その公園に、
捨てられた一匹の猫がいました。
グレイの縞柄のとても綺麗なメス猫で、
見るからに飼い猫です。
見るからに飼い猫です。
公園を訪れる人達は哀れに思い、
餌を与えたりしてくれたので、
彼女は何とか公園で
餌を与えたりしてくれたので、
彼女は何とか公園で
生き延びる事ができましたが、
それまで飼い猫だった彼女にとって、
最初の冬はあまりに厳しく・・。
最初の冬はあまりに厳しく・・。
目を開けるのも痛いような風が吹きつけ、
雨の日などは、ずぶ濡れのカラダが
凍りつきます。
『ここにいないと餌がもらえない』
雨をしのぐ場所を探す余裕は、
雨をしのぐ場所を探す余裕は、
まだありません。
春がくるという事も知らないし…、
春まで生きられるのかもわかりません。
ただ夜の寒さに耐えました。
春まで生きられるのかもわかりません。
ただ夜の寒さに耐えました。
そんな彼女には、大好きな人がいました。
隣の浄水場の警備員のおじさんです。
隣の浄水場の警備員のおじさんです。
守衛室に招いてくれてミルクをくれます。
寒い日の暖かい部屋は何よりもありがたく、
飼い猫の頃の居心地でした。
ただ、おじさんはヘビースモーカーなので、
体中がタバコ臭くなる、、、
彼女が唯一気に入らないことでした。
体中がタバコ臭くなる、、、
彼女が唯一気に入らないことでした。
夕方になると歌劇の好きな老夫婦が、
隣町からきてくれます。
ここはワンちゃんの散歩コースです。
隣町からきてくれます。
ここはワンちゃんの散歩コースです。
『どうしてこの子はこんなに
タバコの匂いがするのかしら?』
タバコの匂いがするのかしら?』
おばさんは彼女を抱っこするたび、
いつも不思議に思っていました。
植栽のお世話の人も、
公園管理のおじさんも、
本当はとても猫好きでした。
本当はとても猫好きでした。
『餌をあげないで!』
と言う人もいたりするので、
みんな猫嫌いのフリをしています。
みんな猫嫌いのフリをしています。
誰もいなくなったら、
ビニール袋を取り出して、
おやつの時間です。
おやつの時間です。
彼女は出産し、
子猫たちを連れてくるように
なりました。
みんなそれぞれに、
早く不妊手術をしなくてはと思いながら、
高い費用、、、
思い立ったらすぐという訳には
いかなかったのです。
それまでバラバラだった彼女の呼び名は、
『お母さん』と、ひとつになりました。
『お母さん』と、ひとつになりました。
子猫達はあまりに可愛らしく、
人にもなれていましたので、
『この子猫たち、ここで生きていけるだろうか?』
みんなが心配していました。
みんなが心配していました。
一匹の子は、一日おきに公園に
来てくれるおじさんが
連れて帰ってくれる事になりました。
おじさんの家は遠いので、
いつも車でやってくるのですが、
おじさんは元社長さん。
おじさんは元社長さん。
ちょっとした玉の輿です。
子猫達もどんどん大きくなり、
歌劇好きのおばさんは、
この子達も手術しなければと
悩んでいました。
歌劇好きのおばさんは、
この子達も手術しなければと
悩んでいました。
思い切って手術費用の相談をしてみたら、
『こんなになついてるんだから、
手術してそのまま飼ってあげようよ』
とおじさんが言ってくれました。
手術してそのまま飼ってあげようよ』
とおじさんが言ってくれました。
おばさんのおうちに行けるのは、
お母さん似の女の子です。
おばさんは、おうちに迎える子を
どの子にしようか散々悩んで、
一番弱っちかったその子に決めました。
一番弱っちかったその子に決めました。
『みんな連れて帰ってあげたいけれど、
ごめんね、ごめんね』
おばさんはそんなような事を何度も言って、
女の子と一緒に帰っていきました。
おばさんはそんなような事を何度も言って、
女の子と一緒に帰っていきました。
あんなに優しかった
浄水場のおじさんがいなくなって
どれくらいたつでしょう?
守衛室に入れてもらえるどころか、
この頃ではひどく怒鳴られたり、
追い払われたりもします。
それでもお母さんは、
なぜか浄水場の敷地によくいました。
決まって守衛室のあたりです。
なぜか浄水場の敷地によくいました。
決まって守衛室のあたりです。
その日もお母さんは
残った子供たちと一緒に
浄水場の木陰にいたのです。
浄水場の木陰にいたのです。
子供達は、見た目はもう大人のようでしたが、
まだまだ幼く、寝転がってじゃれあって、
楽しそうに遊んで・・。
それまでは、いつもと同じ光景でした。
突然、
断末魔の叫び声が
空気を切り裂きました。
慌てて子猫達は逃げ去った、
みんな逃げたんだと思いました。
みんな逃げたんだと思いました。
お母さん猫は少しだけ距離をとり、
じっと見つめたまた動きません。
じっと見つめたまた動きません。
見つめた先に、
息絶えた茶トラの男の子の
横たえた姿がありました。
横たえた姿がありました。
事件を知った歌劇のおばさんは、
『うちの子の兄妹なのに』と泣きました。
『うちの子の兄妹なのに』と泣きました。
警察に通報したレイニーの散歩のおばちゃんも、
何度も何度も泣きました。
公園に捨てられた猫達がいて、
ただ一生懸命生きてきた。
ただ一生懸命生きてきた。
ただそれだけです。
(名もない猫たちからの伝言)
当初は動愛法違反として
扱ってもらえない状況でしたが、
目撃した一市民の勇気ある告発と、
多くの方々の協力があって、
一匹のノラ猫が殺されたことは、
『罪』になりました。
動物虐待を許してはいけない ――
人々の想いが、
ひとつ一つ、
事件にならない事件を積み上げて、
ここまでこれたのだと思います。
2ヵ月足らずで8万筆を越えた
Evaさんの署名、
日本にアニマルポリスを――
必ず実現できると信じています。