新しい糖尿病の薬11
前回からの続きです。
(最初はこちら)
ケトアシドーシスは本当に危険な状態で直ちに積極的な治療をしないと命にかかわります。
長くなってしまいましたが、インスリンを出せない1型糖尿病の子にセンベルゴを使うと
この恐ろしいケトアシドーシスという状態を引き起こしてしまうので使えないのです。
2型糖尿病はインスリンは出せるけれども足りなかったりうまく作用しなかったりで起きる糖尿病です。
ざっくり言ってしまうと血液から細胞の中に糖を取り込んではいるけど追いつかない状態です。
この状態ならば余分な糖を尿の中に捨ててしまえば血糖値は下がりますし、
インスリンによる糖を細胞内に取り込ませる働きはあるので細胞が栄養不足になることもありません。
こういう理由から1型が多いワンちゃんでは使えないけれども2型が多いネコちゃんで有効というわけです。
資料によると90%のネコちゃんで効果があったそうです。
ネコちゃんの糖尿病のすべてが2型というわけではなく1型の子もいます。
そういう子にはインスリン投与による治療が必要です。
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新しい糖尿病の薬10
前回からの続きです。
(最初はこちら)
脂肪を分解して糖を作り出すという働きは糖尿病の時だけではなく健康な体でも日常的に起きています。
この働き自体は別に異常でも何でもないのです。
当然ケトン体もできてしまいますが、それを無毒にする仕組みもちゃんとあるのです。
生き物の体って本当にうまくできていますよね。
糖尿病の時は糖があっても細胞の中に取り込めない状態なので
作っても作っても細胞に足りないと言われてしまいます。
足りないと言われれば作るしかないわけで、脂肪をどんどん分解してしまいます。
脂肪がどんどん分解されれば当然ケトン体もどんどんできてしまいます。
そうなるとケトン体を無毒化する仕組みが追いつかなくなってケトン体が増えます。
そうしてケトアシドーシスという危険な状態になってしまうのです。
ネコちゃんは脂肪の代謝に特殊な部分があるためここで肝リピドーシスという病気を併発してしまうことがあります。
この病気もとても厄介なのですが、また改めて別の機会にお話ししますね。
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新しい糖尿病の薬9
前回からの続きです。
(最初はこちら)
細胞の中に取り込まれた糖はいろいろな活動のエネルギーとして使われます。
糖が足りないとエネルギーが作れないため活動ができずいろいろと困ります。
そうすると細胞から「糖が足りない!」というSOSが出ます。
SOSを受けた脳は糖を取り込ませるためにインスリンを出すよう命令します。
ところがいくら命令を出してもインスリンを作る工場である膵臓が壊れているとインスリンを出せません。
実際には糖はたくさんあるのにインスリンが足りなくて取り込むことができないだけなのですが、
脳からするとインスリンを出すように命令してるのに解決しない。
「そうか!糖が足りないんだ!」と判断します。
そうすると「糖が足りなければ作ればいいじゃない!」ということになってしまいます。
そして糖を作るために最初は脂肪が、脂肪がなくなればタンパク質を分解して糖を作り出します。
糖尿病を放置すると痩せてくるのはこういったわけです。
脂肪を分解して糖を作り出す過程でどうしてもケトン体という有害なものができてしまいます。
これが前回出てきたケトアシドーシスの原因です。
続きます