第一回化学物質過敏症を話す会によせて、書きました

 

こちらには毒ガスマスクをされて調理場に立っておられるお写真もあります↓。

 

 

2021.4.20 化学物質過敏症を話し合う会@京都市役所(第一回目)および、4/25(日)第二回化学物質過敏症を話し合う会 @わたつねを開催しました。

 

そうだと知っていたら、ご店主さんにご挨拶したかもしれません。

でもお仕事中はお忙しいし、私の性格からして遠慮していたでしょう。

 

化学物質過敏症を発症する確率は、10人に1人と言われています。

私の周りにはいないなあ、とある意味ほっとしていましたが

まさかこんなに身近な方が発症されていたなんて。。。

調理場で使っていた、クレンザーにも反応されるとのこと。

調理中に倒れて、料理ができなくなり、お客さんが帰って行かれたこと。

その当時、病院へ行っても原因がわからなかったこと。

痛いくらいお気持ちがよくわかります。

 

その後ご店主さんは、ご自身が化学物質過敏症だということがわかり

この病気のことを知ってもらおうと

ご体調がすぐれないなか、京都市役所へ出向かわれています。

 

すごいことだと、私はとても感銘を受けました。

私も何か出来ないだろうか、そんなことを思っています。