【社会】 『角栄に花束を』 ~ 戦後の宰相を担う人間関係を見る | 2025 中学受験に向けて

2025 中学受験に向けて

2024年1月現在・小学5年生の娘の中学受験までの学習、活動などを綴っていきたいと思います。SAPIX には新2年生から通塾中。

2024組の先輩の皆様はいよいよ明日が本番ですね。
無事に受験会場に辿り着き、普段通りの力が本番で発揮できることを願っております。
少々のトラブルがあっても、乗り越えられますように。




話題変えます。



ブロ友さんのおすすめで「角栄に花束を」を読んでみました。

超絶面白かった・・・。

昨日、今日で1−10巻一気読みです・・。


物語は田中角栄が田舎から東京に出てきて、土木事業に従事し、土建屋として事業を成功させるストーリーから始まっていきます。

理研の大河内先生の仕事を請け負って会社は大きくなり、代議士になっていく物語そのものも面白いのですが、戦後の日本政治史を躍動感を持って学ことができる良書だと思います。


社会の理解に役立つポイントをまとめました。

一部ネタバレありますが、そもそも歴史事実を漫画にしているモノですから、その前提で読んでいただければと思います・・。


人物の相関関係がよくわかる。

社会のテキスト、資料集を見ても、総理大臣になったおじいちゃんの顔と、ハイライトとしての業績が載っているだけ。

この漫画では、角栄が若手議員だった頃、師匠として政治を指南してくれたのがかなり高齢のおじいちゃん幣原喜重郎だったことがよくわかります。

それから60代の吉田茂の一派として活躍していく中で、40代の池田勇人、もう少し若い佐藤栄作大平正芳といった吉田学校に属する仲間との関係性も描かれます。

一方で、芦田均との対立、公職追放から政治の場に戻ってきた鳩山一郎との対立なども描かれるのですが、世代の違い関係性の違いなどが鮮明に描かれることはとてもイメージしやすいと思うのです。

例えば、戦国時代に少し興味がある人ならば、織田信長が天下統一に近づいた時に豊臣秀吉が家来であったこと、徳川家康はそれよりも若造だったことは多くの人が知るところだと思います。家康の家来が信長だった・・・そんなはずがないことは、歴史漫画を読んだ小学生ならわかっていると思います。対立関係もイメージが具体化されていますよね。

同じようなイメージを、吉田、池田、佐藤、田中・・・にもつことができれば、首相として活躍する順番を間違う確率はほとんどなくなると思います。






歴史の重要事案と人物が紐づく。

1946年に日本国憲法を制定したときに総理大臣だったのは幣原喜重郎です。

1920年代から満州事変に至る期間はワシントン会議の精神が根底にあり、対話・協調を重んじる平和志向だったため、満州事変をきっかけに政治の表舞台から一度消えます。

表舞台に再登場するのが戦後でした。漫画では、角栄に議員としての仕事は法律を作ることだと教えるのですが、幣原が憲法を作った経験からの重みのある言葉として受け止めています。


その他にもいろいろありますが、例えば・・

・公職追放の影響(始まりと終わり)

・サンフランシスコ平和(講和)条約では吉田茂、池田勇人がどのように関わったか

・池田勇人とドッジの関係

・炭坑の国有化をめぐる対立 (社会主義政党がやろうとしたことが何か)




絵は独特ですが、ギャグ要素もあり、史実を丁寧に印象深く描いているところもあり、読み手を惹きつける漫画だと思います。

娘も昨夜から読み始めていますが、いきなりハマっています。

池田勇人がお気に入りになりつつありますね・・・。

歴史漫画の現代編にあたるコミックスを読むよりもよほどインパクトがあると思います。


そして、どのキャラクターもかなり誇張した画風ではありますが、池田勇人は結構似てますね・・・!



流れが掴めた後で、「ニッポンの総理大臣」を読むとさらに理解が深まりそうです。







「疾風の勇人」はまだ読んでないのですが、池田勇人が主人公の漫画かな?

すぐ手を出すと思いますが、今日はもういいです(笑)





ところで、物語序盤に登場する重要人物が大河内先生。

大河内正敏です。



理化学研究所の所長として理研を国際的な研究機関に育て上げ、主任研究員制度、研究室制度を確立。

理研の発明を製品化する事業体として理化学興業を創設し、大河内が自ら会長に就任、事業を拡大しています。



長岡半太郎によって抜擢され、理研の黄金期を作り上げた、とあります。

100年に1人の英傑と言われる・・本当の超大物でした。


田中角栄はもともとこの人のところでお世話になる宛があって上京したのですが、それは叶わず。

しかし、紆余曲折を経て設立した会社の事業成長につながるような仕事をどんどん依頼されることになるのですが、

こんな大物との関わりが10代の頃にできた・・もう天命を背負って生まれてきたとしか思えませんね。





余談ですが・・

大河内正敏の孫は女優の河内桃子。

1954年の『ゴジラ』にヒロインとして登場しています。