2014年世界レコード産業の実績 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

例年通りIFPI(国際レコード産業連盟)が発表した世界レコード産業の売上実績を取り上げます。
報告によると、2014年の世界レコード産業の売上は、パッケージ売上で前年比8%減となる68億ドル、配信による売上は前年比7%増となる68億ドル、それに権利収入9億ドルと”シンクロ収入3億ドルを加えて、合計150億ドルで前年比0.4%減でほぼ横ばいとなりました。
日本の売上の落ち込みも緩やかになり、売上前年比5%の減。昨年に続く、アベノミクス効果による円安効果も考えれば世界で一人負けの状況からは脱したと見ることができるでしょう。
米国ではサブスクリプションサービス売上が急激に伸び、パッケージ、ダウンロードの両方の売り上げが減少したにもかかわらずトータルでの売上前年比2.1%増に押し上げました。

国別で見るとトップ5は今年も相変わらずの5国。 
1位 米国(12年:45億ドル⇒13年:45億ドル⇒14年:49億ドル)世界市場シェア33%
2位 日本(12年:44億ドル⇒13年:30億ドル⇒14年:26億ドル)世界市場シェア18%
3位 独国(12年:13億ドル⇒13年:14億ドル⇒14年:14億ドル)世界市場シェア9%
4位 英国(12年:13億ドル⇒13年:13億ドル⇒14年:13億ドル)世界市場シェア9%
5位 仏国(12年: 9億ドル⇒13年:10億ドル⇒14年:8億ドル)世界市場シェア6%

上位5カ国の顔ぶれは変わらず、日本と米国で世界の音楽産業の50%のシェアを占めている現状にも変わりありませんが、上位5カ国によるシェアは昨年に引き続き74%になり、わずかではあるものの、4分の3以上のシェアを占めてきた体制は崩れてしまっています。これにより音楽産業の新興国の存在感が増すことから昨年に引き続き、6位以下の状況も見てゆきます。

 6位 豪国(12年:5億ドル⇒13年:4億ドル⇒14年:4億ドル)世界市場シェア3%
 7位 加国(12年:5億ドル⇒13年:4億ドル⇒14年:3億ドル)世界市場シェア2%
 8位 韓国(12年:2億ドル⇒13年:2億ドル⇒14年:3億ドル)世界市場シェア2%
 9位 伯国(12年:3億ドル⇒13年:2億ドル⇒14年:2億ドル)世界市場シェア2%
10位 伊国(12年:2億ドル⇒13年:2億ドル⇒14年:2億ドル)世界市場シェア2%

韓国が劇的に売り上げを伸ばして8位に浮上。背景にはサブスクリプションサービスの成功があります。
ただ、韓国を除いては、米国が産油国として台頭したり、中国の勢いが落ち着き始めたり、ギリシャの財政危機が深刻化していることにより、各国の勢いが伸び悩んでいる傾向が出ています。
米国が世界トップの産油国として存在感を増していることで、同じ産油国として外貨を稼いできたカナダが失速。中国への資源供給国として外貨を稼いできたオーストラリアも失速。ギリシャ問題でユーロ不安が加速してイタリア、そして4位のイギリスも5位のフランスも失速。
結果として昨年対比で伸びた国は上位10ヵ国のうち、アメリカ、ドイツ、韓国、ブラジルの4国のみ。
特筆すべきはドイツで、ユーロ安を武器に自動車販売を伸ばし、ついにフォルクスワーゲンが世界トップの販売シェアを誇る企業となりました。
ユーロ安をもうまく利用して、事実上のヨーロッパの盟主として、揺るぎないポジションを築き、経済的な安定をもたらしており、それがレコード産業の世界にも波及しています。
たかだかレコード産業でも、というよりはたかだかレコード産業だからこそ、様々な世界規模での経済活動が業績そのものに少なからず影響を及ぼします。

先日イランと米国の合意が成立し、核開発が条件付きながら事実上容認された格好となりました。
これでイランの核開発を引き受けている北朝鮮にも資金が流れ、核の生産はいよいよ本格的になり、先の大戦で日本に使用されたような規模の核兵器が世界に拡散してゆく端緒が開かれました。
核のカジュアル化、グローバル化の始まりです。
かつての中世における鉄砲の普及のように軍備にかかわる考え方が180度変化してゆくことでしょう。

産業のグローバル化に加え、核軍備のグローバル化にもこれからの地球人は向かい合わなければならなくなりました。

安全大国日本においてもかつて湯水のごとく手に入っていた平和が、飲料水のように対価を支払って手に入れるべきものに変容しつつあります。

そんな中、まさに湯水のごとく音楽が享受できるサブスクリプションサービスが定着しつつある世の中というのが何とも皮肉。

マズローの5段階欲求の1段目の生理的欲求や2段目安全の欲求に支払うコストの概念が書き換わっていきどんどんそのコストが増加している劇的な転換期を迎えている今の社会。このあと積み上がる3段目、4段目には何がどう積み上がってゆくのか?
そのとき音楽に求められる新しい価値観とその対価の支払われ方はどうなってゆくのか。

歌は世につれ世は歌につれ・・・。

今の時代の生き証人としてしっかりこの大変革の有様を見届けてゆこうと思います。