2009年、ダウンロードの売り上げも前年割れを記録し、音楽業界は何やら袋小路に入ってしまったかのような取り上げ方をされていますが、私はそこまで悲観していません。
そしてその活路がライブイベントにあるとも思っていません。
やっぱり記録音楽が商業音楽の柱であることはこれからも変わらないと思います。
流行音楽の来し方行く末をオリコンの週間売り上げ記録を軸に俯瞰しつつ、私の考えをつづります。
1975年
”およげ!たいやきくん”子門真人
それまでのシングルチャート週間売り上げ記録を軽く超える220,250枚を記録。
団塊世代がその子に聴かせるために買ったレコード。
団塊世代のピークである1949年生まれが26歳。
団塊ジュニア世代のピークである1973年生まれが2歳。
この二つの世代がシンクロして大ヒットとなりました。
1985年
”涙の茉莉花LOVE”河合その子
おにゃん子クラブ関連で初の1位獲得という記録のある作品ですが、”およげ!たいやきくん”の大記録が誕生して以来、シングルチャート週間売り上げ最低記録を更新する、31,780枚を出しました。
団塊世代のピークが36歳。
団塊ジュニアのピークが12歳。
どちらもあまり流行音楽には疎い気が・・・。これは確かにおにゃん子がなかったらもっとひどいことになっていたと思わせる年齢構成。
1987年
『BAD』マイケル・ジャクソン
それまでのアルバムチャート週間売り上げ最低記録を大きく下回る35,430枚を記録。
個人的にはこのアルバムが初めて購入した洋楽アルバムという思い入れがあるのですが、
売り上げ的にはあまり思わしくない記録を保持する1枚。
団塊世代のピークが38歳。
団塊ジュニアのピークが14歳。
たしかにどちらの世代も音楽をライフスタイルの中心に据えるには時期が少しずれています・・・。
ただこの時期水面下では団塊ジュニアをアニメの主題歌という手段を使って、徐々に音楽の世界に引き入れる作戦が進行。
『BIRDS』徳永英明(”輝きながら・・・ ”収録)
上のマイケルのワースト記録が出たその翌週に早くもその記録を塗り替えたのがこのアルバム。
アルバムチャート週間売り上げ最低記録を34,230枚と更新。
世の中はバブルに浮かれていたものの、流行音楽はCDへの移行期ということもあって、なかなかの低迷ぶりです。
1988年
”パラダイス銀河”光GENJI
”およげ!たいやきくん”シングルチャート週間売り上げ記録を大きく超える338,690枚を記録。
シングル売り上げが低迷する中、ジャニーズの新星が躍進。
団塊世代のピークが39歳
団塊ジュニアのピークが15歳。
団塊ジュニアの持つ購買力の凄さが際立って見えた最初の現象です。
”C-Girl”浅香唯
光GENJIの活躍とは裏腹に、シングルチャート週間売り上げ最低記録を更新する、28,270枚という残念な結果に。
3代目スケバン刑事も時代の波には勝てませんでした。
1989年
『the BADDEST』久保田利伸(”You were Mine”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録330,590枚。
団塊世代のピークが40歳
団塊ジュニアのピークが16歳。
低迷していたアルバム売り上げを団塊ジュニアの購買力が引き揚げ始めています。
1990年
『Singles ~NORIKO BEST~ 』酒井法子(”1億のスマイル ~PLEASE YOUR SMILE~ ”収録)
アルバムチャート週間売り上げ最低記録32,960枚とワースト記録を更新。
団塊世代のピークが41歳
団塊ジュニアのピークが17歳。
ノリピー19歳。アイドル時代の終わりです。
1991年
”Oh!Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に”小田和正
光GENJIが出したシングルチャート週間売り上げ記録を大きく超える740,830枚を記録。
団塊世代のピークが42歳
団塊ジュニアのピークが18歳。
月9ドラマの流行とその主題歌のタイアップヒットの凄さが証明された瞬間。
いわゆるトレンディドラマの傑作。
鈴木保奈美の演じたヒロインのあっけらかんとしたキャラクターの魅力がなんとも言えませんでした。
『Jealousy』Ⅹ(”Say Anything”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録612,920枚。脅威の売り上げ。
この成功がなければ、ビジュアルバンドブームは無かっただろうし、そうなっていれば、日本の進んだ音楽の歴史も全く違ったものになっていたでしょう。
『SCENE II』飛鳥涼(”はじまりはいつも雨”収録)
アルバムチャート週間売り上げ最低記録25,240枚と更にワースト記録を更新。
現在のところぶっちぎりで史上最低記録です。
ここでアルバムの売り上げは下げ止まりました。
このアルバムのクオリティや、当時のASKAの人気でもわかるとおり、何もこのアルバムが駄作であるからこうなっているのではなく、やはり購買力の問題であることが分かります。
『DAWN PURPLE』松任谷由実(”情熱に届かない~Don't Let Me Go”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,013,520枚。
つまり初週でミリオンセラー達成。
Xの驚異的な記録はいとも簡単に破られてしまいます。
『IN THE LIFE』B'z(”ALONE”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,043,070枚。
前週にユーミンが作った記録をあっさり塗り替えてしまいました。
日本を代表するバンドになった瞬間です。
そしてこれからいわゆるCDバブルの時代が始まります。世の中はバブルがはじけて大変だったのに・・・。
1992年
”君がいるだけで/愛してる”米米CLUB
昨年月9から出たシングルチャート週間売り上げ記録をさらに超える924,780枚を記録したのも月9の主題歌。
団塊ジュニアのピークが19歳。
『RUN』B'z(”ZERO”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,190,380枚。
B'zの記録を破ったのはB'z自身でした。
曲中のRAPもメジャーアーティストとしては斬新な取り組みでした。
『The Swinging Star』DREAMS COME TRUE(”決戦は金曜日”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,209,920枚。
B'zの独走を阻止し、新しい記録を打ち立てたのはドリカムでした。
天才的なヴォーカリスト吉田美和のヴォーカルの魅力が詰まった1枚。
1995年
”LOVE PHANTOM”B'z
シングルチャート週間売り上げ記録951,140枚を記録
団塊ジュニアのピークが22歳。
なにやらふっきれたかのようなディスコビートはまさに原点回帰。
”いらない、何も、捨ててしまおう”
20歳を超え、世の中の閉塞感に向き合わなければならなくなったこの世代の悲鳴にも似た叫び。
『LOOSE』B'z(”ねがい”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,209,920枚。
”LOVE PHANTOM”も収録するアルバム。なかなか破れなかったドリカムの記録をB'zが抜き返しました。
1996年
”名もなき詩”Mr.Children
シングルチャート週間売り上げ記録1,208,230枚を記録。現在のところ史上最高記録。
シングルが初動でミリオンに。
団塊ジュニアのピークが23歳。
この歌の内容はまさにこの年の若者に突き刺さる内容。
ドラマ『ピュア』の主題歌でした。主演の和久井映見の着ていた、からし色のコートを欲しがっていたあの子は今頃どうしているんだろう?思い出が湧き上がってきます・・・。
『深海』Mr.Children(”花~Memento Mori~”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,536,180枚。
”名もなき詩”も収録しているため、非常に初動のよいアルバムですが、内容は決してキャッチーとはいえない、タイトルどおり、決して明るくポップとはいえない作品で構成されています。
でも個人的には非常に好きな作品。
J-POP史に残る名作です。
『SWEET 19 BLUES』安室奈美恵(”Don't Wanna Cry”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録1,921,850枚
ミスチルが出した記録をその1ヵ月後に塗り替えたのは19歳という若さの歌姫。
そしてそのバックには小室哲哉の存在が。
時代の流行を反映して、テクノっぽいサウンドから一転、R&B調にシフトする節目にあり、収録曲もその両方が入っているという幅の広い内容。
しかし、幾多のコムロサウンドが、シンガーの没個性に悩まされる中、アムロのそれは、どれもアムロの個性がはっきりと出ており、アルバムは才能がはちきれんばかりのアムロの歌声と、コムロのいよいよJ-POPを欧米の最先端のトレンドにアップデートしようとする野心がブレンドされて、高潔な1枚に仕上がっています。
このあたりを境に、流行音楽は次第にそのバブル的要素を失ってゆきます。
1997年
『REVIEW~BEST OF GLAY』GLAY(”HOWEVER”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録2,003,150枚
初動でダブルミリオン突破の記念作。
2か月前にリリースされたシングル”HOWEVER”を収録したベスト盤。
まさに彼らのブレイクのタイミングでのベスト盤の発表。
CDバブルの崩壊をベスト盤のリリースで埋め合わせようとするレーベル側の施策の結果、
オリジナルでも勝負できるタイミングでこういうことに。
そりゃ、これは売れましたけど、これで失ったものも大きかったと思います。
団塊ジュニアのピークが24歳。
私が勝手に定義している団塊孫世代が0歳。
そう、もう次の世代が世に生まれ出てきています。
1998年
『B'z The Best "Pleasure"』B'z(”愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録2,709,530枚
これまでシングルでしか発表していなかったような曲も網羅された内容のベスト盤。
初回特典も豪華で、同じ買うなら初回版という値打もあって初週売り上げが物凄い数字に。
団塊ジュニアのピークが25歳。
私が勝手に定義している団塊孫世代が1歳。
1999年
”だんご3兄弟”速水けんたろう、茂森あゆみ、ひまわりキッズ、だんご合唱団
シングルチャート週間売り上げ記録1,025,740枚
団塊ジュニアのピークが26歳。
団塊孫世代のピークが2歳。
発売当時、NHK「おかあさんといっしょ」からの突然のヒットになにやら業界の力を感じましたが、ちょうど24年前に”およげ!たいやきくん”のヒットがあったように、団塊孫世代の持つパワーを感じさせる1枚。
2001年
『Distance』宇多田ヒカル(”Addicted to You”収録)
アルバムチャート週間売り上げ記録3,002,720枚
初秋だけで300万枚の売り上げを達成
現在のところ史上最高記録。
ジャム&ルイスのプロデュース作品なんていうのが日本のアーティストで実現したことにまず驚きました。
団塊ジュニアのピークが28歳。
団塊孫世代のピークが4歳。
2005年
”好きすぎて バカみたい”DEF.DIVA
10年以上ぶりに、シングルチャート週間売り上げ最低記録26,353枚という事態に。
団塊ジュニアのピークが32歳。
団塊孫世代のピークが8歳。
音楽バブルの崩壊はいよいよその深刻さを深めていきました。
2008年
”MIRAGE”AAA
シングルチャート週間売り上げ最低記録25,333枚と今のところ史上最低記録。
団塊ジュニアのピークが35歳。
団塊孫世代のピークが11歳。
音楽売り上げの低迷は更に進行していきました。
2009年
『We All』徳永英明(”小さな祈り~P.S.アイラヴユー”収録)
アルバムチャート週間売り上げ30,805枚と最低記録にせまる史上2番目の最低売り上げ。
彼は、22年前にこの記録を1度更新しているというのも何やら運命を感じます。
団塊ジュニアのピークが36歳。
団塊孫世代のピークが12歳。
未来の予測なんてのは大概占い以上でも以下でもないのですが、既に起こっていることから、未来に当然起こることぐらいはわかります。