旅立つ空 街をいくつも見送れど
僕らはまた同じ景色に焦がれては
同じ明日を迎えるだろう
ひさしぶりに夜行快速「ムーンライトながら」に乗りました。
降り始めた雪の中、電車はゆっくり夜を走っていきます。
大垣から東京を結ぶムーンライトながら、そしてかつて博多と京都を結んでいたムーンライト九州。
はるか昔に置いてきた思い出を思い出します。
あの頃みたいにヒリヒリした痛みはもうないけれど、とっくの昔にその熱は奪われたけれど。
また違う痛みをわたしにくれます。
もう二度とあんなに絶望しないだろうし、誰かを傷つけたりもしないだろう。
そしてもう二度とあんなに苦しみのなかで輝きながら誰かを想うこともないのだろう。
それはわたしの選んだこと。
どんな未来につながっていても後悔なんてないけれど。
ムーンライトから夜の街を眺めるときはいつもそのかすかな傷跡を思い出してしまうんです。
ねぇ、もうこの世界にはわたしがそうして生きた証さえ残ってはいないんだよ。
明日になればわたしだって忘れてしまうかもしれない、取るに足らない物語。
この広い世界で砂粒ほどの、誰も知らないわたしだけの物語。
