カッサフォルテ犬猫コラム -137ページ目

慢性腎臓病5

それでは慢性腎臓病を診断するにはどうしたらいいのでしょうか?
その前にまず慢性腎臓病の定義からお話しする必要があります。

慢性腎臓病とは何らかの腎臓の障害が3ヶ月以上持続する場合と定義されています。
人間の場合は腎臓の機能が健康な人の60%以下になった状態や、
タンパク尿が3ヶ月以上続く場合を慢性腎臓病というそうです。

この腎臓の機能を評価する目安がGFR(糸球体ろ過量)といい、
1分間にどれくらいの血液を濾過して尿を作れるかを表します。
しかし、これを実際に測定するのはほぼ不可能なので、
イヌリンクリアランスというものを計算します。
これはイヌリンという物質を注射し、
それが一定時間毎にどれだけおしっこの中に排泄されるかを測定して計算します。
これが一番正確に腎臓の機能を評価できるのですが、
何回も採血が必要だったり、正確な採尿が必要だったりで簡単にはできません。
人間の場合にはこれをもう少し簡便にしたクレアチニンクリアランスというものがありますが、
これも尿量を正確に測定する必要があることと、
決まった時間におしっこを採る必要があるので動物では難しいです。
さらに、人間では簡単にGFRを推定できる計算式もありますが、
これは膨大なデータの蓄積があってできることなので、
動物では当てはめられません。
では、どうすればいいのか?
それを次回からお話ししていきたいと思います。

慢性腎臓病4

前回は慢性腎臓病で現れる症状についてお話ししましたが、
腎臓は非常に頑張り屋な臓器で、
一般的な血液検査での腎機能の指標であるクレアチニンやBUNが上がってくるのは全体の4分の3、75%が壊れてからです。
つまり、腎臓の機能の25%が残っていればこれらの数値は正常範囲に収まっているということです。
ですから、腎臓移植で片方の腎臓を提供しても問題ないんですね。
逆にいうと、クレアチニンやBUNが上がっている時点で残っている機能は25%以下ということになります。

そして、腎臓は壊れてしまうと治せない臓器でもあります。
失われた機能を取り戻そうとするなら腎臓移植しかありません。
腎臓移植ができない場合は透析を行って、
腎臓の機能を別のもので肩代わりするしかありません。
人間の場合は人工透析をしますが、
人工透析ができる動物病院はほとんどないと思います。
腹膜透析という方法もあり、これは動物でも可能ではありますが、
急性の腎不全で一時的に腎機能が落ちている場合などに
腎機能が回復するまでの間に行うなどがほとんどで、
慢性腎臓病の維持として長期間行っていくのはなかなか難しいところがあります。

つまり、実際の慢性腎臓病の治療は腎臓の残った部分を大事に使っていき、
できるだけ機能を失わないようにするということなのです。
ということは、残っている機能が多ければ多いほど余命を長くできるということです。
ですから、早期診断が非常に重要になってきます。

慢性腎臓病3

前回は腎臓の役割についてお話ししました。
今回は慢性腎臓病になるとどんなことが起きるのかをお話しします。

腎臓からの老廃物の排泄がうまくいかなくなり、
血液中の老廃物が増えてしまいます。
こうなると血液検査でクレアチニンBUNなどの数値が高くなります

尿の濃縮がうまくいかず、
薄いおしっこをたくさんするようになります。
おしっこをたくさんする分、水をたくさん飲むようになります。
中にはおしっこの量が以前より増えたために我慢ができず、
トイレ以外の場所で漏らしてしまったりする子もいます。

イオンバランスがうまく保てなくなったりします。
例えば、カリウムは体内で非常に重要な役割を持っているのですが、
これが正常範囲より下がったり、逆に高くなったりします。

腎臓の機能が落ちると高血圧になることがあります。
高血圧の程度によっては網膜が剥がれて失明してしまうこともあります。
また、高血圧がさらに腎臓に悪影響を及ぼし、
さらに血圧が上がるという悪循環が生じることもあります。

慢性腎臓病が長期に及ぶと、
腎臓から出ている造血ホルモンが不足するために赤血球が作られなくなり、
再生不良性の貧血が起こることがあります。