ゴミのような世界、その美しさよ。
東京らしい東京が、大都会が見たくて世界貿易センタービルに行ってきました。
40階、展望室。
証明を落とした展望室に入った瞬間息を飲むような幻想的な夜の景色が広がっていました。
360度、どこまでも広がる都会の夜。
まるで別世界のようです。
毎日歩いているごちゃごちゃした街もはるか遠い喧騒です。
あの窓の灯りひとつひとつでは、きっとわたしと同じように誰が暮らして、同じようにどうしようもないことで心を痛めていたりするんだね。
そんなちいさな光が集まって、この景色を作り上げているんです。
きっと恐ろしく醜いことだってさ、こうして遠くから見るとただの光の渦なんだね。
それはとてもとてもきれいだよ。
くだらなくて愚かなことだってさ、ここからはこんなにもきれいだよ。
この夜の街の空に座ってみたいな。
夜に腰かけて、涼しい風に吹かれて。
街のざわめきをはるか彼方に見下ろして。
大きな月に見下ろされて。
たったひとりで歌いたい。
どこにも行けずひどく孤独で。
だけど果てしなく自由で。
幸せな絶望の歌を。
なんてね、そんなファンタジーに真剣に焦がれてしまいます。
だけどわたしはこの街の光の粒にしかなれないんだ。
それは誰だって一緒だよ。
あの窓の中ではこの世界を動かすような大きな事件が起こっているかもしれない。
それでも世界にとっては同じ細胞のひとつでしかないんだね。
夜空には月明かり。
そしてまた、ちくり。
叶わない美しさに、それでいいと思うんです。
痛みも憧れもそのままでいてほしいんです。
手を伸ばす、届かない。
この数センチをわたしはきっと愛してるから。




