呼吸を止めて。
目に映る景色、音、空気。
交わした言葉、心が音を立てて、世界が揺れるんだ。
逃したくなくて、忘れたくなくて、夢中でシャッターを切るような。
永遠の一瞬。
先週末は雪やインフルエンザを心配していましたが、すべてうまくいって無事帰省することができました。
寝る間も惜しんで過ごした3日間。
心地よい疲れと、果てしない思い出の反芻をいまだ引きずっています。
ホントに夢のようで、とても心の動いた奇跡のような3日間でした。
Day 1
金曜日は雪の予報だったので朝3時半に起きて家を出発しました。
空港までは車で送ってもらいましたが、万が一高速が通行止めになっていたらと思ってかなりはやめの出発でしたが、高速道路は大きな混乱もなく余裕で空港に到着しました。
とはいえ、荷物を抱えて子連れでの搭乗はめちゃくちゃ大変です。
結果余裕をもって空港についていてよかったです。
山口宇部空港行きの飛行機に乗って、まずは防府の実家へ。
1年ぶりに帰ってきました。
去年の今頃は心身ともに疲れのピークで帯状疱疹になって限界を感じ、泣きながら実家に帰ったのでした。
あれから1年。
そんな日々も笑い飛ばせるくらい元気に帰ってきました。
猫に興味津々のかなたくん。
クロちゃんをリモコンでたたかないで!
ちょうど節分のお祭りをやっていたので防府天満宮に行ってきました。
節分祭、牛替神事です。
くじが当たると牛がもらえます。
当たるととても大変らしいです。
お参りもしてきました。
防府の街はとてものどかでほっとします。
祖父母と叔父叔母、いとこの暮らす家にもお邪魔してきました。
たまにしか会えませんが、みんな変わらず元気で安心しました。
かなたくんもたくさん遊んでもらえてよかったね。
この日はかなたくん、初めてわたしと離れて外泊です。
お母さんに預けて、わたしは新幹線で福岡に向かいました。
お母さんなので安心して、たまにはひとりで遊びに行かせてもらうことにしたのです。
電車待ち。
びっくりしたのは、東京よりもかなり日が暮れるのが遅いことです。
逆ですね、東京ではいまだにいつも日が暮れるのがはやいなぁと思うので。
曇っていたけれど、いつまでも空が明るくて、どこか空気が軽くて、冷たい風だけどもうかすかに春のにおいがするようで、線路の向こうを見ながら電車を待っているとなんだかわくわくするような気持ちになります。
東京で電車を待っていてもこんな気持ちになることないのにね。
それはこの先に楽しいことが待っているからだけではなくてね。
懐かしい街の空は全然違うんだ。
きっと言葉では説明できないけれど。
だからこの瞬間を閉じ込める。
この感覚を、この心を、忘れないように。
新幹線はあっという間で40分ほどで博多に着きました。
1年ぶり、元同僚の友達と待ち合わせて博多駅でShinShinを食べました。
ひさしぶりのShinShinはとてもとてもおいしかったです。
でもそれ以上にひさしぶりの会話が楽しすぎてラーメンもかすんでしまうくらいでした。
1年間全く連絡してなくて、こんなに遠く離れていて、まったく違う日々を送っていたのにね。
毎日話していたころと同じように次々言葉があふれてくるよ。
まったく違う景色を見ているはずなのにね、同じ気持ちを持っていたりしてね、その事実に心がじんわりするのです。
たくさん話して、それでも話し足りない帰り道。
夜の博多の街はキラキラで、懐かしさのような新しさのような、不思議な感覚に襲われます。
いまでもわたしは少女のままで、何者でもない自分が心地よかったあの日のようだよ。
これからどこへでも行けそうな、果てしないきらめきを全身で浴びていたあの日のようだよ。
またねの一歩前、わたしの質問に対するパーフェクトアンサーのその瞬間、きらめきは最大限になって、くらくら眩暈がするほどでした。
世界が揺れた、それだけで生きていけるなんて言ってしまいたくなるくらい。
心のふたが外れる、なんて感覚ひさしぶりだ。
ぽろぽろと、きらきらと。
わたしはきっとこの瞬間を忘れられないね。
夜は友達のミュージシャン、原山尚子ちゃんちに遊びにいきました。
3時半起きてもうそろそろかなり疲れてきていましたが、なおちゃんに会って、また言葉が止まらなくなってしまいました。
1年ぶり、話したいことが溢れすぎて仕方なかったです。
くだらない話も、真剣な人生の話も、苦しくなるような音楽の話も、誰にも言えない心の話も、汚い醜い話も。
大笑いして、時に涙して、まるで素晴らしい映画を見た後のようだよ。
フィナーレはその類まれなる才能が生みだした美しい音楽。
こんなに仲良くできて、こんなに共感しあえていると感じているのに、なおちゃんのその音楽を聞くといつも到底とどかないやと思ってしまうのです。
だからこそこんなにも焦がれる、こんなにも大好きなんだけれどね。
わたしにとても似ているとも思うけれど、わたしとは全然違うとも思うのです。
共有できてうれしいけれど、交われなくてさみしくて、もっと知りたくなってしまうなんて、まるで恋のようだね。
たぶんきっと紛れもなくそんな感情だよ。
とてもとても特別なひとなのです。
結局明け方3時近くまで話して長い長い1日を終えました。
疲れているはずなのに、ふたの外れてしまった心が騒ぎすぎて、なかなか寝付けませんでした。
なにもかもが特別すぎて。
でも、とても自分にしっくりくる、わたしの場所で。
もう長い間新しい日常を毎日繰り返していたはずなのに、ここの来ると一瞬であの日の自分に戻れるようで。
でも確かに前に進んでいる、あの日とは違う自分で。
長い年月に洗い流されても、心の深いところでつながっていたひとは今もこうしてそばにいてくれたね。
そしてどんな風に生きてもわたしはわたしだったよ。
そしてどこで生きていても、わたしを作ったのはわたしの愛する街、そしてそこで出会ったひとだね。
なんだろう、うまく言い表せる言葉が見つからなくてね。
なんども思い出してみているんです。
呼吸を止めて。
心に鮮やかに刻まれてしまった。
永遠の一瞬。