都内病院勤務の内科医による病気解説ブログ -8ページ目

パニック障害の治療と予防パキシル、ルボックス

パニック障害の治療について】
 パニック障害の治療は、薬物療法を中心に行うことが一般的です。薬物療法は、抗うつ薬と抗不安薬を組み合わせて行われます。
 抗うつ薬は、SSRI(新しいタイプの抗うつ剤:ルボックスやパキシル)やアモキサンなどが有効です。抗不安薬は、当院ではレキソタンやソラナックス、ワイパックスなどを処方することが多いです。
 パニック障害の多くは、こうした薬物療法のみでよくなります。しかし、現在の環境や過去の生活史がストレスとなって症状がでているような場合には、カウンセリングも必要なことがあります。


【薬の飲み方について】

 パニック障害には抗うつ薬が処方されますが、多くの抗うつ剤は、飲んでぱっと効くといった薬ではありません。1週間から10日あるいは2週間効果が出るまで、毎日コンスタントに飲む必要があります。
 従って、副作用が出ない限り決められた量をのんでください。のんでも効かないからといってすぐに中止しないでください。
 抗不安薬は、比較的早く効果が出現します。のんで20から30分の間には効いてきます。したがって、パニック発作が実際起こってしまったときや起こりそうなときには、抗不安薬(レキソタン、デパス、ソラナックスなど)が有効です。


【抗うつ薬の副作用について】

 副作用で、多いものはのどの渇きや便秘、眠気、吐き気などです。頭痛を起こす薬もあります。
 しかし、副作用はのむにつれだんだんなれて、軽くなることが多いようです。ですから、我慢できる程度のものでしたら、少し辛抱して飲み続けてください。
 もし、副作用かなと思ったら、遠慮せずに電話で問い合わせてください。診察中で、即答できないこともありますが、折り返しお返事いたします。


【カウンセリングについて】

 薬を使用しないでカウンセリングで治療したいと希望する患者さんもいます。
 カウンセリングは、薬物療法に比べ副作用が少ないなどの利点はありますが、効果が出るまでに時間がかかることや、一回の治療に時間がかかるため本格的なカウンセリングには費用がかかる事、発作自体には効果がないことなどの欠点もあります。
 また、パニック障害のなかには、心理的原因が全く無いのに、体質的にパニック発作を起こしてしまう方もいます。こうした方にはあまりカウンセリングは効果がありません。このため、パニック障害の初期治療には、カウンセリングだけで治療することは少なく、抗うつ剤と抗不安薬による薬物療法を併用することが、一般的です。従って、当院では必要な患者さんに限ってカウンセリングをお勧めしています。
 薬物療法とカウンセリングを併用することがベストですが、薬物療法だけで改善する方も少なくないのです。


【薬の習慣性と服用する期間について】

 一般の抗うつ薬には習慣性はありません。従って、決められた量であれば薬をのみ続けてもあまり問題ないと思われます。
 また、くすりは症状が改善してくれば、当然減量をしていきますが、なかには薬を減らすと症状が再発してしまう方もいます。こうした方は、薬を継続することが必要ですが、すべての方がやめられないわけではありません。半数以上の方が薬を中止できると思います。
 しかし、症状がよくなってもすぐに薬はやめず、しばらくはのみ続けてください。いきなりやめると、反動で症状が元に戻ってしまったりすることがあります。このため、徐々に薬を減らしていくのが原則です。具体的な減量のペースは主治医にお尋ねください。


【日常のすごしかたについて】

 パニック障害にかかったときの生活のすごし方の基本は、どの病気でも一緒ですが休息することです。十分な睡眠をとり、生活のリズムを崩さないことです。疲れがたまったり、深酒をしたりするとパニック発作が起こりやすくなるようです。また、コーヒーもあまりのみ過ぎないほうがいいようです。
 症状が、落ち着いたら行動範囲を広げるように努力してください。パニック障害の方の多くは、バスや電車、人ごみが苦手な人が多いようです。しかし、発作がおきるかもしれないからといって家に閉じこもった生活をすることは勧められません。しかし、不安が強い間は無理をしないほうがいいようです

症状別の疾患名

疲れやすい

過労や睡眠不足で疲労が蓄積されるのはよくあることです。その場合は、短期間の休養で疲れはとれます。また、身体疾患で疲れやすくなることもあります。思い当たる原因や痛みがないのに疲れやすい場合は、一度総合病院で検査を受けることをお勧めします。

しかし、検査で異常がない場合は、心理的な原因が考えられます。ことに、喪失体験の後、過労が続いた場合やお産の後はうつ病 が、何らかの葛藤状況が続く中で疲労が蓄積される場合は神経症が最も考えられます。

・朝、布団から抜け出せない

大きく分けると、気分障害と睡眠障害でこの症状がみられます。気分障害ではうつ病 による意欲低下でみられますし、気分変調症(かつて抑うつ神経症と呼ばれたもので、軽うつ状態が2年以上続く、若い女性に多い)でもみられます。睡眠障害では入眠困難や、中途覚醒、熟眠障害があれば、眠気のためこの症状が出現します。交代勤務などによる睡眠と覚醒のスケジュールの障害でも出現します。これらのうち、気分変調症以外は比較的短期に治療が可能です。
また、統合失調症の回復期にこの症状が出現することもあります。

・理由がないのに突然、激しい動悸がする

心臓や甲状腺の病気でも、急に動悸がすることがあります。ですからまず総合病院で、全身状態をチェックすることをお勧めします。その結果、何の異常もみつからなかったら、パニック障害 が最も疑われます。これはかつて不安神経症と呼ばれたもので、急に動悸、呼吸困難、めまい、死ぬのではないかという恐怖などにおそわれるものです。

一般的には電車(特に地下鉄)、雑踏の中などで初発し、また起こるのではないかとの不安のために、そのような状況を回避しようとします。下痢や頻尿が症状のこともあります。きちんとした治療を受ければ大部分の人は、数年で完治します。

・赤面する

人と近づいたりした時、緊張することにより赤面し、それが人から変な目で見られるのではないかと恐れ、だんだん対人関係から身を引いて行ってしまう病態です。対人恐怖症の代表的なもので、ご本人は大変な苦痛を感じています。これは性格で治らないなどと考えず、ぜひわたくし達にご相談下さい。

カウンセリング(保険適応)や自律訓練法、薬物療法などを組み合わせて治療を行います。すぐには症状は消失しないかもしれませんが、うまく症状とつき合って行くコツや、苦痛を和らげる方法はみつかります。そして、息長く治療を続けて行けば、いずれ症状は気にならなくなります。

・眠れない

眠れないのは辛いものです。眠れない日が続くと、ついアルコールなどに手をのばし、アルコール依存症になってしまったり、そこまで行かなくても肝障害などを併発することがあります。海外旅行での時差や、短期間のストレス(工事の騒音など)で眠れない場合をのぞき、不眠が1週間以上続いたら受診しましょう。

なぜならそのような場合、背後に何らかのこころの病気が隠れている場合が多いからです。精神障害も他の疾患と同様、早期発見・早期治療がきわめて重要です。また、不眠を放置すると、やっかいな精神生理性不眠という慢性不眠状態に陥ることがあります。わたくし達は最終的には睡眠薬を切る方針で治療していますので、早めに受診して下さい。

・過食が止まらない

若い女性に非常に多い病気です。いつも食べ物のことばかり考えていることが苦痛だったり、過食の後に自分を責めて、気分が落ち込むことから受診される方が多いようです。根気よく治療を続ける必要があります。

・もの忘れ

人間誰でももの忘れはするものです。振り返ってみれば、小学校の宿題もよく忘れました。まして年をとると、もの忘れは多くなります。それを自覚できるうち、あるいは何らかのヒントですぐ思い出せるうちは問題ないといえるでしょう。

しかし、自覚できなくなったり、ヒントを出しても何のことか分からなくなると、認知症の可能性が大きいといえます。多いのはアルツハイマー病と、脳血管痴呆です。現状では治す方法はありませんが、進行を遅らせることはできます。

また、介護するご家族を困らせる不眠や徘徊、興奮を治すこともできます。当院では「もの忘れ外来」を専門にもうけ、このような患者様の治療にあたっています。

・倦怠感

一日や二日の倦怠感は、誰しも経験するものです。しかし、それが続く場合は、何らかの内科疾患に罹患している可能性があります。一度総合病院で検査を受けることをお勧めします。しかし、検査で異常がない場合は、心理的な原因が考えられます。ことに、喪失体験の後、過労が続いた場合やお産の後はうつ病 が、何らか(例えば職場での人間関係、夫婦の問題、嫁姑の問題など)の葛藤状況が続く中で倦怠感が続く場合は神経症が最も考えられます。

・人に会いたくない

いつもより元気がなくなり、自分に自信をなくし、人に会いたくない。このような場合は、うつ病 、うつ状態が考えられます。治療を受けないと衰弱したり、最悪の場合は自殺も考えられます。すぐに受診して下さい。また、いわゆる対人恐怖症の方もいらっしゃいます。この場合は少し息の長い治療が必要ですし、症状とうまくつきあって行く期間も必要となります。

しかし、薬物や自律訓練法で確実に症状は弱まります。その他にも統合失調症(精神分裂病)や痴呆性疾患で、人と会うのを嫌がることがあります。この場合、当然それぞれの疾患に対する治療が必要となります。また、思春期の不登校や、引きこもりの場合もご相談下さい。

・ノイローゼ

誰にでも悩み事の一つや二つはあるものです。普段はそれを解決したり、時には抱えながらも普通に生活しています。しかし、悩み事が深刻だったり、長期に持続したり、自分の幼い頃の心の傷にふれたりすると、いわゆるノイローゼになることがあります。

例えば、お子様が重篤な病気になったり、上の階の住人の物音がうるさかったり、母親とうまくいかなかった方が育児にあたる場合などです。
症状としては、不安、イライラ、不眠、食欲低下などが現れます。もちろん気分転換や気功で治れば病気ではありません。

しかし、それらでは解決しない場合は、早めに治療を受けましょう。わたくし達のクリニックでは、必要な場合はカウンセリングも行っています。

・イライラする

大人も子供も複雑な人間関係の中におかれたり、必ずしも自分の思ったように事が進まなければ、誰でもイライラすることはあると思います。スポーツや音楽でこれが発散できれば何も問題はないでしょう。しかし、発散ができない場合、お酒などにはしってしまう場合は要注意です。

また、不眠などを合併する場合は、わたくし達のクリニックを受診して下さい。完全主義が強すぎる場合も同様です。なお、何も思い当たることがないのにイライラする場合は、背後に何らかのこころの病気が存在する場合がほとんどです。身体の病気で早期発見・早期治療が大事なのと同様、こころの病気でも同じ事がいえます。早めに受診しましょう。

・動悸が怖くて電車に乗れない

パニック障害 の患者さんに、しばしばみられる症状です。専門的には、予期不安あるいは広場恐怖と呼ばれます。特に混んだ地下鉄などを苦手にされる方が多くみられます。また、各駅停車よりも、急行を苦手にされます。電車だけではなく、人ごみや、初めて入る飲食店を苦手にされる方も多くみられます。

この症状は、治療によりパニック発作が完全に消失すると徐々に軽快する場合が多いです。しかし、中には難治の方もみられます。この場合息の長い治療が必要です。
いずれにせよ、早期からの治療がきわめて重要で、放置するとうつ病 などになる可能性の高い疾患です。

・急に呼吸が苦しくなる

肺梗塞、うっ血性心不全、喘息などでも急に呼吸が苦しくなります。ですからまず総合病院で、全身状態をチェックすることをお勧めします。その結果、何の異常もみつからなかったら、やはりパニック障害 が最も疑われます。

急に動悸、呼吸困難、めまい、死ぬのではないかという恐怖などにおそわれるものです。一般的には電車(特に地下鉄)、雑踏の中などで初発し、また起こるのではないかとの不安のために、そのような状況を回避しようとします。下痢や頻尿が症状のこともあります。きちんとした治療を受ければ大部分の人は、数年で完治します。

・人前で緊張する

政治家などを除けば、誰でも人前で何かしようとすると緊張するものです。その緊張をうまく利用し、集中力、注意力を高められればそれに越したことはありません。しかし、人前で緊張することにより、吃音、赤面、手や声のふるえやトイレが近くなるなど苦痛な症状を伴う場合は、わたくし達にご相談下さい。

カウンセリング(保険適応)や自律訓練法、薬物療法などを組み合わせて治療を行います。すぐに症状は消失しないかもしれませんが、うまく症状とつき合って行くコツや、苦痛を和らげる方法はみつかります。そして、息長く治療を続けて行けば、いずれ症状は気にならなくなります。

・多重人格

自分がやったことを後で覚えていない、自分とは違う別な人格が出現することがあるというのは、解離性障害とよばれる病気です。なかでも別な人格が出現するのは、一般に多重人格(解離性同一性障害)として知られている病気で重症例です。小児期に虐待を受けていた例がほとんどです。その傷を癒すのには時間が必要です。

・考えがまとまらない

会議で指名されても意見がまとまらなず、どうどうめぐりをしてしまう、献立が思いつかない。こんなときは、うつ病の可能性があります。

・ばかばかしいと思うような考えが繰り返し現れうち消せない

鍵を閉めたか、火を消したか何回も確認し、確認をやめようとすると不安になる。これは強迫性障害(強迫神経症)とよばれる病気です。お薬も有効ですし、行動療法も有効です。

・強い恐怖をあじわった後(事故、レイプなど)、そのことが繰り返し思い出され、うなされたりする

阪神淡路大震災の後、世間でもよく知られるようになった、外傷後ストレス障害(PTSD)です。

・声が出ない、目が見えづらい、立てない、歩けない、でも病院に行ってもどこも悪くないといわれる

転換性障害とよばれる病気です。女性に多く見られる病気で、何か大きなストレスが関係していることがしばしばです。

うつ病の薬物療法以外の治療

薬物療法以外の治療

うつ病治療には薬物療法以外に、薬物療法と組み合わせて行われる身体療法や精神療法があります。たとえば、抗うつ薬で効果がみられない場合や自殺企図(自殺を図ること)が切迫している場合には電気けいれん療法が行われることがあるほか、季節性うつ病のように季節の変わり目が発症の原因となるうつ病では高照度光刺激療法が有効であることがわかっています。
また、症状がひどい極期は十分な休養と薬物療法が中心ですが、抗うつ薬によって快方に向かう回復期に入ると精神療法が行われるようになります。うつ病治療で行われる精神療法にはうつ病に陥りやすい思考パターンを改善する認知療法やうつ病の人が抱えている対人関係の問題を解決することに焦点を当てた対人関係療法があります。
さらにうつ病の症状が改善すると復学や復職に向けたリハビリテーションが行われます。リハビリテーションはうつ病の人が社会復帰するための準備期間ともいえ、この時期は再びストレスにさらされるために再発に陥りやすいことから、心身の状態に注意を払いながらリハビリテーションを進めることが重要になってきます。

うつ病の薬の種類使い分け

薬物療法

治療の主軸となる抗うつ薬のタイプとその特徴

抗うつ薬には、三環系抗うつ薬や四環系抗うつ薬などの古いタイプの薬と、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の新しいタイプの薬があります。古いタイプの薬と新しいタイプの薬の大きな違いは、ノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを選択的に阻害するか否かにあります。古いタイプの薬ではノルアドレナリンやセロトニンの再取り込みを阻害するだけでなく、他の神経伝達物質の受容体をも阻害してしまうため、副作用が出やすくなりますが、SSRIやSNRIは他の神経伝達物質受容体は阻害せず、主にノルアドレナリン、セロトニンに作用するため古いタイプの薬に比べて副作用が少ないといえます。

三環系抗うつ薬

第一世代の抗うつ薬で、とりわけノルアドレナリンの再取り込みを強力に抑えて効果を発揮します。高い抗うつ効果が得られますが、その反面、眠気、口の渇き、便秘、めまいなどの抗コリン性副作用も強く出やすいという特徴があります。一部の三環系抗うつ薬には副作用の発現を抑えた第二世代の抗うつ薬があります。

四環系抗うつ薬

セロトニン再取り込み阻害作用がないのが特徴で、三環系抗うつ薬に比べて副作用の発現が少ない第二世代の抗うつ薬に属します。副作用が少ない分、使いやすくなったともいえますが、効果は三環系抗うつ薬には及びません。

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

第三世代の抗うつ薬で、選択的にセロトニンの再取り込みを阻害することをターゲットにした抗うつ薬です。抗うつ作用は三環系や四環系よりもやや弱いとされていますが、その最大の特徴は従来の抗うつ薬に比べて副作用が少ないという点で、非常に使いやすい抗うつ薬といえます。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

第四世代の抗うつ薬で、セロトニンだけでなくノルアドレナリンの再取り込みも選択的に阻害することから効果の面では三環系に近い抗うつ作用があり、副作用はSSRIと同程度とされています。また、SNRIは症状が多彩なうつ病において広範な症状に有効とされる抗うつ薬です。

うつ病の診断基準うつだと思っても実際は当てはまらないことがおおいです。

どのように診断されるの?/問診と診断基準

うつ病は通常の憂うつが日常生活、社会生活に支障をきたすほどの病的な状態になるものです。しかし、病的であるかないかはなかなか区別がつかないため本人が病気であることに気づきにくく、なかなか受診につながらないことが少なくありません。
診断は問診からうつの状態を把握して診断基準に照らしながら病的な状態であるかどうかを評価していきます。うつ病の中には精神症状が目立たずに身体症状が前面に現れる仮面うつ病の状態を呈することがあり、本人がうつ病であることに気づかない場合もあります。なかなか治らない身体症状がある場合にはうつ病を訴う必要があるかもしれません。

本人または家族への詳細な問診が診断のベース

うつ病の診断では、下記のような問診を中心に進められます。

  1. 症状がいつから始まったか
  2. どのような症状が現れたか
  3. 症状が現れたきっかけとなった背景
  4. 日常生活や社会生活への支障の程度

このほかにも、既往歴や家族歴、もともとの性格傾向などの情報も診断には欠かせません。
また、本人だけでなく家族からみた客観的な症状の把握も大切です。特に、子どもや高齢者の場合には本人が自分の症状について把握できていなかったり、うまく伝えられないことが少なくないため、家族が代わって症状を伝える必要があります。

診断基準に基づいたうつ病の診断

うつ病の診断は、診断基準をベースに行われます。診断基準としては、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-IV」の2つが主に使われています。これらの診断基準では、うつ病にみられる症状を記述した診断項目を多数あげて、それらに当てはまる項目がいくつあるかによって決めるようになっています。
また、うつ病の診断においてはうつ状態を把握するための評価スケールがいくつかあり、必要に応じて用いられます。これらの評価スケールではうつ病の人が自己診断的にうつ状態を把握できるものもあります。評価スケールの得点が高いからといって即座にうつ病であると診断できるわけではありませんが、うつ病である可能性を疑うための1つの目安となります。

うつ病の診断基準(DSM-IV-TR)
  • A) 以下の症状のうち5つ(またはそれ以上)が同じ2週間の間に存在し、病前の機能からの変化を起こしている。これらの症状のうち少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味または喜びの喪失である。
    注:明らかに、一般身体疾患、または気分に一致しない妄想または幻覚による症状は含まない。
    • (1) その人自身の言明(例:悲しみまたは、空虚感を感じる)か、他者の観察(例:涙を流しているように見える)によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。
      注:小児や青年ではいらだたしい気分もありうる。
    • (2) ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退(その人の言明、または他者の観察によって示される)。
    • (3) 食事療法をしていないのに、著しい体重減少、あるいは体重増加 (例:1カ月で体重の5%以上の変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。
      注:小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ。
    • (4) ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。
    • (5) ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止(他者によって観察可能で、ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではないもの)。
    • (6) ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。
    • (7) ほとんど毎日の無価値観、または過剰であるか不適切な罪責感(妄想的であることもある。単に自分をとがめたり、病気になったことに対する罪の意識ではない)。
    • (8) 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日認められる(その人自身の言明による、または、他者によって観察される)。
    • (9) 死についての反復思考(死の恐怖だけではない)、特別な計画はないが反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。
  • B) 症状は混合性エピソードの基準を満たさない。
  • C) 症状は、臨床的に著しい苦痛、または、社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。
  • D) 症状は、物質(例:乱用薬物、投薬)の直接的な生理学的作用、または一般身体疾患(例:甲状腺機能低下症)によるものではない。
  • E) 症状は死別反応ではうまく説明されない。すなわち、愛する者を失った後、症状が2カ月を超えて続くか、または、著明な機能不全、無価値観への病的なとらわれ、自殺念慮、精神病性の症状、精神運動抑止があることで特徴づけられる。