【シリーズYMO伝説第八回】85年は分岐点。YENレーベル終焉とノンスタンダードの若手発掘 | カジュアルズレコード・ブログ

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福岡の通販専門アナログレコード店「カジュアルズレコード」。Webショップとブログ、ツイッターの効果的な連動に試行錯誤の日々です。

このシリーズではYMO関連のレコードをまとめています。まとまった入荷があるときに随時更新しています。掲載しているレコードはすべて「アナログレコード」となります。ジャケ写の下に当ショップへの直リン貼っておきます。

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85年という年はYMOムーヴメントも完全に終息し、「90年代」に向けて新たなる胎動が始まった年でもあります。細野晴臣と高橋幸宏が主宰していた「YEN」レーベルも「YEN卒業アルバム」をもってクローズします。この2枚組みアルバムはYEN所属アーティストがほぼ全員参加、新録及び新たなリミックスを施したヴァージョンばかり違いで、YMO~YENファンは必聴のアイテムです。

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V.A. / YEN卒業記念アルバム (LP)



細野晴臣はテイチクに移籍、自身のレーベル「ノン・スタンダード」を立ち上げます。レーベル自体は大したセールスを残せませんでしたが、特筆すべきは来るべき90年代に向けて大きな才能を発掘した事です。その筆頭に挙げられるのがご存知「ピチカート・ファイヴ」。日本の「90年代」を作った最重要の存在です。ピチカートも最初は細野晴臣が発掘したワケで、それだけでもノンスタは価値あるレーベルでした。こちらは彼らのデビュー12インチシングル「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」。

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ピチカート・ファイヴ / オードリー・ヘップバーン・コンプレックス (12inch)



ハッキリ言って「ピチカート」はノンスタでは全く売れていません。次にメジャーの「CBSソニー」に移籍しても、ヴォーカルを「オリジナル・ラヴ」の田島貴男に変更しても売れませんでした。ピチカートが本格的に売れるのは90年の「日本コロムビア」移籍後、野宮真貴と小西康陽のふたり体制になってからで、それこそノンスタ時代は下積みも下積みと言えるでしょう。こちらは彼らの2枚目の12インチシングル「イン・アクション」。

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ピチカート・ファイヴ / イン・アクション (12inch)



当時のノンスタで一番の注目株は高橋幸宏がプロデュースした男性3人組「アーバン・ダンス」。細野のノンスタ・テクノ・サウンドを継承し、幸宏が楽曲提供もしているイケメン3人組で、まさに「ポストYMO」の一番手でしたが、時代がYMO的なものをもう求めていなかったのでしょう、売れませんでしたが、もちろんクオリティは素晴らしいです。

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URBAN DANCE / S.T. (LP)



細野晴臣の片腕的な存在となる鈴木惣一郎のグループ「ワールド・スタンダード」もノンスタからデビューしています。環境音楽~アンビエント的な作風ですが彼らもノンスタだからこそデビューできたのかもしれません。鈴木惣一郎は音楽評論家としても活動しており、90年代の「裏主役」とも言える「中古レコード屋文化」を「モンド・ミュージック」などで支え続けました。彼らもまた「90年代」に欠かせない登場人物となります。

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ワールド・スタンダード / 珠玉のワールド・スタンダード第一集 (LP)



レーベル・オーナー細野晴臣は映画音楽、CM音楽、プロデュースと精力的に仕事をしています。氏の映画音楽仕事の中で最も人気・評価の高いのが鈴木キサブロー監督の「銀河鉄道の夜」。繊細なシンセの打ち込みが素晴らしい、アンビエント・サウンドの名盤でもあります。

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O.S.T. (細野晴臣) / 銀河鉄道の夜 (LP)



こちらは82年から85年まで細野が手掛けたCM音楽をコンピルした「コインシデンタル・ミュージック」。ノンスタと並行して立ち上げた「モナド」レーベルの第一弾リリース作でもあります。

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細野晴臣 / コインシデンタル・ミュージック (LP)



細野晴臣ソロとしては「インテリア」野中英紀とのユニット「フレンズ・オブ・アース」名義としての活動が中心でした。「S-F-X」で到達した過激なエレクトリック・ボディ・ビートを更にブラッシュアップしたサウンドで、個人的にはこの作品が氏の中で最も過激で尖ったサウンドだと思います。

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Friends Of Earth (細野晴臣) / Friend Or FOE? (LP)



坂本龍一はこの年、UKエレクトリック・ポップの鬼才トーマス・ドルビーとのコラボレーション「フィールド・ワーク」でスタートしています。サウンドは後の「未来派野郎」に繋がるもので、坂本はここから「エレクトリック・サイバー・ロック」路線を邁進していきます。

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坂本龍一 featuring トーマス・ドルビー / Field Work (12inch)



坂本龍一9月のシングル「ステッピン・イントゥ・エイジア」シングル。矢野顕子との共作で、タイ語のラップをフィーチャーした意欲的な名作です!

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坂本龍一 / Steppin' Into Asia (7inch)



この年の坂本仕事で最も興味深いのは前衛舞踏家モリサ・フェンレイのために制作された「エスペラント」でしょう。最新機材フェアライトやサンプリングを駆使した超刺激的なエレクトリック現代音楽。本人もその仕上がりに大変満足した様です。

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坂本龍一 / エスペラント (LP)



高橋幸宏は主演を務めた大林宣彦監督作「四月の魚」で初のサウンドトラックを手掛けています。幸宏のベースであるフレンチ趣味と、YMO時代を通じて会得したシンセ・オーケストレーションを融合した「YEN」時代の総決算といった感じの作品です。

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O.S.T.(高橋幸宏) / 四月の魚 ポワソン・ダブリル (LP)



「心の師匠?」ピエール・バルーとの共作「四月の魚」の主題歌シングル。カップリングは隠れた名曲「君にサープライズ」。

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高橋幸宏 / 四月の魚 (7inch)



高橋幸宏は「YEN」のクローズと共に「キャニオン」に移籍、新レーベル「T・E・N・T」を立ち上げ自身の作品や「ザ・ビートニクス」の作品をリリースします。第一弾はアルバム「ワンス・ア・フール」で、「キャニオン」の意向か、全篇超ポップな楽曲のみで構成されています。

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高橋幸宏 / ワンス・ア・フール - 遥かなる想い (LP)



次回は「86~87年のソロ活動」です!


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