アルバム・ジャズ10選 その1 | ポップ・ミュージックのトリコ

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流行音楽を聴きながら、人生を音楽で豊かにしたいと願う、私的でミーハーなブログです。

$ポップ・ミュージックのトリコ-KindofBlue
スイングジャズの時代、ジャズはポップソングであり、ダンス・ミュージックであった。大戦後、新しい音楽界の潮流によって、その売れっ子の地位から転落するジャズが、大きく変わったのはチャーリー・パーカーを筆頭とするビバップの興隆で、これにより、ジャズは芸術としての輝きを求めて、一人歩きし始める。しかし、それはいわば、名人による名演の領域であり、ジャズとしての可能性で無く、例えばチャーリー・パーカーという天才の音楽の記録をとどめているものである。
 トータルなアンサンブルや、アレンジで様式としてのジャズが成立するのは、LPの普及による、長時間録音の定着というテクノロジーの進歩が前提にある。そして、その普及が定着し始めた1959年。このアルバムによって全ては始まる。
①『Kind of Blue』Miles Davis(1959)
 どんなに偏った選出をしようとも、このアルバムを外すことはできない。アルバムジャズの出発点であり、到達点でもある。LPというフォーマットに可能性を見出したのかどうか、マイルスは、録音芸術という概念をジャズに意識的に反映させようとしていく。いろいろ聴き方はあるにせよ、初めてジャズを聴く人にとっては、多少陰気で退屈に聞こえることもあるかもしれない。しかし、それはある方法であっさり解決する。

隣近所の許す限り最大までボリュームを上げること。

 超一流のアーティストが、マイルスの信じる、これまでと全く違うジャズの方法論をなんとか理解して、懸命に新しい何かを生み出そうとしている瞬間が詰まっている。ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、キャノンボール・アダレイなど、ジャズを聴けば必ず遭遇する怪物が、感性をフル回転させて、求められている表現を成し遂げようとしている。
 もし、これを聴いてつまらないと思っても、決して時間の無駄にはならない。色々聴いているうちに、やっぱり凄いということが、体感的に分かってくるからだ。(因みに私の大好きなファンクやジャズはともに初心者のころ聴きながら寝てしまった経験がある。)
 どんな音楽のジャンルでも、名盤と呼ばれるものほど理解には時間が掛かる傾向がある。だからこそ名盤という称号を与え、次代のリスナーに、注意を促すのかもしれない。

"So What"
"All Blues"