監督
コラリー・ファルジャ
ジャンル
ホラー
出演
デミ・ムーア as エリザベス
マーガレット・クアリー as スー
デニス・クエイド
ジョゼフ・バルデラマ
鑑賞方法
映画館 行きつけの映画館
アカデミー賞授賞式の司会者登場の際のネタとして擦られたこの映画の印象的なシーンもあって、何やらとんでもなくエグいものを見せられる心の準備はあったものの、最近のホラーは正味そこまでグロいシーンもないので特段の覚悟もせずに映画館の座席に着席。
というか気になったのは、割と空いてる映画館で、なぜか隣の席を間を空けずに座ってきた青年。
隣に人がいるのって気が散ると思うのですが、なぜ敢えての真隣りなのか?
場内のお客さんはやはり普段より女性が多め。
ホラージャンルは女性客を狙うフォーマットとしていよいよ確立されてきた様子。
アクション映画がオッサンを呼び込むジャンルとして機能して久しいですが、ラブストーリー映画以外で女性を狙えるというのは作家としても意欲が湧くところらしく、しかも一定の集客が見込めるので内容も野心的なものが多いですね。
そんな中でも本作は本命中の本命。
自らも女優としての経験を持つ女性監督が、デミ・ムーアを主演に迎えて放つ、ハリウッド女優が主役の作品とあっては、もはやジャンル映画としてのホラー映画の一作品としては片付けられないものとなっています。
映画のルックもこだわり抜かれていて、往年の名作からの引用も多く、キューブリックやらデヴィッド・リンチやら監督が映画に深い造詣があることが伝わってきます。
でもそこまでやりつつ基本テイストはコメディ。
サム・ライミ監督のようにホラー要素は怖がらせるものではなく嫌悪感を追求してもはや笑えるところまで押し進めます。
コメディ好きの自分としては最高で、大好きな作品となりました。
女性の若返りというテーマで舞台設定してますが、それについての社会的な背景などを浮かび上がらせるのはあくまでストーリーをドライブさせるためのエンジンとして使っているだけで、問題そのものを糾弾するようなものにはしていません。
このあたりはアクションコメディ映画で戦争を舞台にして描くときの舞台設定と同じで、シニカルに描くとしても社会派の作品として重厚に作るのではなく、エンタメ作品として振り切っています。
女性には特に重くのしかかるルッキズムやエイジズムの課題を題材にしていますが、それはウディ・アレンがユダヤ人差別を自虐的に使いながら話を進めるように、身近にある言葉にしにくい題材の蓋を開けて、映画の表現を豊かにしているということが主眼としてあります。
たとえばこれが黒人問題になれば近年でいえば『アメリカン・フィクション』という作品になるのでしょう。
この映画の成し遂げたこと、後世への意味ということでいうと、女性を客として見立てた作品で、ブラックスプロイテーション映画の女性版のように機能しはじめたホラージャンルから『黒いジャガー』のような作品が生まれてきたということでしょう。
きちんとお金が回り始めて固定客がつけば、こうした潤沢な資金と才能が注ぎ込まれた作品が出てくるということ。
しばらくホラージャンルの作品の勢いは止まりそうもありませんね。

