カッサフォルテ犬猫コラム -104ページ目

予防としての避妊手術1

前回お話ししたように避妊手術では卵巣と子宮を取ってしまいますので、
その後は妊娠することはありません。
発情も来なくなります。
ワンちゃんの場合は発情時の出血や発情に伴って体調を崩すことがなくなりますし、
ネコちゃんの場合は発情時の大きな鳴き声や行動の変化がなくなります。
これは卵巣だけを取った場合でも同様です。

余談ですが、ワンちゃんの発情出血をわかりやすく生理と表現することが多いのですが、
実は人間の生理とは全く違うのです。
人間の場合は排卵があった後ではがれ落ちた子宮内膜が血液と一緒に排出されるのが生理です。
これに対して、ワンちゃんの出血は排卵の前に起こります。
人間とは出血のタイミングが逆なんですね。
ですから実際には生理とは違うのですが、
わかりやすく説明するために生理と表現したりします。

話を戻します。
これらだけを見ると人間側の事情なので、
人間の都合で体にメスを入れていいものかとためらってしまう方もおられます。
気持ちはよくわかりますし、同じ理由から避妊手術に否定的な獣医師もいます。
ですが、将来の病気の予防という観点からも考えてあげてほしいのです。
避妊手術によって女性ホルモンが関係する病気を予防できるのです。

次回は具体的にどんな予防効果があるのかをお話ししたいと思います。

避妊手術の方法

当院での避妊手術ではワンちゃんもネコちゃんも卵巣と子宮を取ります。
卵巣をとるだけでも女性ホルモンはほとんど出なくなりますし、
どちらの方法でも予防効果に差はないと言われています。
卵巣と子宮の両方を取る術式の方が傷は大きくなってしまうというデメリットはありますが、
次のような理由からこの方法をとっています。

確実に卵巣を取ることができる
 卵巣だけをとる術式では小さな切開部から卵巣を引っ張り出して切除します。
 あってはならないことですが、
 卵巣の一部でも残してしまうとそこから再生してしまいます。

子宮に異常がないか目で見て確認できる
 卵巣だけをとる方法では子宮は見られません。
 通常の避妊手術で子宮に異常があるケースは少ないですが0ではありませんので。

お腹を閉じる前に出血などがないかを確実に確認できる
 比較的お腹を大きく切っていますのでしっかりと見て確認できます。

卵巣だけをとる術式の最大のメリットは傷が小さくて済むことですが、
逆にデメリットともなりえます。
傷が大きくなってしまう分だけ負担が少し大きくなってしまうという点は否定できませんし、
子宮もとる分出血のリスクは増えてより注意深い処置が必要にはなりますが、
何よりも安全かつ確実に手術をすることの方が大事だと考えていますので、
当院ではこの術式で行っています。

避妊・去勢の意義

そろそろ春から初夏にかけて生まれた子猫さんたちが生後半年を過ぎ、
去勢手術や避妊手術ができる年齢になってきました。
去勢や避妊は不必要な妊娠を防ぐだけではなく、
いろいろな困った行動を抑えたり、
そして何よりも病気の予防という意義もあります。
ワクチンなどと同じような予防の一つとしても考えてあげてください。

次回からどのような病気が予防できるのかを何回かに分けてお話ししたいと思います。