都内病院勤務の内科医による病気解説ブログ -9ページ目

うつ病はどうしておこるのか

どうして起こるの?/発症の誘因となる危険因子

うつ病がなぜ起こるのかについてはまだよくわかっていませんが、さまざまな研究から少なくとも単一の原因から起こるのではなく、いくつかの原因が複合的に影響して発症すると考えられています。特に、うつ病になりやすい遺伝的素因やストレスを受けやすいまじめな性格など、本人がもつ生物学的要因や心理学的要因が素地としてあり、それに外的なストレスなどの環境要因が作用することで発症が促されると考えられています。ただし、同じような性格や気質、同じようなストレスを受ける環境にあるからといって、すべてがうつ病になるわけではありません。したがって、うつ病になりやすい人とそうでない人がいるとも言えます(ストレス脆弱性仮説)。

遺伝的素因が発症に関与しますが、あくまでも原因の1つにすぎません

血縁のある親族にうつ病の人がいると家族内に発症しやすいことから、うつ病の発症に遺伝的要因が関与していることがわかっています。親子・兄弟の近い親族にうつ病の人がいると家族内発症は1.5~3倍多くみられるとされています。一卵性双生児の研究でも片方が発症するともう片方が発症する確率は25~93%と高く遺伝的要因の強さが示唆されますが、遺伝的要因はあくまでも発症リスクを高める原因の1つであり、さまざまな原因が複合的に絡み合ってうつ病が発症すると考えられています。高血圧や糖尿病などと同様、うつ病になりやすい体質が遺伝すると考えておけばよいでしょう。

いくつかの脳画像研究から脳の形に異常があることが報告されています

いくつかのうつ病の脳画像研究から、脳の形に異常がみられることが明らかにされています。特に、前頭葉、小脳、大脳基底核の萎縮が共通所見として報告されています。しかし、それらの異常がうつ病の発症にどのように影響しているかなどについてはまだわかっていません。

図:うつ病の人にみられる脳の萎縮部位

うつ病になりやすい気質があることが知られています

うつ病の人にはある一定の性格傾向や気質があることが知られています。うつ病になりやすい性格には、おおまかに執着性格、メランコリー親和型性格、循環気質、自己愛性格の4つがあります。

執着性格

仕事熱心、凝り性、完璧主義、正直、几帳面といった気質がみられ、正義感や責任感が人一倍強いため周囲からの信頼が厚い優等生タイプです。しかし、まじめすぎて融通がきかないといった面もあり、頑張りすぎる性格ゆえに適度に休むことができず、うつ病になりやすくなります。

メランコリー親和型性格

生真面目さという点で執着性格と同じですが、それに加えて秩序や調和を重んじて人と争うのを好まず、義理がたく、他人への配慮に富み、人に頼まれると断れない性格がみられます。このタイプの人は人に気をつかいすぎてストレスを溜め込みやすいため、うつ病になりやすくなります。

循環気質

躁うつ病の人に多いとされる性格です。社交的、善良、親切という基本的な性格に加えて、活発で陽気な気質がある場合には躁に傾きやすく、物静かで柔和な気質がみられる場合にはうつに傾きやすいとされています。

自己愛性格

軽症うつ病にみられる性格で、未熟で自己愛の強いタイプです。他人への依存心が強いのですが、他人への配慮はなく、失敗すると自分を責めるのではなく、他人や他のことのせいにします。物事が自分の思いどおりに進まないと気がすまず、その葛藤がストレスとなってうつ状態になります。

喜ばしいことがうつ病を引き起こすことがあります

一般的にうつ病は悲しい出来事やストレスフルな環境によって引き起こされますが、必ずしもつらいことや悲しいことだけがきっかけとなるのではありません。例えば、昇進や栄転、家の新築、子どもの進学や独立など、喜ばしいことによってもうつ病が引き起こされることがあります。つまり、たとえ喜ばしいことでもこれまでの生活環境が変わってしまう「日常生活上の変化」があると、それがきっかけとなることもあるのです。

【うつ病を起こすきっかけ】
  • 職場環境・内容の変化、栄転、昇進
  • 社内のいじめ、不当な評価、仕事上の失敗
  • 失業や退職、出向、転勤、定年
  • 家の新築、引っ越し
  • 結婚、離婚、出産
  • 子供の養育、子供の自立、子供の進学、合格、就職、結婚、独立
  • 家庭内のトラブル
  • 更年期障害、病気、近親者の死別

皮膚石灰沈着症ってどんないし

皮膚石灰沈着症

皮膚石灰沈着症 」とは、皮膚の一部にカルシウムの沈着が起こり、白くボコボコした硬い結節ができる病気です。
強皮症皮膚筋炎などの患者さんに比較的多く見られます。

悪性腫瘍などで骨が破壊されてしまった場合にも生じます。
この場合は血液中のカルシウム濃度が上がるため、皮膚だけでなく内蔵にまで石灰沈着を起こします。

中高年の男性では、特に原因も無く陰嚢の皮膚に白いボコボコした塊がたくさん生じる陰嚢石灰沈着症 」と呼ばれる症状もよく見かけます.

診療所レベルの検査機器の説明

1.12誘導心電計
心電図は手足にクリップ電極を、胸にシール電極を貼って心臓の電気活動を計測する機械です。
心臓病を発見する第一の手がかりとなります。

2.胸部X線検査
当院ではデジタル撮影を行っております。フィルム現像の必要がありませんのですぐに結果を提示できます。

3.ホルター心電計(24時間心電図)
日常生活の中で心電図の変化を確認するために約1日装着していただく装置です。病院で装着しますが、 入浴、シャワー以外の日常生活は可能です。

4.心エコー図検査
心臓の大きさや動き、弁膜症、心不全の程度などを超音波で診断する装置です。皮膚にゼリーを塗って 器械を当てて検査を行います。

5.血圧脈波検査
四肢の血圧と脈派を同時に計測することで動脈硬化の程度や血管の閉塞程度を計測することができます。
結果は血管年齢として結果をわかりやすくご説明させていただきます。

6.頸動脈脈エコー検査
超音波で頸動脈の動脈硬化の程度を計測することができます。

7.呼吸機能検査
息切れが肺に問題がないかどうかを検査することができます。肺年齢として結果をわかりやすくご説明させていただきます。

8.ペーシング付き除細動器
命に関わる不整脈に対して緊急治療を行います。
当院では世界標準の心肺蘇生を行えるよう常にスタッフにトレーニングを行っております。

Q3.生活習慣病とは何ですか?

生活習慣病はかつて成人病とも言われていた高血圧症、糖尿病、高脂血症などが該当します。
これらの疾患は喫煙、肥満、運動不足、過食、ストレス、飲酒などの生活習慣と密接に関わっていることから生活習慣病と 言われるようになりました。これらの疾患の特徴は自覚症状が少ないことから動脈硬化の原因となり、 自覚症状がないままに徐々に進行し、症状が出たときには重症化していることも少ないことから「(沈黙の殺人者)サイレントキラー」 とも言われています。
これらの疾患は薬物治療は有効ですが、生活習慣の改善が第一です。
京橋ハートクリニックでは診断・治療だけでなく生活習慣の改善を含め総合的なアドバイスを行って参ります。

Q4.高血圧症と診断されればどのようなことが必要ですか?

血圧は様々な要因で変化します。一日の中でも運動やストレス、緊張などにより上昇することがあります。
まずは安静にしていただいて、血圧を測定したり、家庭で計測していただいた血圧を参考にして治療が必要か判断します。
高血圧と診断されれば適度な運動や減塩などの生活習慣の改善が必要な一方で、二次生高血圧症といって特定の病気が隠れている場合も ありますので血液検査や超音波検査などで確認が必要です。特に原因がなければ減塩や運動などで改善する場合もあります。
薬物療法は副作用がないことを確認しながらその方にあった処方を行います。

Q5.糖尿病と診断されればどのようなことが必要ですか?

糖尿病は高血圧と同様に生活習慣の改善が重要です。糖尿病の治療は、食事療法、運動療法が無効の場合に、 薬物療法を考慮します。
糖尿病は心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化による病気だけでなく、網膜症という目の病気や糖尿病性腎症という腎機能障害、 糖尿病性壊疽、足のしびれや感覚障害などの神経障害といった様々な病気の原因となります。
糖尿病は症状がないことが多いことから早い段階で食事指導、減量指導、運動療法に加え、適切な薬物治療を行うことが必要です。
糖尿病の治療にはその方のタイプによって治療の内容が異なります。綿密な血液検査を行うことで適切な治療を選択します。
尚、薬物療法を行っていても食事や運動療法の継続は必要です。

Q7.高脂血症と診断されればどのようなことが必要ですか?

高脂血症は糖尿病や肥満などに合併することが多く、高血圧症や糖尿病と同様に生活習慣の改善が必要です。
食事療法、運動療法が無効の場合に、薬物療法を考慮します。いずれにしても早期発見早期治療をおすすめします。

Q7.動悸がします、どうしたらよいですか?

脈拍は発熱やストレスなどでも早くなります。動悸が起きたときはまずそのときの心電図を確認することが必要です。
めまい、息切れ、胸の痛みなど症状が強い場合はすぐに医療機関を受診してください。
症状だけでは、治療が必要な動悸かどうかの判断ができません。治療も不整脈の種類だけでなく、その方の心機能や腎機能、 肝機能など様々なことを考慮して治療を行うことが必要です。受診の際に、動悸が止まっているような場合は ホルター心電図という24時間記録可能な心電図を装着していただくことも診断には有用です。

Q8.ワーファリンの内服が必要と言われました。

ワーファリンは血液をかたまりにくくする内服薬です。
弁膜症で手術を受け人工弁を装着された方や心房細動、心機能が低下した方などはワーファリンが必要です。
ワーファリンはビタミンKを阻害することにより血液を固まりにくくするお薬です。
1日1回、飲み忘れのないように内服してください。ワーファリンはビタミンKを大量にとると効果がなくなってしまいます。
そのため納豆やクロレラ、ビタミンKの入ったビタミン剤などは避けていただくようお願いいたします。
また薬によってはワーファリンと相互作用がある場合がありますので必ず医師または薬剤師にご相談ください。
また内服していただく薬の量はその方によって様々です。薬が効きすぎることがないように定期的な血液検査が必要です。
当院では迅速キットを使用してすぐに投与量の調節をすることが可能です。お気軽にご相談ください。

Q9.心不全といわれました。

心不全は弁膜症、心筋梗塞症、心筋症、高血圧症、不整脈など心臓のあらゆる疾患によっておこります。
また、過労や塩分・水分過多、内分泌疾患や腎機能障害などが増悪因子となります。
従って心不全といわれた場合は心疾患の正確な診断はさることながら、増悪因子への対応が必要で、 それによって治療が若干変わってきます。
当院では詳細な問診と綿密な検査によりテーラーメードの治療を目指しておりますので、ご相談ください。

Q10.狭心症の疑いといわれました。

狭心症は一般的に心臓を栄養する冠状動脈という血管が動脈硬化により狭窄し、 血液が流れにくくなることにより起こりますが、異形狭心症といって、血管のけいれんによる狭心症もあります。
それぞれ、詳細な問診と検査が必要です。動脈硬化は食生活の欧米化に伴い、日本でも増加しています。
心臓カテーテル検査やカテーテル治療の経験を生かして積極的な診断と専門病院との連携により 早期診断早期治療を目指しております

にきび・にきび跡のさまざまな治療法

ニキビ・ニキビあと

⇒ 男女共、思春期以降にホルモンの分泌が活発になります。皮膚の脂腺(あぶらのもと)が肥大し、毛穴が詰まり、ニキビ菌が増殖することにより赤いブツブツが顔や胸部、背中などにできます。炎症が強いと、色素沈着や凹凸ができる場合もあります。
ニキビには生活習慣(睡眠不足や不規則な生活)、食生活(過食、甘いもの、脂っこいもの)、化粧品(ファンデーションなどの油性製品)、便 秘、ストレス、刺激(毛髪、衣類など)が関連します。

保険
治療
内服 ビタミンB2、B6 皮脂の抑制、抗酸化作用により炎症を抑えます
抗生剤 ニキビ菌の殺菌
漢方薬 炎症を誘発する因子を抑制する効果があると言われています
外用 抗菌クリーム
&ローション
ニキビ菌を皮膚の上から直接殺菌します
保険外
治療
ニキビ クリスタルピーリング 角質の表面を細かい粒子で薄く削ることにより、毛穴に詰まった皮脂や菌の 排出を促します
サーマクール 高周波エネルギーを皮膚の深部まで与えることにより、コラーゲンや膠原線 維の収縮が生じ、線維芽細胞に刺激を与えて皮膚が再生されます
これにより、毛穴を引き締め、ニキビが出来にくくなります
ビタミン注射 血管から直接高濃度のビタミンを補給します
VCホワイトローション
イオン導入
高濃度のビタミンCを皮膚に直接浸透させることにより、皮膚に栄養を与え、ニキビ菌に対する抵抗力をつけます
ニキビあと
赤み
色素沈着
フォトフェイシャル IPLという光を照射することで、ニキビあとの赤みや色素沈着を改善します
ニキビあと
色素沈着
イオン導入 高濃度のビタミンCを皮膚に直接浸透させることにより、皮膚の色素沈着を改善します
ニキビあと
クレーター
フラクセルⅡレーザー 最新鋭のレーザー治療機で、目に見えないほどの細かいレーザー光が皮膚の深部まで到達します
レーザーの照射部位にダメージを与えた後、周囲から皮膚組織が再生し、新しい肌に入れ替わります
ニキビあとのクレーター(凹凸)には最も効果があると言われています
クールタッチⅡレーザー レーザーによりコラーゲンが増殖されるため、クレーター(凹凸)の改善に効果的です
ダイヤモンドピーリング ダイヤモンドチップでお肌の古い角質をややしっかりめに削ることで、クレーター(凹凸)を改善していきます

アトピー治療のさまざまな治療法

アトピー性皮膚炎

⇒ アトピー性皮膚炎は増悪・寛解を繰り返す、かゆみのある湿疹を主体とする皮膚病です。
遺伝的な要因に加えて生活環境・食生活・ストレス・アレルギー物質など様々な因子が発症・悪化に複雑に関連していると考えられています。
(顔面のアトピーが強い場合には、掻くことによると思われる白内障が出現している場合がありますので、眼科での検査が必要です)
最近ではアトピーの成人発症例も高頻度に見られます。当院では日本皮膚科学会のガイドラインに沿って治療を行っております。

保険
治療
内服 抗アレルギー剤 アレルギー炎症抑制作用があり、症状の緩和、掻破による増悪を防ぎます
漢方薬 炎症を抑える効果が期待できます
外用 ステロイド外用薬 部位・症状により強さを調節します
※正しく使用することが大切です
プロトピック外用薬 主に顔や首に使用する、非ステロイド剤で、症状の緩和を目的とします
ヒルドイドローション 皮膚の保湿を保ち、血流を良くします
保険外
治療
注射 プラセンタ(胎盤)注射 胎盤の抽出成分の中には、様々な成長因子やアミノ酸、ビタミンなどが含まれています
体質改善、また直接肌に栄養を与えるものと考えられています
点滴 キレーション点滴 アトピー性皮膚炎には、一部有害ミネラルの蓄積も原因になっているとも言われています
毛髪検査を受けて頂き、有害ミネラルの値が高ければ、点滴による効果も期待できます
外用 コエンザイムQ10クリーム エネルギー変換にかかわる補酵素で、強力な抗酸化物質でもあります
皮膚に栄養を与えることによって、皮膚が良い状態であるように保ちます