最近の国語の取り組みについてご紹介します。
1月に入ってからの勉強時間は1時間弱。
授業テキストにもまだ手をつけていません。
効率よく、『技術』として自分の中で整理してもらいたいので、有用だと思われる参考書を短時間で集中的に読ませました。
❶、❷ 合わせて1時間弱です。
ただし、身についたか?活用できているか?は、別問題だと思います。
SAPIXテキストで登場する問題に活用できるパターンかどうか、その都度確認できたらいいなと思っています。
❸、❹はこれからやりたい取り組みです。
❶『塾技100』 井上秀和 著
ねらい
文章を構造化する論理的思考の考え方は、要約(抽象化)、具体化、対比などの考え方で説明してきたつもり。
ただ、物語固有の表現だったり、国語らしい表現技法について知っておいた方が良いと思うものをおさらいさせたい。
論理的な読解方法はそれらにも応用できると考えるが、国語を理解するための知識として知っている方が良いので。
進め方
・「読み方」に付箋でマークします。
🟨 黄色付箋:概ね、できていると思われる考え方
例:「一般論」と「筆者の主張」の対立、対比、具体例とまとめ、など
🟥 赤色付箋:できたり、できなかったり、概念・技術として認識が弱いと思われるもの
例:象徴・暗示、人物の成長、寓話的な物語文、時代背景の知識、本心とは違う言動 など
・『20分くらいで付箋貼ったところを読んでみて。上段の説明を読んで理解できているものは次のページ、具体的な文章で確認したければ下段を読む。ゆっくり文章を読む時間がないので、できるだけ時間の中で黄色、赤色、どちらも上段の説明はさーっと読んで確認して。』
—> 組み分けテスト前に35分でここまで終了。その後、休憩時間や食事中などに自分で勝手に読んでいました (文章が読みたい派)。
❷『選択問題の徹底攻略』若杉朋哉 著
ねらい
選択問題の間違いが多くなってきているのが気になっている。
本文中に書いていないことを選ぶな、といっているが、記憶と雰囲気で選んでいるような印象が強くなってきた。
選択肢から消去する考え方など、技術として自分の中で整理してもらうために活用する。
進め方
「はじめに」から第一章、第二章 (60ページまで) を読むだけ。
第二章では、選択肢問題の四つのパターンの概要が説明されています。
内容説明問題、理由問題、気持ち問題、内容正誤問題・・、そして、解き方の手順。
第一章では積極法、消去法などが紹介されています。
消去法では、
・予想解答や本文と明らかに違うもの(チガ)
・本文に書かれていないもの(ナシ)
・本文に書かれているが、質問に対してズレているもの(ズレ)
・言いすぎているもの(スギ)
などが説明されていました。
—> ここまで、30分程度で読み、重要だと思う箇所にハイライトするのみ。
❸『中学入試 でる順過去問 漢字 合格への2610問』 旺文社編集
ねらい
漢字の勉強をほとんどしていません。理由はそこに継続的にかける時間がないから。
やった方が良いのは重々承知しています。
読書、授業で扱うテキストを軽く練習するだけで8−9割は取れるので、残り1−2割を取りたい気持ちはあるが、頑張っても上乗せは2−4点(マンスリーの場合)。
ならば、その時間を社会、理科に当てたほうが伸びしろが大きいと思って今のところ手薄になっています。
とはいえ、その2、4点が致命傷になることもあるので、かける時間を効率化しながら学習しておきたい。
当初は、SAPIX漢字で出ている使い慣れない読み方、用法を中心に自作問題を作ろうとしていました。
ただ、1、2年生の漢字から20問ほど作ったところで断念。
「公衆電話」、「砲丸投げ」、「顔料を買う」など、2年生レベルの漢字であっても、子供が知らない可能性のある用語は結構あります。
SAPIX漢字から拾いつつ、自分でも考えて問題を100, 200 作るのは効率が悪すぎる・・と気づいたので問題集を買うことに。
進め方
コツコツやるのではなく、200−300問レベルで集中的に取り組む機会を設けるつもりです。(週1程度)
6年生までに習う漢字は1000文字ちょっと。
漢字そのものは曖昧なものを拾いながら練習すれば良いと思いますが、それを用いた用語の理解とセットでやることが重要ですね。
❹『男女御三家難関校』福島隆史 著
ねらい
特定の学校に対する過去問対策ではありません。論理的思考力の技法、切り口を理解し、活用するためです。
そもそも、難関校の国語、その他の科目の問題は論理的思考力が備わっていないと解けない問題の比重が高まります。
「知っている」「覚えている」知識を問わない問題、であるということです。
では、その論理的思考力とは何かというと・・・表現は色々あると思いますが、私が学生時代にマッキンゼーのパートナーの方から教わったことが的を射ているように思います。
「ものごとを定量的に捉える力」
例えば、こういうことです。
・伝えたいメッセージ全体を「1」とする場合、その「1」は A+Bの2要素に分けられる (* 2つに分割する場合)
・(学生時代) に身につけた能力 = 卒業時の能力 - 入学時の能力 (* ( )内を部活とかアルバイトに置き換えても同じ)
・総量を1とする考え方に基づく応用例
- 世界の人間 = 男 + 女、or 生きている人間(現代の人)+死んだ人間(過去の人)、or 全国籍、世界の全民族の合計
- 賛成意見+反対意見
- 主流となる考え方と、そうではない考え方
- すべての作業工程 = はじめに、次に、・・・最後に の合計
- 自分と他者
- 原因と結果
つまり、①網羅的に全体を捉えている、②それを構成する要素を体系的に整理できている、ということです。
ものごとを筋道立てて考えているのは、この前提において、「はじめに、次に・・」、「原因、結果」といった時系列の関係性がわかっているからです。
『筋道を立てて考えるのが論理的である』という観点だけでは、「論理的思考」の説明としては十分ではないと思います。
福島先生の国語や出口先生の国語で説明されているのは、こういった論理学に基づく考え方です。
ちまたで有名になったロジカルシンキング系の考え方もすべてここに行き着きます。
いわゆる、「国語」の世界だけに閉じられたものの考え方ではなく、経済学のような学問も同じですよね?
需要、供給、国民総生産、、、一人一人の生産・消費活動の総合計を俯瞰的に捉えることで成り立つ考え方です。
この抽象概念を身につけているか、そうでないかが高度な国語力を分岐するものだと考えます。
前置きが長くなりましたが、この「男女御三家難関校」の38ページまでに、福島式の視点が整理され、紹介されています。
同等、対比、因果関係。
7つの観点では、
「時間」・・年月日、過去・現在・未来、遅速
「空間」・・上下、左右、内外、遠近、大小・・
「自他」・・自己・他者、主観・客観、能動・受動
「心理」・・喜怒哀楽・・
「五感」・・視覚、聴覚、・・
「目的・手段」・・
「プラス・マイナス」・・善悪、良し悪し、明暗、益・害・・・
ここだけを読んで「わかった!」とはならないと思います。
ただ、文章を読む際はこの観点を持ってどれが当てはまるだろうか、と考えてみることがとても重要で、それに役立つはずです。(読解への適用)
逆に、文章を書く、何らかのコメントを発するときにも、ここで挙げた観点を意識して、「対比させて語る」、「抽象から具体化させて語る」ことにも役立ちます。(記述への適用)
*面接で相手の論理的思考力を問う場合には、こういった切り口で質問を投げかけます。
まあ、たいていの場合、それができている人は書類でも口頭説明でもその片鱗が見出せるのですが。
学生の面接練習であれば、こういった切り口の問いかけから自己分析をお手伝いしたりもします。
**ここら辺のやりとりについても別途書いてみようかな。
ロジカルシンキングの技法、考え方を説明した本はたくさんありますが、入試で扱われるような国語の題材を用いて説明している本は限られるように思います。
単なる問題集、過去問だと、その背景にある「体系的な技法」の説明はないと思いますから、なぜそうなるのかがよくわからないことも多いと思います。
難関校の入試問題を扱っているので、簡単に理解できるものではないかもしれません。
ただ、「論理的思考」の考え方を「国語の教材」を通じて学ぶ、と考えると、抽象的思考のセンスがある人にはわかりやすいと思います。
進め方
38ページまではサクッと読ませようと思います。
具体的用例を用いた解説、理解の確認は少し時間をかけてやったほうが良さそう。(これはサクッとできない)
まずは100%受ける可能性がない男子校中心に、時間があるときに丁寧に取り組もうと思います。